「おとめ座ざ」の版はん間あいだの差分さぶん

おとめ座ざの原型げんけいとなったのは[[古代こだいメソポタミア]]の星座せいざであるとされる。[[オーストリア]]のアッシリア学者がくしゃ{{仮かりリンク|ヘルマン・フンガー|en|Hermann Hunger}}と[[アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく|アメリカ]]の数理すうり天文学てんもんがく・古典こてん学者がくしゃの{{仮かりリンク|デイヴィッド・ピングリー|en|David Pingree}} (David Pingree) が解読かいどくした、紀元前きげんぜん500年ねん頃ごろのメソポタミアの粘土ねんど板ばん文書ぶんしょ『{{仮かりリンク|ムル・アピン|en|MUL.APIN}} (MUL.APIN)』に記しるされた星せいや星座せいざの記録きろくによると、スピカは「畝うね」と呼よばれていたとされる{{R|Kondo2010}}。また、[[エジプト]] ・[[デンデラ]]の[[デンデラ神殿しんでん複ふく合体がったい#ハトホル神殿しんでん|ハトホル神殿しんでん]]で発見はっけんされた紀元前きげんぜん50年ねん頃ごろの天体てんたい図ずには、 Furrow（畝うね）とFrond（葉は）の2つの星座せいざがあり、2人ふたりの女性じょせいが描えがかれていた。「畝うね」は隣となりの[[しし座ざ]]の尾おと[[鞭むち]]、または[[麦むぎ]]穂ほを持もち、「葉は」は「エルアの葉は」と呼よばれる[[ナツメヤシ]]の葉はを持もっていた。のちにこの2つの女性じょせいが統合とうごうされて1人ひとりとなり、それぞれの手てに麦むぎ穂ほと葉はを持もつおとめ座ざの姿すがたとなったと考かんがえられている{{R|Kondo2010}}。

おとめ座ざのモデルとなった女性じょせいについては、数すう多おおくの説せつがある。紀元前きげんぜん700年ねん頃ごろのギリシャアの叙事詩じょじし人じん[[ヘーシオドス]]は著書ちょしょ『[[神かみ統みつる記き]]』の中なかで、大神おおがみ[[ゼウス]]と法ほうの[[女神めがみ]][[テミス]]の間あいだに生うまれた正義せいぎの女神めがみ[[ディケー]]であるとした{{R|Hirokawa1975}}。また紀元前きげんぜん3世紀せいき頃ごろの[[アラトス|アラートス]]は、ヘーシオドスと同おなじくディケーであるとも、星ほし々の父ちち[[アストライオス]]と曙あけぼのの女神めがみ[[エーオース]]の娘むすめ[[アストライアー]]であるともした{{R|ItoSagawa1999}}。[[エラトステネース]]は、著書ちょしょ『[[カタステリスモイ]]{{efn2|『カタステリスモイ』の作者さくしゃはエラトステネースではない、とする説せつもある。}}』の中なかでアラートスと同おなじ伝承でんしょうを伝つたえるとともに、異説いせつとして、穀物こくもつの穂ほを持もっていることから豊穣ほうじょうの女神めがみである[[デーメーテール]]やエジプトの女神めがみ[[イシス|イーシス]]、シリアの女神めがみアタルガティスであるとする説せつ、あるいは運うん命いのちの女神めがみ[[テュケー]]であるとする説せつも伝つたえている{{R|Palladi|Condos1997}}。特とくにテュケーについては「頭あたまがない」姿すがたであり、それゆえにおとめ座ざに頭あたまの部分ぶぶんがないのだとしている{{R|Condos1997}}。紀元前きげんぜん1世紀せいきの著作ちょさく家か[[ヒュギーヌス]]はも著書ちょしょ『天文てんもん詩し』の中なかで、[[ローマ神話しんわ]]の幸運こううんの女神めがみ[[フォルトゥーナ]]（ギリシア神話しんわのテュケーに相当そうとう）、豊穣ほうじょうの女神めがみ[[ケレース]]（ギリシア神話しんわのデーメーテールに相当そうとう）とする説せつを伝つたえており、ケレースについては「頭あたまが間違まちがいなくある女神めがみであるためこの星座せいざには似につかわしくない」としている{{R|Condos1997}}。このほかにヒュギーヌスは、[[アッティカ]]の[[イーカリオス]]の娘むすめエーリゴネー、[[アポローン#異名いみょうとローマ神話しんわ|アポロー]]と[[クリューソテミス]]の娘むすめパルテノスとする説せつを伝つたえている{{R|Condos1997}}。さらに後世こうせいの文献ぶんけんでは、テスピア、[[エイレイテュイア]]、[[キュベレー]]、[[アテーナー]]、[[ヘカテー]]などもがこの星座せいざのモデルとされている{{R|Condos1997}}。

ヘーシオドスやアラートス、エラトステネース、ヒュギーヌスらは、ディケー{{efn2|ヒュギーヌスは、ディケーではなく「[[ユーピテル]]の娘むすめテミス」としている{{R|Condos1997}}。}}にまつわる以下いかの伝承でんしょうを伝つたえている。昔むかし、人間にんげんが争あらそいもなく平和へいわに暮くらしていた時代じだい（黄金おうごん時代じだい）は、神かみもまた地上ちじょうで人間にんげんとともに暮くらしていた{{R|Ridpath}}。しかししだい次第しだいに人間にんげんたちには文明ぶんめいと欲よくが生うまれ、争あらそうようになったため、神かみは1人にんずつ天てんに帰かえっていった{{R|Ridpath}}。最後さいごまで地上ちじょうに残のこったディケーは人間にんげんに正義せいぎを教おしえていたが、人間にんげんがしだい次第しだいに悪心あくしんをも持もちつようになると彼女かのじょも失望しつぼうし、まずは山中さんちゅうに隠棲いんせい、それでも人倫じんりんの荒廃こうはいがとどまらないのを見みると最後さいごには地ちを離はなれて自みずから天てんに昇のぼった{{R|Palladi|Condos1997}}。後世こうせいには、おとめ座ざの隣となりにある[[てんびん座ざ]]を、彼女かのじょの持もつ善悪ぜんあくを計はかる天秤てんびんであるとする話はなしもある付つけ加くわえられた{{R|Ridpath}}。

ゼウスと[[デーメーテール]]とその娘むすめ[[ペルセポネー]]とすにまつわる伝承でんしょうも伝つたわっている。彼女かのじょペルセポネーは妖精ようせいと花はなを摘つんでいる際さいに冥めい神しん[[ハーデース]]に拐かどわかさ冥府めいふへと連れんれ去さられ、妻つまとされた{{R|Ridpath}}。母ははデーメーテールがはそれを知しって激怒げきどしたため、大神おおがみ[[ゼウス]]に娘むすめを地上ちじょうに返かえすよう求もとめた。ゼウスはハーデースにペルセポネーを天界てんかいに帰きすように命めいじる{{R|Ridpath}}。、ペルセポネーは天界てんかい地上ちじょうに戻もどっされたが、冥界めいかいの[[ザクロ]]を口くちにしていたため、1年としのうち半年はんとし（あるいは8か月げつ）は天てん地ち上うえで、残のこり4か月げつは冥界めいかいで過すごすこととなった{{R|Ridpath}}。こうしておとめ座ざ、娘むすめが天てん冥界めいかいに上あがらない4か月げつの赴おもむく期間きかんができ、それを嘆なげき悲かなしんだはデーメーテールによりが嘆なげき悲かなしむため、穀物こくもつの育そだたない冬ふゆが生うまれることとなった{{R|Ridpath}}。

<ref name="astro1">{{citeCite web|和書わしょ

<ref name="Palladi">{{Cite web|和書わしょ

| url=httphttps://www.pas.rochester.edu/~emamajek/WGSN/IAU-CSN.txt

| date=1997 | isbn=978-1-60925-678-4 | oclc=840823460 | page=185-177187}}</ref>