日本相撲協会は29日、秋場所(9月11日初日、両国国技館)の新番付を発表。水戸龍(錦戸)が、2017年夏場所に幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んでから6年目で新入幕を果たした。
横綱・照ノ富士(伊勢ケ浜)、名古屋場所で初優勝した逸ノ城(湊)と同じ飛行機でモンゴルから来日。鳥取城北高から日大に進学して3年生でアマ横綱、4年生で主将を務め学生横綱を獲得した逸材。周囲は「とんでもない力士が入ってきた」と期待を寄せたが、腰痛が慢性化して足踏み。水戸龍の「遅くてすみませんでしたという感じです」という言葉には実感がこもっていた。
遅れてきた男に、師匠の錦戸親方(元関脇・水戸泉)も歯がゆい気持ちだったという。「正直言って、どんな記録を作るのかなと思っていました。上がってくれてホッとしています。これまでは大きな体を使い切れていなかったですが、やっと体を使って前に出る相撲が出るようになった。そこが成長点ですかね」と話した。師匠にとっては部屋を興して20年の節目の年に初めて幕内力士が誕生。緩みがちな表情からうれしさがにじみ出ていた。
問題は精神面だろう。師匠も「とにかくマイペース」と認めている。新入幕が遅くなった原因を問われ「自分のペースで行き過ぎました」。「焦りはなかったのか」の質問には「その日の相手のことしか考えていません。他のことは考えないので、そういうことはなかったですね」と繰り返すだけだった。
師匠も「あんまりライバル意識とかね。淡々としてます。穏やかというか、欲がないというか、負けたくないとかの貪欲さが少ないんですね。基本的に優しいですから」と認めていた。幕内で飛躍できるかどうかは水戸龍の気持ち次第といえるだろう。