【石子いしこと羽はね男おとこ 第だい２話わ　感想かんそう】親おやガチャというテーマに切きり込こむ第だい２話わ・ネタバレあり

ガチャをする時とき、なんとも言いえないドキドキとワクワク感かんを味あじわえるだろう。

欲ほしいもののためについ何なん度ども回まわしてしまうものだ。だが近頃ちかごろは、『親おやガチャ』という、人生じんせいで一いち度どしか回まわせないガチャの名前なまえをよく聞きくようになった。

第だい二に話わではその『親おやガチャ』という言葉ことばが大おおきなテーマとなっていく。

『石子いしこと羽はね男おとこ』第だい２話わのテーマは『親おやガチャ』

パラリーガル・石子いしこ（有村ありむら架か純じゅん）と弁護士べんごし・羽はね男おとこ（中村なかむら倫りん也）、バイトとして新あたらしく仲間なかまに加くわわった大庭おおば（赤あか楚すわえ衛まもる二に）が務つとめる潮しお法律ほうりつ事務所じむしょの法律ほうりつ相談そうだん会かいに訪おとずれたのは、母はは・相田あいだ瑛子えいこ（木村きむら佳乃よしの）と、息子むすこ・孝こう多た（小林こばやし優ゆう仁ひとし）の親子おやこ。

塾じゅくへ通かようための連絡れんらく手段しゅだん用ようのスマホでゲームに無断むだんで高額こうがく課金かきんしてしまい、返金へんきん請求せいきゅうするも、親会社おやがいしゃがそれに応おうじてくれない…という相談そうだんだった。

小学生しょうがくせいであっても自分じぶん用ようのスマートフォンを持もつのが当あたり前まえになってきた時代じだい、こうした未成年みせいねん者しゃによる無断むだんの課金かきんが増ふえており、　身近みぢかな事案じあんだろう。

早速さっそくこの案件あんけんを請うけ負おうことにした羽はね男おとこ達たちは、ゲーム運営うんえい会社かいしゃの顧問こもん弁護士べんごしを訪たずね、強気つよきな姿勢しせいで『未成年みせいねん者しゃ取消とりけし権けん』を主張しゅちょうする。

しかしその担当たんとう弁護士べんごしは羽はね男おとこの元もと同僚どうりょう・丹澤たんざわ文彦ふみひこ（宮野みやの真しん守もり）だった。

いかにも曲者くせもの全開ぜんかいの丹澤たんざわは、成人せいじんだと自みずから偽いつわったことに落おち度どがあると主張しゅちょう。二人ふたりを圧倒あっとうし、またも羽はね男おとこは何なにもい返いかえすことができなかった。

そして石子いしこ達たちは顧問こもん弁護士べんごしとの話はなし合あいの結果けっかを伝つたえに相田あいた家かを訪おとずれる。

説明せつめいの間あいだ、瑛子えいこの隣となりでただ黙だまっていた孝こう多ただったが、突然とつぜん、受験じゅけんが嫌いやで課金かきんをしたとい出いだす。

「そんなこと嘘うそでしょ！」と瑛子えいこに強つよく問とい詰つめられ、顔かおを背そむける孝こう多た。家中いえじゅう、受験じゅけんに向むけた張はり紙がみで溢あふれている。

孝こう多たが「良よい学校がっこうに入はいって楽らくをさせたい」と言いったと瑛子えいこは話はなしていたが、もしかしたら自分じぶんの願望がんぼうを押おし付つける『お受験じゅけんママ』の毒どく親おやなのではないかと疑うたがってしまう。

その後ご二に人にんは塾じゅくを訪おとずれ、孝こう多おおから「受験じゅけんが嫌いやだと主張しゅちょうするために課金かきんをしたというのは本当ほんとうだ」と聞きく。

中学ちゅうがく受験じゅけんを経験けいけんしていた羽はね男おとこは、受うけたくなくても、親おやのために受験じゅけんする子こどもの気持きもちが痛いたいほどわかっていた。

塾じゅくに通かよう生徒せいと達たちの中なかにも自分じぶんの意志いしには反はんし、親おやからのプレッシャーをかけられている子こども達たちが多おおいだろう。

『親おやガチャ』という言葉ことばを小学生しょうがくせいが軽かるく使つかっているのには驚おどろくのだが、気軽きがるに使つかわれるようになった今いまだからこそ、子こどもでも自分じぶんの生うまれた落おちた環境かんきょうに憂うれうのだ。

高額こうがく請求せいきゅうを仕組しくんだ真犯人しんはんにんとは

返金へんきんのため調査ちょうさを続つづけていた石子いしこ達たちだったが、事態じたいは思おもわぬ方向ほうこうに進すすむ。

事務所じむしょに突然とつぜん駆かけ込こんできた相田あいだ親子おやこから告つげられたのは、ゲームアカウントの乗のっ取とりと２５万まん円えんの高額こうがく請求せいきゅうの発覚はっかくだった。

直すぐに警察けいさつの協力きょうりょくを要請ようせいしたが、情報じょうほう開示かいじを待まつ傍かたわら、石子いしこは調査ちょうさを続つづける。

気きになるのは母はは・瑛子えいこの生活せいかつだが、石子いしこが見みたのは、ダブルワークで夜よるまで懸命けんめいに働はたらく瑛子えいこの姿すがただった。

一方いっぽうの羽はね男おとこは、ドロパズで遊あそんでいると見みせかけて、孝こう多たのアカウントを乗のっ取とった人物じんぶつとゲーム内ないでコンタクトを取とることに成功せいこうする。

その人物じんぶつは意外いがいにも塾じゅくに通かよう孝こう多たの友人ゆうじんだった。

話はなしを聞きくと模試もしでカンニングをダシにされ、孝こう多たのアカウントで課金かきんし続つづけろと脅迫きょうはくされていたという。

このことから、カンニングとパスワードを知しり得えることのできる人物じんぶつに絞しぼり込こまれる。

そしてお互たがいの得意とくいを生いかして、石子いしこと羽はね男おとこがお互たがいにヒントを見みつけ、２５万まん円えんの高額こうがく請求せいきゅうを仕組しくんだ真犯人しんはんにんを突つき止とめた。

『石子いしこと羽はね男おとこ』第だい２話わで改あらためて気付きづく根幹こんかんのメッセージ

事務じむ室しつで友人ゆうじんが誤あやまってパスワードを口くちにしたのを耳みみにし、授業じゅぎょう中ちゅう預あずかっているスマホのロックを解除かいじょできた人物じんぶつは一人ひとりだけ。その時ときスマホを管理かんりしていた塾じゅくの職員しょくいん・深瀬ふかせ（富田とみた望のぞむ生せい）だ。

深瀬ふかせは以前いぜん、勤つとめていた塾じゅくで同おなじような問題もんだいを起おこしていた。

その動機どうきは、自分じぶんは親おやから高校こうこうを出でたら働はたらけと育そだてられ大学だいがくにも行いけなかったその腹はらいせだという。

受験じゅけんする子こどもの足あしを引ひっ張ぱっても、何なにも生うまれないし、自分じぶんの過去かこは変かえられるはずもない。

だが、深瀬ふかせは自分じぶんのこの行おこないを正当せいとう化かし、満足まんぞくしているような態度たいどでこうい放いはなった。

生うまれ落おちたその瞬間しゅんかんから、他人たにんと何なにかしら差さがついているのは否定ひていはできない。

人ひとは生うまれながらにして経済けいざい力りょくや容姿ようしによる様々さまざまな格差かくさを感かんじずにはいられないのである。

だからこそ誰だれしも『親おやガチャ』を盾たてに、人生じんせいにおける失敗しっぱいを『全すべて』生うまれ落おちた環境かんきょうのせいにしたくなってしまう。

ひどい親おやが存在そんざいするのも事実じじつ、経済けいざい格差かくさで学まなびの機会きかいの幅はばに差さがあるのも事実じじつ。簡単かんたんに変かえることのできない現実げんじつがそこにはある。

だが石子いしこの言いう通とおり、生うまれ落おちた環境かんきょうを受うけ入いれる必要ひつようはないし、家族かぞくであっても無理むりして家族かぞくでいなくて良よい。

だが、ガチャが当あたりだ外はずれだとい訳いわけをしても何なにも生うまれない。

だったら、その前まえに自分じぶんだけの価値かちを見出みだせるよう行動こうどうを起おこすことの方ほうが、きっと自分じぶんの人生じんせいのためになる。

たとえそれが誰だれかを頼たよる行動こうどうでも良よいのだ。そのために石子いしこや羽はね男おとこという、暮くらしを守まもってくれる存在そんざいがいる。

自分じぶんや誰だれかを恨うらむ前まえに声こえを上あげること。二に話わでも物語ものがたりの根幹こんかんにあるメッセージを強つよく感かんじることができた。

相手あいてに抱いだく第だい一いち印象いんしょうは、切きり取とられた１ページにすぎない

そして返金へんきんの目処めどが立たったことを親子おやこに報告ほうこくしに行いった石子いしこ達たちだったが、瑛子えいこから返金へんきんは求もとめないと言いわれる。

我わが家やのルールとして、お互たがいの罰ばっと責任せきにんとして受うけ止とめることにしたのだ。

母ははを幸しあわせにするために決きめた受験じゅけんが、かえって負担ふたんになっているのではないかと孝こう多たはずっと悩なやんでいた。

そして、自然しぜんに塾じゅくをやめるため思おもいついた最善さいぜんの方法ほうほうが『受験じゅけんノイローゼ』だったのだ。

取とり返かえしのつかないことをしたのはもう変かえられないと、受験じゅけんを諦あきらめると言いう孝こう多たに瑛子えいこは、「孝こう多たがしたいならやっていいんだよ」と笑顔えがおで伝つたえる。

初はじめ瑛子えいこに感かんじた不穏ふおんは、切きり取とられた１ページにすぎなかった。

仕事しごとの合間あいまを縫ぬって一人ひとりでも寂さびしくないように動画どうがを撮とるなど、孝こう多たのためを思おもい『母親ははおや』を頑張がんばっていた。

そして孝こう多たもそれを受うけ取とり、自分じぶんのため、そして親おやのために前向まえむきに中学ちゅうがく受験じゅけんに取とり組くもうと頑張がんばってきた。

石子いしこはそんな親子おやこを見みて、一人ひとりで自分じぶんを育そだててくれた母親ははおやを重かさねていた。

石子いしこは瑛子えいこに母子ぼし家庭かていを支援しえんする制度せいどがあることを紹介しょうかいするのだった。

今いま話ばなしも重おもいテーマとなったが、重おもくなりすぎず、後味あとあじ良よく終おわれるのは、『声こえを上あげる』というメッセージがブレずにあるからなのだと思おもう。

一番いちばん欲ほしいものであっても、簡単かんたんに手てに入はいるくらい人生じんせいは上手うまくいくものではない。

だが、だからこそ、土砂降どしゃぶりの雨あめが降ふっても傘かさを差さし出だしてくれる存在そんざいと共ともに、『出会であい』という素敵すてきなガチャで、価値かちある何なにかと出会であう人生じんせいを送おくっていきたいと思おもわせてくれる第だい二に話わだった。

---

[文ぶん・構成こうせい／grape編集へんしゅう部ぶ]