吉元よしもと由美ゆみの『ひと・もの・こと』

心しんがザワザワするときの処方箋しょほうせん

先日せんじつ、包丁ほうちょうで爪つめと皮膚ひふの間あいだを切きってしまいました。止血しけつを試こころみても出血しゅっけつが止とまらず病院びょういんに行いくと、三さん針はり縫ぬうことに。爪つめと皮膚ひふを縫ぬい合あわせるという、いま思おもい出だしても背中せなかがひやりとします。

これまでも転ころんで手首てくびを骨折こっせつし手術しゅじゅつするなど、不用意ふよういな怪我けがをしたのですが、そのたびに傷きずが治癒ちゆしていくことに感動かんどうします。人間にんげんの身体しんたいにプログラムされている仕組しくみに驚おどろくのです。

血管けっかんが断だん裂きれすると止血しけつ反応はんのうが起おこる。血小板けっしょうばんはたくさんの突起とっきを伸のばし、化学かがく物質ぶっしつが放出ほうしゅつされ、血管けっかんの傷口きずぐちに血栓けっせんを作つくり止血しけつ。

その後ごも多おおくの化学かがく物質ぶっしつが作用さようしあうプロセスを経へて、肉にくが再生さいせいし、傷きずが治癒ちゆしていきます。人間にんげんの身体しんたい（動植物どうしょくぶつも同おなじく）には、生命せいめいを維持いじするための驚おどろくべきプログラムが備そなわっているのです。

このように肉体にくたいは傷きずを負おったら治癒ちゆに向むかって動うごき出だします。

そして、身体しんたいを整ととのえるために私わたしたちができることとして薬くすりや漢方薬かんぽうやく、サプリメント、アロマセラピー、マッサージ、運動うんどうなど、いろいろな処方箋しょほうせんがあります。

同おなじように、自分じぶんなりの心しんを整ととのえるための処方箋しょほうせんがあると心しんに立たつ波なみを穏おだやかにすることができると思おもうのです。

心しんがザワザワするときは……大切たいせつな人ひとを大切たいせつにする。大切たいせつなものを大切たいせつに手てにとってみる。大切たいせつなものとは、かけがえのないもの。

かけがえのない人ひと、ものがあるということをしっかりと味あじわう。ありがたく思おもう。すると、心しんは清きよい流ながれに戻もどって行いくように思おもいます。

心しんがザワザワするときは……丁寧ていねいに食事しょくじを作つくる。食材しょくざいを丁寧ていねいに扱あつかう。それらが自分じぶんの健康けんこうの助たすけになることに思おもいを馳はせながら、丁寧ていねいに調理ちょうりする。

この食事しょくじを喜よろこんでもらおうと思おもいながら、丁寧ていねいに味付あじつけをする。私わたしは『料理りょうり瞑想めいそう』と呼よんでいるのですが、無心むしんに手てを動うごかすと心しんが落おち着つきます。

悲かなしいことがあったとき、痛いたましいニュースにいたたまれない気持きもちになったとき、私わたしは愛犬あいけんのラニを抱だきしめたものでした。

あたたかい命いのちのぬくもりは、何なにが大切たいせつなのかを教おしえてくれ、本当ほんとうに癒いやされたものでした。

薬くすりの処方箋しょほうせんが人ひとによって異ことなるように、心しんを整ととのえる方法ほうほうも、それぞれに見みつけていくものです。

ポイントは、大好だいすきなことをすること。自分じぶんに無理むりをさせないこと。料理りょうりでも散歩さんぽでもスポーツでも。そして、心しんがざわつくときには大好だいすきな場所ばしょへ行いきましょう。

大好だいすきな場所ばしょには、それがどんな場所ばしょであってもその人ひとにとって癒いやしのエネルギーがあるのです。

※記事きじ中ちゅうの写真しゃしんはすべてイメージ

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[文ぶん・構成こうせい／吉元よしもと由美ゆみ]