あの日ひ、言いえなかったひと言こと。故郷こきょうを離はなれていた娘むすめが父ちちに伝つたえた言葉ことばとは…

東京とうきょうの大学だいがくへ進学しんがくするため、高校こうこうを卒業そつぎょうすると同時どうじに地元じもとを離はなれて、そのまま東京とうきょうで就職しゅうしょくした女性じょせい。

彼女かのじょは、婚約こんやく者しゃとなった男性だんせいを紹介しょうかいするため、実家じっかへと向むかう電車でんしゃに乗のっていました。

駅えきのホームに仲なかの良よさそうな父ちち娘むすめがいたのを見みかけて、複雑ふくざつな表情ひょうじょうをしてしまいます。

小ちいさい頃ころは、父ちちが大好だいすきで、出掛でかける時ときもご飯はんを食たべる時ときもいつも一緒いっしょ。

でも、高校こうこうに入はいった頃ころから、父ちちのことを避さけるようになっていました。

雨あめの日ひに、駅えきまで迎むかえに来きてくれた時ときも、そう言いって突つき放はなしたことを思おもい出だします。

お父とうさんのおせっかいがイヤで、父ちちを避さけるようになっていたのです。

父ちちとまともに話はなせないまま、娘むすめは逃にげるように東京とうきょうの大学だいがくへ進学しんがくし、地元じもとを離はなれてしまいました。

それから数すう年ねん。懐なつかしい駅えきのホームで、久々ひさびさに顔かおをあわせる父ちちと娘むすめは、どんな表情ひょうじょうをみせるのでしょうか。

顔かおを合あわせたら、なんて言いえばいいんだろう。

憂鬱ゆううつな気持きもちのままなのに、電車でんしゃは地元じもとの駅えきへと着ついてしまいます。

しかし、昔むかしと変かわらずに優やさしい父ちちの顔かおを見みたら、自然しぜんと言いうべき言葉ことばが出でてきました。

当あたり前まえにある毎日まいにちには、普段ふだんは気付きづかないけれど大切たいせつなモノがつまっています。

それに気きづくことができれば、遠とおく離はなれてしまっても、心しんをつなぐことが出来できるのかもしれないですね。