【持続じぞく可能かのうな恋こいですか？　第だい６話わ　感想かんそう】ともに生いきる上うえで『大事だいじ』なこと

ただ好すきだから付つき合あうという、ごく当あたり前まえだった恋愛れんあいの仕方しかたは、大人おとなになるにつれて一番いちばん難むずかしくなっていく。

仕事しごとや結婚けっこん…人生じんせい設計せっけいという様々さまざまな制限せいげんがある中なかで、付つき合あうというのもそう単純たんじゅんにはいかなくなる。

しかし、そこには私わたしたちが忘わすれかけた大切たいせつな何なにかがある。第だい６話わでは、そのひとつの答こたえが描えがかれる。

キスの後のち、関係かんけい性せいが読よめないでいた杏あんず花はなと晴はれ太ふとし

前回ぜんかい、母親ははおやを思おもい涙なみだを流ながす杏あんず花はな（上野うえの樹里いつき）にキスをした晴はれ太ふとし（田中たなか圭けい）だったが、結局けっきょく二に人にんはその後ごも何事なにごともなく帰かえっていた。

杏あんず花はなはキスや晴はれ太ふとしの言葉ことばが気きになって仕方しかたなかった。この先さき、どう関係かんけいを進すすめていけば良よいのか分わからず、晴はれ太ふとしの本当ほんとうの思おもいも読よめない…。

そんな中なかで、杏あんず花はなは颯（磯村いそむら勇いさむ斗と）から紹介しょうかいされたインド料理りょうり屋やでのヨガレッスンを終おえてカレーを食たべていると、偶然ぐうぜん晴はれ太ふとしと息子むすこの虹にじ朗ろう（鈴木すずき楽らく）に出でくわす。

二人ふたりはキスの後のち、初はじめて顔かおを合あわすため、気きまずい雰囲気ふんいきになる。

何なにも知しる由よしもない虹にじ朗ろうは、学童がくどうのキャンプイベントに仕事しごとで行いけない晴はれ太ふとしの代かわりに来きてほしいと杏あんず花はなにねだる。

キャンプで好すきな子こに告白こくはくするつもりの虹にじ朗ろうは、先生せんせいである颯の好すきな人ひとが杏あんず花はなだと知しり、お互たがいの恋こいを応援おうえんし合あう約束やくそくをしていたのだった。

しかしそう簡単かんたんには考かんがえられなかった。

二人ふたりの関係かんけいを表あらわすのに、『恋人こいびと』のような確たしかな名前なまえはないのである。

杏あんず花はなはまだ他人たにんである晴はれ太ふとしの家庭かていに、どこまで踏ふみ込こんでいいのか悩なやんでいた。

杏あんず花はなから事情じじょうを聞きいた颯は、「雰囲気ふんいき変かえるか…」と、改あらためて杏あんず花はなに一緒いっしょに行いくことを提案ていあんする。

恋愛れんあい対象たいしょうとして見みられない『家族かぞく』から関係かんけいを進すすめるため、この機会きかいに本気ほんきで杏あんず花はなと向むき合あいたいと考かんがえたのだ。

杏あんず花はなは提案ていあんを受うけ、キャンプに付つき合あうことにした。

一方いっぽうの晴はれ太ふとしは、虹にじ朗ろうから颯さっとお互たがいの恋こいを応援おうえんし合あうということを聞きかされる。

動揺どうようした晴はれ太ふとしは「告白こくはくして…そのあとどうするんだ？」と虹にじ朗ろうに聞きくが、虹にじ朗ろうはこう答こたえる。

虹にじ朗ろう、人生じんせい何なん周しゅう目めだよ…と思おもったが、これこそ大人おとなが忘わすれてしまっている『本当ほんとうに大切たいせつなこと』なのだ。

この真まっ直すぐな言葉ことばが晴はれ太ふとしに響ひびく。もう逃にげるわけにはいかなかった。

急きゅうに腹痛はらいたに襲おそわれたと言いい、仕事しごとを抜ぬけ出だした晴はれ太ふとしはキャンプ場じょうへ急いそぐ。

「仮病けびょうを使つかった大人おとなが、救世主きゅうせいしゅのように堂々どうどうと入場にゅうじょうしてくるなよ！」と突つっ込こんでしまったのだが、『これぞ波乱はらんのキャンプの幕開まくあけ！』と思おもわせる演出えんしゅつが楽たのしかった。

本気ほんきで杏あんず花はなと向むき合あおうと決きめた晴はれ太ふとし

カレー作づくりのチーム分わけは奇くしくも杏あんず花はなと離はなれた晴はれ太ふとし。

仲良なかよさそうな杏あんず花はなと颯を見みて、更さらに負まけじとカレー作づくりに没頭ぼっとうする。

こうした晴はれ太ふとしが時折ときおり見みせる子こどものような姿すがたがとても愛あいらしく思おもえる。

しかし「好すきなものは簡単かんたんに譲ゆずれないんだよ」と、ここぞというところで真剣しんけんな表情ひょうじょうを見みせるのだ。

なかなか素直すなおになれず、少すこし臆病おくびょうで不器用ぶきような晴はれ太ふとしだが、本気ほんきで杏あんず花はなと向むき合あおうと決きめているのだ。

虹にじ朗ろうの告白こくはくが無事ぶじに成功せいこうし、別べつのテントに泊とまることになり、気きまずくなった晴はれ太ふとしと杏あんず花はなは、焚たき火びを囲かこんでお茶ちゃを飲のんでいた。

皆みな寝静ねしずまり、薪たきぎが爆はぜる音おとだけが響ひびく。そんな非ひ日常にちじょう的てきな空間くうかんは、不思議ふしぎと人ひとを素直すなおにさせる。

「キスのことは全然ぜんぜん気きにしていない」と話はなす杏あんず花はなに晴はれ太ふとしは食くい気味ぎみに「気きにしてください」と言いう。

今いままで通とおりにはさせない、晴はれ太ふとしの決心けっしんは固かたまっていた。

これは第だい１話わで、杏あんず花はなが晴はれ太ふとしに言いった言葉ことばだ。しかしあの時ときと違ちがう。

杏あんず花はなは今いまやっと独立どくりつに向むけ動うごき出だし、晴はれ太ふとしには何なにより大切たいせつな虹にじ朗ろうの存在そんざいがある。

だから今いまも二に人にんに結婚けっこん願望がんぼうがないというのは同おなじだ。でも純粋じゅんすいに、大切たいせつな人ひとと共ともに今いまを過すごしたいという気持きもちがそこにはあるのだ。

「私わたしも」と杏あんず花はなは晴はれ太ふとしに手てを差さし出だし、手てを取とり合あう。これが二人ふたりが出だした答こたえなのだ。

大人おとなになるとただ好すきって伝つたえることさえ億劫おっくうになる。

だが虹にじ朗ろうが言いっていた「いっぱい友達ともだちがいても、すぐわかる、好すきな人ひとの声こえはよく聞きこえる」というのは、いくら成長せいちょうしたって変かわらないものだ。

虹にじ郎ろうの好すきな人ひとに対たいして真まっ直すぐな向むき合あい方かたが、私わたしたちに気きづかせてくれてくれる。

純粋じゅんすいに好すきだと伝つたえる大切たいせつさに年齢ねんれいは関係かんけいないのだ。

気きになる三角さんかく関係かんけいの行方ゆくえは…

そして三角さんかく関係かんけいの行方ゆくえ。颯は虹にじ朗ろうの後押あとおしで、肝きも試だめしの帰かえりに想おもいを伝つたえようとしていた。

勘違かんちがいではなく、本当ほんとうに好すきだと伝つたえたい…そんな雰囲気ふんいきを出だすも、杏あんず花はなにはぐらかされてしまう。

そして想おもいを伝つたえられぬまま朝あさを迎むかえ、颯が見みたのは、同おなじテントから出でてくる杏あんず花はなと晴はれ太ふとしだった。

颯はその後ご、いつも通とおりレッスンに出でかける杏あんず花はなを見送みおくる。何なにも見みてない、何なにも知しらないふりをして。

颯にとって、杏あんず花はなは近ちかすぎて遠とおい存在そんざいになってしまったのだ。

自分じぶんが見みることができなかった、杏あんず花はなが好すきな人ひとに向むける笑顔えがおをただ見みるだけの…。

颯は、杏あんず花はなの家いえを出でて行いってしまった。報むくわれない気持きもちを抱かかえた颯の背中せなかがただ切せつなく見みえた。

相手あいての『呼よび方かた』をめぐる考かんがえ方かたの違ちがい

一方いっぽう、林はやし太郎たろう（松重まつしげ豊ゆたか）と明里あけさと（井川いかわ遥はるか）はウォーキング中ちゅうに、明里あけさとのお見合みあい相手あいての男性だんせいが、「結婚けっこんしたらパートナーと呼よびたい、うちの嫁よめとは呼よびたくない」と言いったのに対たいし、違和感いわかんを感かんじた話はなしをしていた。

一いち度どは仕方しかたがないことと割わり切きって、また男性だんせいと会あっていた明里あけさとだったが、「美人びじんすぎる女医じょい」と言いわれてまた違和感いわかんを感かんじていた。

そんな時とき、「女性じょせい配偶はいぐう者しゃを何なんと呼よぶべきか」を林はやし太郎たろうが語かたっているラジオが偶然ぐうぜん聞きこえて来くる。

林はやし太郎たろうの言葉ことばで、明里あけさとはその違和感いわかんの正体しょうたいに気きづき、男性だんせいに別わかれを告つげる。そこに敬意けいいはなかったのだ。

呼よび方かたや肩書かたがきだけで人ひとを当あてはめようとしているだけで、本当ほんとうにその人ひとを見みようとはしてないのである。

第だい６話わは親子おやこそれぞれ独立どくりつしたテーマになっていると思おもっていたが、実じつは奥おくでは繋つながっているのではないかと思おもった。

呼よび方かたもいろんな形かたちがあっていい、ただそこに、誰だれかを思おもいやる気持きもちがあれば良よいのだ。

そして、想おもいの伝つたえ方かたも付つき合あい方かたもそれと同おなじ。自分じぶんたちなりの答こたえをしっかり話はなし合あうことで、探さがしていくことが何なにより大事だいじなのである。

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[文ぶん・構成こうせい／grape編集へんしゅう部ぶ]