吉元よしもと由美ゆみの『ひと・もの・こと』

春夏秋冬しゅんかしゅうとうを生いきるということ

万物ばんぶつは、「木き・火ひ・土ど・金きむ・水みず」の五ご種類しゅるいの元素げんそからなる。自然しぜんの理りを説といたこの中国ちゅうごくの陰陽いんよう五ご行ぎょう説せつは、四柱推命しちゅうすいめい学がくや算さん命いのち学がく、気き学がくなどの占うらない術じゅつや、薬くすり膳ぜんや中ちゅう医学いがくの基礎きそになっています。

この五ご行ぎょうの思想しそうの中なかで、人生じんせいを四季しきに当あてはめ、それぞれの時期じきに色いろを配はいして次つぎのように表あらわしました。

年代ねんだいの区切くぎりには若干じゃっかんの差さがあるようですが、だいたいこのように分わけられます。

「青春せいしゅん」は草木くさきが伸のび、青々あおあおと茂しげっていく。大おおいに学まなび、どんな道みちも選えらべる時期じき。青春せいしゅんという言葉ことばは、すっかりスタンダードになっています。

「朱しゅ夏なつ」はまさに働はたらき盛ざかりです。「白秋はくしゅう」は、秋あきの落おち着つきのように穏おだやかな時期じき。そして「玄げん冬ふゆ」は人生じんせいをまとめ上あげる時期じきです。玄げんとは、黒くろのことです。

人生じんせいの春夏秋冬しゅんかしゅうとう。自分じぶんの人生じんせいを振ふり返かえると、春はるを生いき、夏なつを駆かけ抜ぬけ、今いままさに秋あきの穏おだやかさの中なかにいます。

作詞さくし家かになるために猛もう勉強べんきょうをし、多おおくの仕事しごとに恵めぐまれた青春せいしゅん、そして仕事しごとと子育こそだてに駆かけ抜ぬけた朱しゅ夏なつ。

青春せいしゅんに発揮はっきしたエネルギーと、朱しゅ夏なつの時期じきに発揮はっきしたエネルギーは明あきらかに違ちがうものでした。今いまでは子こどもも自立じりつし、夫婦ふうふ二に人にんになり、穏おだやかに仕事しごとができる白秋はくしゅうという時ときの中なかにいます。

夏なつの暑あつさと強つよい日差ひざしが去さり、少すこしずつ夜よるが長ながくなり、気温きおんも下さがってくる秋あき。そして、長ながい夜よると厳きびしい寒さむさの中なかにある冬ふゆ。

寒さむさに向むかう今いまの自分じぶんの白秋はくしゅうという時期じきを暖あたためるものは何なにでしょうか。そして人生じんせいをまとめ上あげる玄げん冬ふゆに、自分じぶんを満みたすものは何なになのか。そんなことを考かんがえるようになりました。

夏なつの盛もりには見みえなかったこと。考かんがえたこともなかったこと。命いのちというものを味あじわいながら日々ひび過すごしていることに気きづくのです。私わたしも自然しぜんの理りの通とおりを生いきているのだとしみじみと思おもいます。

私わたしの中なかには、永遠えいえんの１７歳さいがいます。１７歳さいの時ときに見みた満天まんてんの星空ほしぞらが与あたえてくれた勇気ゆうきは、今いまも私わたしを励はげまします。

私わたしの中なかでまだ春はるが少すこしだけ、生いきています。夏なつの時期じき、仕事しごとと子育こそだてて目めがまわるほど忙いそがしかった。でもその時期じきに悩なやみ、乗のり越こえられたこと、大忙おおいそがしだった子育こそだても、自分じぶんの支ささえになっています。

私わたしたちはこれから自分じぶんがどうなりたいか、目標もくひょうを定さだめることに注力ちゅうりょくしますが、歩あゆんできた年月としつきからのギフトを受うけ取とるのも大切たいせつなことではないかと思おもうのです。

そして今いま、どんどん長ながくなっていく白秋はくしゅう、そして玄げん冬ふゆの夜よるをどう楽たのしもうか、寒さむさを何なんで温あたためていこうか考かんがえています。

愛あいというもので温あたためていこうか、慈愛じあいの気持きもちで温あたためていこうか。好奇心こうきしんで満みたしていこうか。まだまだ心しんを育はぐくむ学まなびは続つづきます。

※記事きじ中ちゅうの写真しゃしんはすべてイメージ

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[文ぶん・構成こうせい／吉元よしもと由美ゆみ]