「流ながれ (博多はかた)」の版はん間あいだの差分さぶん

[[那珂川なかがわ (九州きゅうしゅう)|那珂川なかがわ]]・[[御笠川みかさがわ]]・[[博多湾はかたわん]]・房州ぼうしゅう堀ほり（およそ現在げんざいの[[国体こくたい道路どうろ]][[国道こくどう202号ごう]]）に囲かこまれた狭義きょうぎとしての博多はかたは、[[安土あづち桃山ももやま時代じだい]]までは[[自治じち都市とし]]として栄さかえたが戦火せんかにより荒廃こうはいした。[[九州きゅうしゅう征伐せいばつ]]を終おえた[[豊臣とよとみ秀吉ひでよし]]は[[1587年ねん]]に博多はかたの復興ふっこうを構想こうそう、[[黒田くろだ孝高よしたか]]（如水じょすい）に立案りつあんさせ、[[石田いしだ三成みつなり]]をはじめ[[滝川たきがわ雄つよし利り]]・[[長束ながつか正ただし家か]]・[[小西こにし行長ゆきなが]]・[[山崎やまざき片へん家か]]らを復興ふっこう事業じぎょうにあたらせた。この区画くかく整理せいり事業じぎょうは'''太閤たいこう町まち割わり'''と呼よばれる。[[神屋かみや宗そう湛じん]]や[[島井しまい宗室そうしつ]]も援助えんじょを行おこなった。町まち割わりに際さいして秀吉ひでよしは東西とうざいおよび南北なんぼくの町筋まちすじ（通とおり）の数かずを七なな条じょう[[袈裟けさ]]になぞらえて7本ほんとし、町筋まちすじに面めんした家々いえいえを地区ちくごとに1つの町まちとした。いわゆる背割せわり方式ほうしきであり（現代げんだいは[[街まち区く]]方式ほうしきが主流しゅりゅう）、町筋まちすじを挟はさんだ向むかいの家々いえいえも同おなじ町内ちょうないであるが、裏手うらてにある家いえは別べつの町まちに属ぞくした。そして町筋まちすじごとに「流りゅう」という町まちの集合しゅうごう体たいを形成けいせいさせた。流りゅうは自治じち組織そしき上じょうおよび行政ぎょうせい上じょう、町まちの上位じょうい[[行政ぎょうせい区画くかく]]でもある。

この際さい、筋すじ毎ごとに町まちの集合しゅうごう体たいである流りゅうを組織そしきした。南北なんぼく縦たて筋すじに東町ひがしまち流りゅう、市小路いちしょうじ流りゅう（呉服ごふく町まち流りゅう）、西町にしまち流りゅう、土居とい町まち流りゅう（[[土居とい流りゅう]]）、東西とうざい横筋よこすじに石堂いしどう流りゅう（[[恵比須えびす流りゅう]]）、魚町うおまち流りゅう（[[福神ふくじん流りゅう]]）、最もっとも福岡ふくおか側がわ寄よりの博多はかた川がわ沿ぞいに、洲崎すさき町まち流りゅう（[[大黒だいこく流りゅう]]）を配はいした。

毎年まいとしこれら7流りゅうのうち6流りゅうが博多はかた祇園山ぎおんやま笠かさの山やま笠かさ当番とうばんを務つとめ、1流りゅうが能のう当番とうばんを務つとめた。また、[[博多はかたどんたく]]の前身ぜんしん（中核ちゅうかく）である博多はかた松まつ囃子ばやしでは、[[福神ふくじん流りゅう]]、恵比須えびす流りゅう、大黒だいこく流りゅうが三さん福神ふくじんの当番とうばんを務つとめ、他たの4流りゅうが交代こうたいで稚児ちご流りゅうの当番とうばんを務つとめた。

流りゅうはそののち町まちの発展はってんと共ともに、厨子ずし流りゅう（櫛田くしだ流りゅう）、新町しんまち流りゅう、築港ちっこう流りゅう、沖浜おきはま流りゅうと拡大かくだいした。このうち新町しんまち流りゅうは岡新おかしん町まち流りゅう（のちに岡おか流りゅう、現在げんざいの祇園ぎおん町まち一帯いったい）と濱はま新町しんまち流りゅう（のちに濱はま流りゅう、現在げんざいの大博たいはく町まち・神屋かみや町まち一帯いったい）に二分にぶんされた。

[[第だい2二に次じ世界せかい大戦たいせん]]末期まっきの[[福岡大ふくおかだい空襲くうしゅう]]によって博多はかたの町まちは焦土しょうどと化かし、戦後せんごになり道路どうろも付つけ変かわったが、旧きゅう町まちを引ひき継つぎ、流りゅうも存続そんぞくしえた。

[[戦後せんご]]はの流ながれは本来ほんらいの自治じち組織そしきとしての意義いぎは大幅おおはばに薄うすれ、[[博多はかた祇園山ぎおんやま笠かさ|山やま笠かさ]]、[[博多はかた松まつ囃子ばやし|松まつ囃子ばやし]]の当番とうばんのための流ながれものとなった感かんがある。しかし一方いっぽうで、博多はかた祇園山ぎおんやま笠かさ振興しんこう期成きせい会かい（[[博多はかた祇園山ぎおんやま笠かさ振興しんこう会かい]]の前身ぜんしん）が結成けっせいされ、山やま笠かさ振興しんこうのため広ひろく門戸もんこを開放かいほうしたため、旧ふるい博多はかたの外そとから[[中洲なかす流りゅう]]（中島なかじま町まちを除のぞく戦前せんぜんから[[中洲なかす土居どい流りゅう]]全域ぜんいきの加勢かぜ町まちとして部分ぶぶん的てきに参加さんかしていた）、[[千代ちよ流りゅう]]（[[福岡ふくおか市立しりつ千せん代だい小学校しょうがっこう|千代ちよ校区こうく]]全域ぜんいき大津おおつ町まち流りゅう）、南みなみ流りゅう（一いち丁目ちょうめ流りゅう（南みなみ）、唐人とうじん町まち流ながれ（[[唐人とうじん町まち]]一体いったい）等ひとしが山やま笠かさに参加さんかするために流りゅうを組織そしきし、今日きょうの山やま笠かさの隆盛りゅうせいに大おおいに貢献こうけんすることとなった。

* 呉服ごふく町まち流りゅう: ：東長ひがしおさ寺前てらまえ町まち、東長寺とうちょうじ前ぜん新道しんどう、上うえ小山おやま町まち、下した小山おやま町まち、上呉服かみごふく町まち、下呉服しもごふく町まち、上市かみいち小路こうじ、中市なかいち小路こうじ、下市しもいち小路こうじ、廿にじゅう屋や町まち（にじゅうやまち）萱かや堂どう町まち、奥おく小路こうじ

* 東町ひがしまち流りゅう: ：御供所ごくしょ町まち、金屋かなや小路こうじ、北船きたふな町まち、上東じょうとう町まち、下東しもひがし町まち、上うえ浜口はまぐち町まち、中ちゅう浜口はまぐち町まち、下した浜口はまぐち町まち、鏡かがみ町まち

* 大黒だいこく流りゅう: ：東下ひがししも新川しんかわ端はし町まち、下新川しもにいかわ端はし町まち、寿通ことぶきどおり、麹屋こうじや町まち、川端かわばた町まち、上うえ鰮いわし町まち、下しも鰮いわし町まち、上うえ洲崎すさき町まち、下した洲崎すさき町まち、上対馬かみつしま小路こうじ、中ちゅう対馬小路つましょうじ、下した対馬小路つましょうじ、下した対馬小路つましょうじ大下おおげ、掛かけ町まち、橋口はしぐち町まち

* 西町にしまち流りゅう: ：万まん行ぎょう寺前てらまえ町まち、竹たけ若わか町まち、箔はく屋や町まち、上西かみにし町まち、下西しもさい町まち、蔵本くらもと町まち、奈良屋ならや町まち、古渓こけい町まち、芥屋けや町まち、釜屋かまや町まち

* 恵比須えびす流りゅう: ：蓮池はすいけ町まち、官かん内ない町まち、上うえ竪たて町まち、中ちゅう竪たて町まち、下竪しもたて町まち、下金屋しもかなや町まち、横町よこちょう（下金屋しもかなや町まち横よこ町まち）、上金屋かみかなや町まち、中石なかいし堂どう町まち、中間なかま町まち、綱場つなば町まち

* 土居とい流りゅう: ：上新川かみにいかわ端はし町まち、大乗だいじょう寺前てらまえ町まち、川口かわぐち町まち、中土居なかどい町まち、片かた土居とい町まち、上土居かみつちい町まち、下土居しもつちい町まち、行あるき町まち、濱はま小路こうじ、西方せいほう寺前てらまえ町まち

* 福神ふくじん流りゅう: ：西門にしもん町まち、中小路なかこうじ町まち、上魚かみうお町まち、中ちゅう魚さかな町まち、下した魚さかな町まち、上うえ店屋てんや町まち、下した店屋てんや町まち、古こ小路こうじ町まち

* 濱はま流りゅう :：大浜おおはま町まち一いち丁目ちょうめ、大浜おおはま町まち二に丁目ちょうめ、大浜おおはま町まち三さん丁目ちょうめ、大浜おおはま町まち四よん丁目ちょうめ、小金おがね町まち、柳やなぎ町まち

* 櫛田くしだ流りゅう: ：今熊いまくま町まち、櫛田くした前町まえまち、上うえ厨子ずし町まち、下しも厨子ずし町まち、上うえ奥おく堂どう町まち、中奥なかおく堂どう町まち、下しも奥おく堂どう町まち、上うえ赤間あかま町まち、下した赤間あかま町まち、上桶屋かみおけや町まち、下した桶屋おけや町まち、寺中じちゅう町まち、上うえ普ひろし賢堂かしこどう町まち、下した普ひろし賢堂かしこどう町まち

* 岡おか流りゅう: ：瓦かわら町まち、社家しゃけ町まち、下祇園しもぎおん町まち、上祇園かみぎおん町まち、矢倉やぐら門もん、馬場ばば新町しんまち、上うえ辻堂つじどう町まち、下辻しもつじ堂どう町まち、出来でき町まち、停車場ていしゃじょう町まち

例たとえば、恵比須えびす流りゅう・大黒だいこく流りゅうはほぼ旧きゅう体制たいせいを受うけ継ついで今日きょうに至いたっており、土居どい流りゅうは、町名まちみょう町まち界かい整理せいり事業じぎょうにより土居とい町まちをはじめとする大半たいはんの町まちが消滅しょうめつしたため存続そんぞくが困難こんなん視しされたが、有志ゆうしによって土居どい町筋まちすじ沿ぞいの旧きゅう町まち体制たいせいを維持いじした土居どい流りゅう保存ほぞん会かいが結成けっせいされ、て流りゅうが復活ふっかつすることとなり、引ひき続つづき山やま笠かさの当番とうばんを務つとめ今日きょうに至いたっている。

一方いっぽう、呉服ごふく町まち流りゅうは大半たいはんが[[大博たいはく通どおり]]に含ふくまれ、また分断ぶんだんされることになり流りゅう運営うんえいも苦くるしくなるため、東西とうざいに分離ぶんりして東側ひがしがわは東町あずままち流りゅうと合流ごうりゅうし[[東ひがし流りゅう]]、西側にしがわは西町にしまち流りゅうと合流ごうりゅうし[[西にし流りゅう]]となった。

現在げんざいでは、[[土居とい流りゅう]]、[[大黒だいこく流りゅう]]、[[東ひがし流りゅう]]、[[中洲なかす流りゅう]]、[[西にし流りゅう]]、[[千代ちよ流りゅう]]、[[恵比須えびす流りゅう]]、[[福神ふくじん流りゅう]]の8つの流りゅうがあり、[[福神ふくじん流りゅう]]を除のぞく7流りゅうが山やま笠かさ当番とうばんを務つとめる。この山やま笠かさを務つとめる7流りゅうは「[[博多はかた七なな流りゅう]]」とよばれる。

* 土居とい流りゅう: ：[[川端かわばた (福岡ふくおか県けん市し)#上川端かみかわばた町まち|上川端かみかわばた町まち]]、[[冷泉れいせん町まち]]、[[川端かわばた (福岡ふくおか県けん市し)#下川端しもかわばた町まち|下川端しもかわばた町まち]]、[[綱場つなば町まち]]、[[古門戸こもんど町まち]]、奈良屋ならや町まち

* 大黒だいこく流りゅう: ：上川端かみかわばた町まち、下川端しもかわばた町まち、[[須崎すさき町まち (福岡ふくおか市し)|須崎すさき町まち]]、古門戸こもんど町まち、[[対馬小路つましょうじ]]

* 東ひがし流りゅう: ：御供所ごくしょ町まち、[[呉服ごふく町まち (福岡ふくおか市し)|上呉服かみごふく町まち、中呉服なかごふく町まち、下呉服しもごふく町まち]]、博多駅前はかたえきまえ（旧きゅう：出来でき町まち）

* 中洲なかす流りゅう: ：中洲なかす一いち丁目ちょうめ、中洲なかす二に丁目ちょうめ、中洲なかす三さん丁目ちょうめ、中洲なかす四よん丁目ちょうめ、中洲なかす五ご丁目ちょうめ

* 西にし流りゅう: ：冷泉れいせん町まち、店屋てんや町まち、綱場つなば町まち、奈良屋ならや町まち

* 千代ちよ流りゅう: ：旧きゅう千代ちよ町まち一帯いったい、[[福岡ふくおか市立しりつ千せん代だい小学校しょうがっこう|千代ちよ小学校しょうがっこう]]区く全体ぜんたい

* 恵比須えびす流りゅう: ：上呉服かみごふく町まち、中呉服なかごふく町まち、下呉服しもごふく町まち、綱場つなば町まち

* 福神ふくじん流りゅう: ：店屋てんや町まち、上呉服かみごふく町まち