『デビルマン』など名作を多数描いてきた漫画家界の巨匠、永井豪
永井 豪(ながい ごう)は1945年石川県生まれの漫画家です。石ノ森章太郎のアシスタントを務めていた経験があります。漫画家デビューは1967年で、掲載された作品は『目明しポリ吉』でした。
『デビルマン』や『キューティーハニー』など、アニメ化された作品も多数あります。2018年1月には、漫画家人生50周年を記念して、『デビルマン』にオリジナルの物語もまじえた「DEVILMAN crybaby」がnetflixでアニメ放送されました。
『デビルマン』の原作の詳細については<名作漫画『デビルマン』5分でわかるヤバさ!最終巻でヒロインが……!【全巻ネタバレあり】>の記事でご確認ください。
性やバイオレンスを要素として描きこんだ作品は、多くの漫画家に影響を与えたことでしょう。
今回は、永井豪のギャグ漫画のなかから、おすすめの作品を5作紹介していきます。愛読していた方も、馴染みのない若い方も、ぜひ手にとってみてください。
5位 明るい乞食のポジティブギャグ漫画 『オモライくん』
世の中の数ある漫画の中でも選りすぐりに不潔な漫画、それが『オモライくん』です。
オモライくんとおこもちゃん、そしてオモライくんの育ての親コジじいの3人が主な登場人物。なんとこの3人、全員乞食なんです。と、言っても卑屈な乞食の物語などではなく、常に笑顔でポジティブに乞食ライフを堪能する姿が描かれています。食べ物はゴミ捨て場から見つけ出し、たくましく生きているのです。
しかし乞食であるにも関わらず、オモライくんは小学校に通っています。周囲に迷惑がかかるほど汚く、教師の中にはその不潔さに発狂してしまう者も。乞食の小学生が主人公だなんて、今の社会だったら受け入れられないような内容ですよね。そんな3人の登場人物たちは、誰が見たって不潔なんですが、本人たちにそんな自覚は全くないんです。だから明るく元気に生きていけるんでしょうね。
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オモライくんは太っているように見えますが実は痩せていて、脂肪のように見える部分は全て垢。乞食なため、体中に垢が溜まっているんです。常軌を逸していますよね。
そんなオモライくんには、垢を使ってなんでも作れるという特技があります。垢で顔を変えることだってできるのです。……こんなことは普通考えられませんが、ギャグ漫画なのでなんでもありなようです。さらに、どんなものでも腐らせることができるという特技も。「信じられんがこの氷腐ってる」(『オモライくん』より)と、氷まで腐らせてしまう驚愕の不潔度を誇っています。
人間の暗部をブラックユーモアとして描いたこの作品。なぜここまで不潔というものを極めた作品を作ったのか疑問に思うほどですが、その中には哲学や神聖さすら感じます。
壮絶な人生を明るく生き抜いたオモライくん。そんな姿にどこか寂しさを感じ、そして勇気を貰うこともできる漫画となっています。ギャグ漫画でありながら闇が深すぎるため、悲しくなってしまうかもしれませんが、おすすめの一作です。
4位 男の娘の元祖?女として編入されされた男の学園生活 『おいら女蛮』
男子中学生・女蛮子は新しく編入することになった女尊学園。喧嘩っ早い蛮子はなんども退学の憂き目にあっており、女尊学園も退学させられたあとに編入した学校でした。
しかしその女のような名前のせいで女子として学校に通うことになった蛮子は、開き直ってセーラー服をまとい女子生徒として学園生活を送ることを決めます。そして女番グループ・パンス党の番長を倒し、別の女番グループに狙われることになり、体育部からは勧誘を受けることになるのです。
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もし女として女子校に通うことができたら……という妄想を具現化したような作品とも言えますね。そして随所にお色気シーンが設けてあり、いかにも昔のギャグ漫画だなといった作品になっています。
しかしながら漫画の絵を見る限り女蛮子はどう見ても男であり、名前だけで女と間違われるなんでおかしなものです。それでも男の娘というキャラ設定の先駆けか的立ち位置にある作品なのかもしれませんね。
クラスにのマドンナ的な女の子・男男子のことを女蛮は好きなんですが、女の子なのに男男子だなんて、変な名前過ぎますよね。作者・永井豪の異端さが際立っています。
永井豪作品のネタや、ほか作者の漫画のパロディ出てきたり、昔ながらの漫画をよく知っている人にとっては二度おいしい作品となっているのではないでしょうか。