庭山にわやま 恵太けいたさん

庭山にわやまもともと私わたしは外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとに限かぎらず、教育きょういく全般ぜんぱんに興味きょうみをもっていました。そして学校がっこう教員きょういんになりたいと考かんがえていた大学生だいがくせいの時とき、たまたまインドネシアにボランティア・スタディツアーで行おこなったんです。その時とき、教育きょういくの重要じゅうよう性せいはもちろんですけど、それだけでなく、社会しゃかい的てきな構造こうぞうによって貧困ひんこんを被こうむっている子こどもが海外かいがいにいっぱいいるんだな、ということに気きがつきました。

そこで、学校がっこう教員きょういんになってただ勉強べんきょうを教おしえたり顧問こもんになって部活ぶかつを指導しどうしたりするというより、子こどもについて福祉ふくし的てきな視点してんからも教育きょういくを見みていきたいなと思おもい始はじめました。最初さいしょに行いったのがたまたまインドネシアだったということもあって、その後ごもずっとインドネシアに興味きょうみ関心かんしんを持もち続つづけました。そして、大学院だいがくいんが終おわってから、独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん国際こくさい交流こうりゅう基金ききんの「日本語にほんごパートナーズ」事業じぎょうというプログラムに参加さんかし、インドネシアへ行いくことにしました。

7か月げつのあいだ日本語にほんごの ALT （アシスタント教師きょうし）をするというものですが、派遣はけん校こうの先生せんせい方かた、生徒せいとたちがすごくいい人じんたちで、それまであまり興味きょうみがなかった日本語にほんご教育きょういくが「おもしろいかもな」とシンプルに思おもい始はじめました。そして、日本語にほんごパートナーズが終おわってから420時じ間あいだの養成ようせい講座こうざに通かよい始はじめて、日本語にほんご教師きょうしの資格しかくを取とりました。

そこで勉強べんきょうしていくうちに、日本にっぽんに住すんでいる（外国がいこくルーツの）子こどもについて知しり、システム上じょううまくいってないところは日本語にほんご教育きょういくの部分ぶぶんだなと思おもって、そこでやってみたいと思おもうようになりました。

庭山にわやま正直しょうじきなところ子こどもに貢献こうけんできれば手段しゅだんはこだわらないほうがいいとは思おもっています。現実げんじつ的てきに日本にっぽんに住すんでいる外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとにとって日本語にほんご教育きょういくの実施じっしが現実げんじつ的てきだろうと考かんがえたからです。本来ほんらいであれば、特とくに今いまの日本にっぽんの状況じょうきょうだと母語ぼごの教育きょういくもできるところが増ふえればいいなとはもちろん思おもっています。ただ、自分じぶんが持もっているリソース、日本語にほんごが母語ぼごで、かつ日本にっぽんに住すんでいるというところを考かんがえて、一番いちばん効果こうかが出だせて、かつ社会しゃかいで必要ひつようとされているところが日本語にほんご教育きょういくだったということです。

庭山にわやま大学だいがくでこの分野ぶんや（外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとについて）を学まなんでいるわけではないですし、学まなべるところはほとんどないので、受講じゅこうを決きめました。420時じ間あいだの日本語にほんご教師きょうし養成ようせい講座こうざでも、「外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとが増ふえており、こういう課題かだいがあります」と紹介しょうかいする程度ていどしかなかったと思おもいます。この研修けんしゅうでは、いろんな人ひとと一緒いっしょにいろんな事例じれいについて話はなし合あい、地域ちいき差さもあるのでそういったことを知しりながら、ネットワークの話はなしや指導しどう法ほうなどまで網羅もうらできるのはありがたいなと思おもって応募おうぼしました。

庭山にわやま外国がいこくから来きた人ひとたちをしっかりサポートする、そのためにも人ひとやお金かねをだしていくという横浜よこはま市しの姿勢しせいや今いままでコーディネート業務ぎょうむをされてきた方々かたがたのおかげだと思おもいます。

ただ、これが横浜よこはまだけの特別とくべつなことではいけないと思おもっています。外国がいこく人じんや外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとに対たいしての「支援しえん」や「サポート」という言葉ことばが使つかわれますが、そうではなく、文化ぶんか的てきにも、経済けいざい的てきにも将来しょうらい的てきにはそれが返かえってくると個人こじん的てきには考かんがえています。特とくに子こどもに関かんしてはそれが大おおきいだろうし、やっぱり子こどもが幸しあわせに生活せいかつできる社会しゃかいを作つくっていきたいと思おもっています。

庭山にわやま私わたしは教育きょういく学部がくぶ出身しゅっしんではないので、発達はったつ段階だんかいに沿そった教育きょういくも学まなべたらいいなというところはあります。本ほん研修けんしゅうの項目こうもく「4. 外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとの言語げんご習得しゅうとくと認知にんち発達はったつ」の中なかの「（19）発達はったつ段階だんかいと言語げんご習得しゅうとく」あたりですね。これを機きに、ここでもう少すこし勉強べんきょうして深ふかめたいなと思おもっています。

庭山にわやま自分じぶん自身じしんが広ひろく、色々いろいろな団体だんたい、特とくに福祉ふくし的てきなネットワークと繋つながっていくことも大事だいじだなと思おもっています。そのネットワークを使つかって子こどもに一番いちばん必要ひつようなこと、例たとえば「今いまこの子こは勉強べんきょうどうこうっていう問題もんだいじゃないから、こっちに繋つなげよう」などということをやっていけたらな、とも思おもっています。

そうしたことに目めを向むけるきっかけは地元じもと、千葉ちば県けんでの学習がくしゅう支援しえん教室きょうしつの活動かつどうでした。学生がくせいのときから三さん、四よん年ねんほど勉強べんきょうを教おしえたり、そのほかにキャンプやイベントの手伝てつだいをしていました。外国がいこくにつながりのある子こどもはいなかったんですが、家庭かていや学校がっこうでの人間にんげん関係かんけい、健康けんこう面めんのこと、経済けいざい面めんのことなどで問題もんだいを抱かかえている子こどもがいました。学習がくしゅうももちろん大事だいじですが、生活せいかつが安定あんていしてこそだと学まなびました。また、勉強べんきょうは教おしえられても、そのほかのアプローチができないと、結局けっきょく解決かいけつしないと感かんじたことがありました。

庭山にわやまそういった観点かんてんを持もっている方ほうがかなりいらっしゃいます。先日せんじつ、横浜よこはま市内しないにある国際こくさい交流こうりゅうラウンジ主催しゅさいのボランティアさん向むけ研修けんしゅう会かいに出でたときに、そういった福祉ふくしの観点かんてんで見みられる講師こうしの方ほうを呼よんで研修けんしゅう会かいを実施じっししており、私わたしも参加さんかしてきました。そういう観点かんてんを持もっている方ほうが国際こくさい交流こうりゅうラウンジにいて、どんどんその考かんがえ方かたを広ひろげようとしてくれているのだと、びっくりしたとともに、僕ぼくもすごく勉強べんきょうさせてもらいました。

庭山にわやまそうですね。神奈川かながわ県けんではたくさんの取とり組くみ、また横浜よこはま市内しないには日本語にほんごの教室きょうしつが130以上いじょうあります。一方いっぽうで情報じょうほうも人ひとも多おおいので、うまく連携れんけいや情報じょうほう共有きょうゆうしていくことを頑張がんばっていければとは思おもっています。

庭山にわやま例たとえば、中学校ちゅうがっこうや高校こうこうで「職場しょくば体験たいけん」をやっても、会社かいしゃによっては（外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとの受うけ入いれを）断ことわる企業きぎょうもあるという話はなしを聞きいたことがあります。社会しゃかいの理解りかいがあれば、もっと越こえられる壁かべがあると思おもうんですよね。多おおくの方ほうに知しってもらって、外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとに限かぎらず子こどもがもっといろいろな活動かつどうができる社会しゃかいになったらいいと思おもっています。

言葉ことばの壁かべとか文化ぶんかの壁かべがあるというだけで、子こどもの活動かつどうや経験けいけんが邪魔じゃまされてしまうのはもったいないなと思おもいます。たぶん大人おとな（受うけ入いれ側がわ）も子こどもから刺激しげきを受うけると思おもうので、そういうところを啓発けいはつして、理解りかいが得えられれば、もっといい社会しゃかいになるんじゃないかなと。

庭山にわやま私わたしは先生せんせいたちと直接ちょくせつ触ふれ合あう機会きかいはあまり多おおくはないんですけど、今いま、私わたしは中学校ちゅうがっこうの部活ぶかつでテニスを教おしえていて、指導しどうしている学校がっこうや他校たこうの先生せんせいと話はなしたりはしています。

コロナで日本語にほんご教師きょうしの仕事しごとが休やすみになったときに、中学校ちゅうがっこうで勤務きんむしました。
私わたしの勤務きんむしていた学校がっこうは外国がいこくにつながる子こどもがあまり多おおくないので、（外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとに特有とくゆうの課題かだいがあるという）捉とらえ方かたをあまりしていないから、「日本語にほんごをしゃべれればどうにかなる、頑張がんばれ！」という感かんじもあります。でもやはりそれは難むずかしい。漢字かんじからどれだけ（私わたしたちが）意味いみを推測すいそくしているかとか、文化ぶんかの違ちがいとか、そういったところの理解りかいが十分じゅうぶんではないように思おもいます。今いまでも先生せんせいたちとつながりはあるので、ときどき外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとに関かんしての情報じょうほう共有きょうゆうはしています。

庭山にわやま理解りかいしてほしいと言いうだけでなく、そこをうまく橋渡はしわたししていかないと、と思おもっています。例たとえば、私わたしはイスラム圏けんのインドネシアで特とくにイスラム色しょくの強つよい東ひがしジャワにいた経験けいけんがあります。イスラムの女おんなの人ひとはいつもヒジャブをかぶっていると思おもわれているんですけど、「部活ぶかつのときは、外はずすんですよ女おんなの子こも」と（日本にっぽんの学校がっこうの先生せんせいに）話はなすと「そうなの！？全然ぜんぜん知しらなかった！！」みたいな反応はんのうがあります。「だから教室きょうしつの顔かおと違ちがうので全然ぜんぜんわからないんですよ」みたいな話はなしをユーモアや経験けいけんを交まじえて話はなすと、「そうなんだ、もうちょっと教おしえて」という風ふうになります。

あとは実際じっさいに「ベトナムの割わり算ざんの筆算ひっさんはこういうふうにやるんですよ」と見みせると、大人おとなでも「え？どういうこと？」ってなるので、そういった会話かいわを通とおして、先生せんせいたちにもちょっとずつ外国がいこくにつながる子こどもについての理解りかいを浸透しんとうさせていかないといけないのかなっていうのはすごく感かんじていますね。「子こどものためなんだからやってよ！」っていうのは、先生せんせいたちも忙いそがしいので難むずかしいというのは本当ほんとうに実感じっかんします。

庭山にわやま発達はったつ障害しょうがい等とうへの理解りかいが以前いぜんよりもずっと進すすんでいるという印象いんしょうは、学校がっこう現場げんばに勤つとめている時ときに受うけたので、素地そじとしては外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとを見みる目め、視点してんというのはあるのに、とは思おもっています。

（外国がいこく人じん児童じどう生徒せいとの教育きょういくに関かんする）まとまった情報じょうほうとか、まだまだ検索けんさくしても、わかりづらいと思おもいますし、文章ぶんしょうも難むずかしい気きがします。学校がっこうの先生せんせいが、今いまから急きゅうに国際こくさい教室きょうしつを担当たんとうすることになって勉強べんきょうするとなったときに、多分たぶん右往左往うおうさおうしちゃいますよね。