'''変成岩'''(へんせいがん、{{Lang-en-short|metamorphic rock}})とは、既存の岩石が[[変成作用]]を受けてできた[[岩石]]のことである{{Sfn|榎並|2013|p=117}}。変成岩の原岩は[[火成岩]]、[[堆積岩]]など種類は問わず、変成岩がさらに変成作用を受ける場合もある{{Sfn|周藤・小山内|2002|p=123}}。
変成岩は、原岩になった岩石の種類と、受けた変成作用の性質により分類される。変成作用の主な要因は[[熱]]と[[圧力]]で、変成作用の種類により温度と圧力の条件が異なる。
*== [[接触変成岩]] ==▼
1950年代ごろまでは、旧字体の變の字を使い、[[變成岩]]と書かれていた。
'''接触変成岩'''(せっしょくへんせいがん、{{Lang-en-short|contact metamorphic rock}})は、[[マグマ]]の[[貫入]]に伴って、周囲の岩石がマグマからの熱により変成を受けてできる変成岩である{{Sfn|榎並|2013|p=120}}。'''熱変成岩'''(ねつへんせいがん、{{Lang-en-short|thermal metamorphic rock}})ともいう。通常は[[地殻]]の比較的浅い部分で起こる現象のことを指す場合が多く、圧力が低く温度の高い条件下で安定な[[鉱物]]が形成される。また、広域変成岩よりは変形を受けることが少ないため、方向性のある構造を持たないことが普通である。
* [[ホルンフェルス]] - 原岩は[[砂岩]]、[[泥岩]]、[[頁岩]]など。
* 結晶質石灰岩([[大理石]]) - 原岩は[[石灰岩]]。
{{Commonscat|Metamorphic rocks}} ▼
* [[珪岩]] - 原岩は[[チャート (岩石)|チャート]]。
* [[スカルン]] - 原岩は[[石灰岩]]、[[苦灰岩]]。
* [[変成作用直閃石菫青石岩]]
* [[グライゼン]](英雲岩)
* [[堆積作用]]
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ファイル:Hornfels.jpg|ホルンフェルス
ファイル:MarbleUSGOV.jpg|結晶質石灰岩
ファイル:Quartzite 2 jpg.jpg|珪岩
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▲*== [[広域変成岩]] ==
'''広域変成岩'''(こういきへんせいがん、{{Lang-en-short|regional metamorphic rock}})は、源岩が地下深部で高温高圧下にさらされて形成される変成岩である。過去の[[プレート]]境界に関連して、同時期に一連の変成作用を受けた岩石が千km以上に渡って分布することもあるので、接触変成作用より広い範囲で起こる変成作用という意味合いで、広域変成作用という言葉が用いられる。広域変成岩は高温の条件下で剪断応力をうけることが多いので、片麻岩や結晶片岩のように縞状構造を持ったり、鉱物が特定方向に並んで成長するなど、岩石に方向性のある構造が見られることが普通である。
広域変成作用については、その温度・圧力条件、とりわけ温度圧力勾配により分類が行われる。すなわち圧力(深さ)のわりに温度の高い高温低圧型、圧力のわりに温度が低い低温高圧型、その中間の中圧型である。さらに低温高圧型のなかでも、[[コース石]]や[[ダイヤモンド]]などを産し、特に深部まで潜った岩石が上昇してきたものを'''超高圧変成岩'''とよぶ。このように温度圧力条件を重要視するのは、それが変成作用の起こった場を知る手掛りになるからである。たとえば、低温高圧型変成岩の多くは、沈み込むプレートおよびそれに引きずられて深部に潜った岩石が再び上昇してきたものであると考えられる。
* [[千枚岩]]
* [[結晶片岩]](片岩)
* [[片麻岩]]
* [[ミグマタイト]]
* [[角閃岩]]
* [[グラニュライト]](白粒岩)
* [[エクロジャイト]](榴輝岩)
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ファイル:PhylliteUSGOV.jpg|千枚岩
ファイル:Chlorite schist.jpg|緑泥石片岩
ファイル:Gneiss.jpg|片麻岩
ファイル:Eclogite Norway.jpg|エクロジャイト
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広域変成作用はプレート境界において起こることが多く、しばしば帯状の分布域を持つ。そのようなものを'''[[広域変成帯]]'''という。
; 日本の代表的な広域変成帯
: [[飛騨変成帯]]、[[三郡変成帯]]([[蓮華変成帯]]、[[周防変成帯]])、[[神居古潭変成帯]]、[[三波川変成帯]]、[[領家変成帯]]、[[阿武隈変成帯]]、[[日高変成帯]]
▲*== [[動力変成岩]] ==
[[断層]]運動に伴って、短時間岩石の温度や圧力が上昇したり、また変形を受けてできる岩石のことを'''動力変成岩'''(どうりょくへんせいがん、{{Lang-en-short|dynamic metamorphic rock}})と呼ぶことがあるが、余り使われない用語である。さらに、過去において広域変成岩の結晶片岩などを動力変成岩と呼ぶこともあったので、その点でも注意を要する。
* [[マイロナイト]](圧砕岩)
* [[偽玄武岩はり]]
▲*== [[衝撃変成岩]] ==
'''衝撃変成岩'''(しょうげきへんせいがん)は、[[隕石]]の落下などによる局所的超高圧で生じた変成岩。
* [[シャッターコーン]]
== 脚注 ==
<references />
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書
|author = [[都城秋穂]]|authorlink=都城秋穂
|coauthors = [[久城育夫]]
|title = 岩石学II - 岩石の性質と分類
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[黒田吉益]]|authorlink=黒田吉益
|coauthors = [[諏訪兼位]]
|title = 偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[益富壽之助]]|authorlink=益富壽之助
|title = 原色岩石図鑑 全改訂新版
|year = 1987
}}
* {{Cite book|和書
|author author1= [[豊遙秋]]・[[|authorlink1=豊遙秋|author2=青木正博|authorlink2=青木正博]]
|title = 検索入門 鉱物・岩石
|year = 1996
|publisher = [[保育社]]
|isbn = 4-586-31040-5
}}
* {{Cite book|和書|author=周藤賢治|coauthors=小山内康人|year=2002|title=記載岩石学 : 岩石学のための情報収集マニュアル|series=岩石学概論|publisher=共立出版|isbn=4-320-04639-0|ref={{Sfnref|周藤・小山内|2002}}}}
* {{Citation|和書
|author = [[榎並正樹]]
[[Category:|title = 岩石学]]▼
|year = 2013
|series = 現代地球科学入門シリーズ
|publisher = [[共立出版]]
|isbn=978-4-320-04724-2
|ref={{Sfnref|榎並|2013}}
}}
▲{{Commonscat|Metamorphic rocks}}
== 外部リンク ==
* [http://www.gsj.jp/Muse/hyohon/Rock/ind-bun/ind-meta.htm 地質標本鑑賞会:第4展示室 分類 岩石]
* [http://www.jisuberi-kyokai.or.jp/ganseki/henseigan/henseigan.html 変成岩]
* [http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/ES_C.html#anchor172554 岩石の種類]
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:へんせいかん}}
[[Category: 変成岩石|*]] ▼
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