ある

日本語にほんご

語源ごげん

古典こてん日本語にほんご「あり」 < 日本にっぽん祖語そご *ari

発音はつおん

• (東京とうきょう式しき) あ​る [áꜜrù] (頭あたま高だか型がた – [1])
• IPA^(?): [a̠ɾɯ̟ᵝ]
• (京阪けいはん式しき) ある

動詞どうし

ある【有ゆうる、在ざいる】

1. 存在そんざいする。（現在げんざいでは一般いっぱん的てきに「在ざい」の字じを当あてるが、かな書がきが多おおい。具体ぐたい的てきな人ひとや動物どうぶつについては いる、おる を用もちいる。）
   1. 事物じぶつが存在そんざいする。（所有しょゆうの意味いみを含ふくむ場合ばあいは「有ゆう」の字じを当あてることがある。）
      • 昨日きのうまでここにあったのに。
      • これとは異ことなる視点してんで解説かいせつする本ほんもある。
      • この植物しょくぶつは恐竜きょうりゅうの時代じだいからある。
   2. （場所ばしょや所在しょざいを表あらわす語かたりを伴ともない）建物たてものなどがその場所ばしょに所在しょざいする。位置いちする。
      • 駅えきから徒歩とほ三さん分ふんのところにある。
      • この市しには博物館はくぶつかんがある。
   3. 抽象ちゅうしょう化か・客観きゃっかん視し・類型るいけい化かされた人ひとや動物どうぶつが存在そんざいする。
      • 私わたしには強つよい味方みかたがある。
      • 反対はんたいする者ものもあれば、また賛成さんせいする者ものもあった。
   4. 人ひとや動物どうぶつが存在そんざいする。ながらえる。（古風こふうない方いかた）
      • 世よに在ある限かぎり。
      • 捨すてる神かみあれば拾ひろう神かみあり。
      • 敵てきは本能寺ほんのうじにあり。
      • むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。
2. 有ゆうされている。（「有ゆう」の字じを当あてるが、かな書がきが多おおい。）
   1. 事物じぶつを（利用りようできる状態じょうたいで）所有しょゆうしている。
      • 食材しょくざいが冷蔵庫れいぞうこに有ある。
      • 日本語にほんごにある言葉ことばに訳やくす。
      • あと一いち時じ間あいだある。
      • 車くるまがあるから乗のって行いきませんか。
      • 手てづかみで食たべなくてもお箸はしがあるでしょ。
      • 冷ひやし中華ちゅうか あります
      • 投票とうひょう権けんがある。
      • 時間じかんが有あり余あまる。
      • 博物館はくぶつかんがある市し。
      • メニューにあるものの中なかから選えらぶ。
   2. 家族かぞくや友人ゆうじんなどがいる。
      • 私わたしは姉あねがある。
      • 身寄みよりがある。
   3. ある性質せいしつや状態じょうたい、能力のうりょくを備そなえている。（「距離きょりがある」のように、程度ていどが高たかい意いを持もつことがある。）
      • 風味ふうみがある。
      • 熱ねつがある。
      • ボリュームがある。
      • 名前なまえがある。
      • 生せいあるものは必かならず死しあり。
      • 影響えいきょう力りょくがある。人望じんぼうがある。
      • 理解りかい力りょくがある。才能さいのうがある。
      • 可能かのう性せいがある。
      • 手てのひらほどの大おおきさがある。
      • 抜ぬけがある。
   4. 要素ようそとして内部ないぶに持もっている。
      • この部屋へやには窓まどがある。
      • 水みずかきのある動物どうぶつ。
   5. ある感情かんじょう・記憶きおく・感覚かんかく・考かんがえを持もっている。
      • 自信じしんがある。
      • 腕うでに覚おぼえがある。
      • 痛いたみがある。
      • お願ねがいがある。
      • 理解りかいのある人ひと。
      • そのくらいの気遣きづかいはある。
      • これをきっかけに国民こくみんの理解りかいが進すすんでほしいという思おもいはあります。
   6. すべきことを抱かかえている。
      • 明日あしたは授業じゅぎょうがある。
      • 仕事しごとがあるから行いけない。
      • 奨学しょうがく金きんの返済へんさいがあるため生活せいかつに余裕よゆうがない。
      • 責任せきにんがある。
      • 仕事しごとにはやりかたがある。
   7. （数量すうりょうを表あらわす語かたりを受うけて）長ながさや重おもさなどがそのようである。
      • 目方めかたが30キロほどある。
      • 駅えきまで３キロある。
      • この川かわの長ながさはどれほどあるか。
3. （「にある」の形かたちで）ある状態じょうたい・地位ちいに置おかれている。（「在ざい」の字じを当あてるが、かな書がきが多おおい。）
   1. ある状態じょうたいに置おかれている。
      • 増加ぞうか傾向けいこうにある。
      • 病やまいの床ゆかにある。
   2. ある地位ちいを占しめている。
      • 大臣だいじんの職しょくにある。
4. 現象げんしょう・動作どうさが起おこる。
   1. 物事ものごとが行おこなわれる。
      • 不正ふせいがあった。
      • 授業じゅぎょうがあった。
      • 電話でんわがあった。
   2. 催事さいじや放送ほうそうなどが実施じっしされる。実施じっし予定よていである。
      • 4月がつは統一とういつ地方ちほう選挙せんきょがある。
      • 好すきなドラマがあるから見みたいの。
   3. ある特別とくべつな事柄ことがらが起おこる。
      • 地震じしんがあった。
      • 二に度どあることは三さん度どある。
      • 万一まんいちのことがあったらどうするか。
5. 時間じかんがたつ。
   • ややあって電話でんわがあった。
6. そのように書かいてある。記しるされている。読よめる。
   • 記録きろくにある。
   • 法律ほうりつにある。
   • 明治めいじ初年しょねん建立こんりゅうとある。
7. 可能かのう性せいが残のこる。ありうる。（「可能かのう性せい」を省略しょうりゃくしたい方いかたと解釈かいしゃくすることもできる。）
   • 誰だれかが勝手かってに捨すてたのか、それはあるな。
   • 観光かんこう客きゃく激減げきげんで経営けいえいが悪化あっかしたというのは間違まちがいなくある。
8. ありふれている。ざらにある。（口語こうご）
   • そういうことってあるよね。
   • 「ある、ある」と思おもわせる。
9. 理由りゆうとなる。（口語こうご）
   • 紅葉こうようが美うつくしいこともあって人気にんきの観光かんこう地ちとなっている。
10. （「ことがある」「場合ばあいがある」などの形かたちで）状況じょうきょうにより、その事態じたいが起おこる意いを表あらわす。
    • 予定よていは変更へんこうになることがあります。
11. （過去かこの文脈ぶんみゃくで「ことがある」「経験けいけんがある」などの形かたちで）過去かこの経験けいけんを表あらわす。
    • この人ひと、見みたことある。
12. （「とあって」の形かたちで）なので。
    • 久ひさしぶりの再会さいかいとあって心しんが弾はずんだ。
    • 休日きゅうじつとあって人じんが多おおい。
13. （「とあっては」、「とあれば」の形かたちで）そういうことであれば。なら。
    • 社長しゃちょう直々じきじきの依頼いらいとあっては無下むげにできない。
14. （「にあって」の形かたちで）おいて。
    • 現代げんだいにあっては重要じゅうよう性せいが増ましている。
15. （「にある」の形かたちで）によって決きまる、帰着きちゃくするという意いを表あらわす。
16. （「だけのことはある」「だけあって」の形かたちで）期待きたいされるとおりだ。
17. （「つつある」の形かたちで）実現じつげんしようとしている、または継続けいぞく中ちゅうであるという意いを表あらわす。
18. （「ともあろう人ひとが」などの形かたちで）そのような立場たちばの人ひとがという意いを表あらわす。

活用かつよう

活用かつようと結合けつごう例れい

あ-る 動詞どうし活用かつよう表ひょう（日本語にほんごの活用かつよう）

ラ行ぎょう五ご段だん活用かつよう
語幹ごかん	未然みぜん形がた	連用形れんようけい	終止しゅうし形がた	連体れんたい形がた	仮定かてい形がた	命令めいれい形がた
あ	ら ろ	り っ	る	る	れ	れ

各かく活用かつよう形がたの基礎きそ的てきな結合けつごう例れい

意味いみ	語形ごけい	結合けつごう
否定ひてい	あらない	未然みぜん形がた + ない
意志いし・勧誘かんゆう	あろう	未然みぜん形がた音便おんびん + う
丁寧ていねい	あります	連用形れんようけい + ます
過去かこ・完了かんりょう・状態じょうたい	あった	連用形れんようけい音便おんびん + た
い切いきり	ある	終止しゅうし形がたのみ
名詞めいし化か	あること	連体れんたい形がた + こと
仮定かてい条件じょうけん	あれば	仮定かてい形がた + ば
命令めいれい	あれ	命令めいれい形がたのみ

用法ようほう

• 現代げんだいでは、「ある」の否定ひていに「*あらない」は使つかわれない。形容詞けいようしの「ない」を用もちいる。ただし否定ひていの強調きょうちょう表現ひょうげんとして「ありはしない」「ありはせぬ」を用もちいることはでき、これは後述こうじゅつの方言ほうげんとも関連かんれんする。文語ぶんごでは「あらず」となる。
• 丁寧ていねいな否定ひていは「ありません」または「ないです」、その過去かこの形かたちは「ありませんでした」または「なかったです」となるが、いずれも後者こうしゃは口語こうご的てき。
• 方言ほうげんにおいては、近畿きんき方言ほうげんの「あらへん」のように「ある」を否定ひていの形かたちで使つかう地域ちいきが現代げんだいでもある。

関連かんれん語ご

• あらぬ
• あらんかぎり
• ありえない
• ありがたい
• ありし
• あることないこと
• あろうことか
• いる
• とある

翻訳ほんやく

存在そんざい詞し・繋辞けいじ

• イタリア語ご: essere ^(it)
• インターリングア: esser ^(ia), ser ^(ia)
• 英語えいご: be ^(en)
• エスペラント: esti ^(eo)
• カタルーニャ語ご: ser ^(ca), estar ^(ca)
• 広東かんとん語ご: 係かかり
• ギリシア語ご: είμαι ^(el) (eímai)
• グジャラート語ご: હોવું ^(gu) (hovũ)
• スウェーデン語ご: vara ^(sv)
• スペイン語ご: ser ^(es), estar ^(es)
• タガログ語ご: mayroon
• チェコ語ご: být ^(cs)
• 中国ちゅうごく語ご: 是これ ^(zh)
• 朝鮮ちょうせん語ご: 있다 ^(ko) (issda)
• ドイツ語ご: sein ^(de)
• ヒンディー語ご: होना ^(hi) (honā)
• フィンランド語ご: olla ^(fi)
• フランス語ふらんすご: être ^(fr)
• ブルガリア語ご: съм ^(bg) (sǎm)
• ブルトン語ご: bezañ ^(br)
• ポーランド語ご: być ^(pl)
• ポルトガル語ご: ser ^(pt), estar ^(pt)
• ロシア語ご: быть ^(ru) (bytʹ)

存在そんざいする

• イタリア語ご: esistere ^(it)
• 英語えいご: exist ^(en), possible ^(en)
• スペイン語ご: existir ^(es)
• タガログ語ご: mayroon
• 中国ちゅうごく語ご: 在ざい ^(zh), 存在そんざい ^(zh)
• 朝鮮ちょうせん語ご: 있다 ^(ko) (issda)、존재하다 ^(ko) (jonjaehada)
• フランス語ふらんすご: exister ^(fr)
• ポルトガル語ご: existir ^(pt)

補助ほじょ動詞どうし

（V シテある）行為こうい (V) が行おこなわれ、行為こうい前まえと行為こうい後ごで何なんらかの変化へんかが生しょうじ、結果けっかとして何なんらかのもの、または何なんらかの状態じょうたいが存在そんざいする。

（ここで「変化へんか」とは、移動いどう、生起せいき、消滅しょうめつその他たの状態じょうたいの変化へんか、処置しょちの完了かんりょう、効果こうかの獲得かくとく、目標もくひょうの達成たっせいなどを含ふくむ。）

1. （N ガ V シテある：N は通常つうじょう動詞どうし V のヲ格かく語ごとなる名詞めいし）行為こうい (V) の結果けっかとして、もの (N) が何なんらかの状態じょうたいで存在そんざいする。
   1. （N1 ニ N2 ガ V シテある）具体ぐたい物ぶつ (N2) が場所ばしょ (N1) に設置せっちや作成さくせい (V) の結果けっかとして存在そんざいする。
      • 机つくえの上うえにかばんが置おいてある。
      • 黒板こくばんに座席ざせき表ひょうが書かいてある。
   2. （N ガ V シテある）ものの状態じょうたいを変化へんかさせる行為こうい (V) を受うけたもの (N) が、その結果けっかの状態じょうたいで存在そんざいする。
      • 前庭ぜんていの雑草ざっそうがすっかり抜ぬいてあった。
      • 机つくえの落書らくがきが綺麗きれいに消けしてある。
2. （N ハ V シテある）
   1. （N ハ V シテある：N は通常つうじょう動詞どうし V のヲ格かく語ごとなる名詞めいし）処置しょちの対象たいしょう (N) について、処置しょち (V) が完了かんりょうした状態じょうたいである。
      • 買かって来きたビールは冷蔵庫れいぞうこに冷ひやしてあります。
      • 配布はいふしておいた資料しりょうは読よんでありますか？
   2. （N ハ… V シテある：N は通常つうじょう動詞どうし V の主語しゅごとなる名詞めいし）行為こうい者しゃ (N) は、処置しょち (V) を完了かんりょうして目的もくてきを達成たっせいし、何なんらかの効果こうかを得えた状態じょうたいである。
      • 君きみは配布はいふ資料しりょうをきちんと読よんであるかい？。
      • 僕ぼくは今日きょうの夜よるに備そなえてしっかり寝ねてあります。
3. （N1 ガ N2 ヲ V シテアル）行為こうい者しゃ (N1) が対象たいしょう (N2) に行為こうい (V) を行おこなった結果けっかの状態じょうたいが存在そんざいする。
   • 庭にわの草くさにカマキリが卵たまごを産うんであるのを発見はっけんした。
   • 奈緒美なおみが研究けんきゅう室しつに傘かさを置おいてある。あれを拝借はいしゃくしよう。

関連かんれん語ご

• いる、おく

連体詞れんたいし

ある【或ある（る）】

1. 何なにでもいいからひとつの
   • ある人ひとにゴミ捨ごみすて場ばに捨すててあったと聞きいてきた。

---

古典こてん日本語にほんご

動詞どうし:生なる

ある【生せいる】

1. 生うまれる。

活用かつよう

あ-る 動詞どうし活用かつよう表ひょう（日本語にほんごの活用かつよう）

ラ行ぎょう下か二に段だん活用かつよう
語幹ごかん	未然みぜん形がた	連用形れんようけい	終止しゅうし形がた	連体れんたい形がた	已然いぜん形がた	命令めいれい形がた
あ	れ	れ	る	るる	るれ	れよ

動詞どうし:荒あらる

ある【荒あらる】

1. 荒あれる。

活用かつよう

あ-る 動詞どうし活用かつよう表ひょう（日本語にほんごの活用かつよう）

ラ行ぎょう下か二に段だん活用かつよう
語幹ごかん	未然みぜん形がた	連用形れんようけい	終止しゅうし形がた	連体れんたい形がた	已然いぜん形がた	命令めいれい形がた
あ	れ	れ	る	るる	るれ	れよ

発音はつおん

三さん拍はく動詞どうし一類いちるい^(?)

• 連体れんたい形がた

  (平安へいあん時代じだい)あるる

  (南北なんぼく朝あさ時代じだい)あるる

  (室町むろまち時代ときよ)あるる

  (江戸えど時代じだい)あるる

動詞どうし:離はなれる

ある【散ちる、離はなれる】

1. 離はなればなれになる。

活用かつよう

あ-る 動詞どうし活用かつよう表ひょう（日本語にほんごの活用かつよう）

ラ行ぎょう下か二に段だん活用かつよう
語幹ごかん	未然みぜん形がた	連用形れんようけい	終止しゅうし形がた	連体れんたい形がた	已然いぜん形がた	命令めいれい形がた
あ	れ	れ	る	るる	るれ	れよ

動詞どうし:有ある、在ある

ある【有ゆうる、在ざいる】^{[要よう出典しゅってん]}

1. あられる。^{[要よう出典しゅってん]}
2. 考かんがえられる。^{[要よう出典しゅってん]}
3. 世よの中なかにあることができる。生活せいかつしていくことができる。生いき長ながらえられる。^{[要よう出典しゅってん]}
4. あることができる。あれる。^{[要よう出典しゅってん]}
5. あることが可能かのうである。^{[要よう出典しゅってん]}
6. （の）かも^{[要よう出典しゅってん]}。
7. おそらくはあり。^{[要よう出典しゅってん]}
8. ある可能かのう性せいがある。可能かのう性せいとして考かんがえられる。^{[要よう出典しゅってん]}
9. 可能かのうになる。^{[要よう出典しゅってん]}

活用かつよう

あ-る 動詞どうし活用かつよう表ひょう（日本語にほんごの活用かつよう）

ラ行ぎょう下か二に段だん活用かつよう
語幹ごかん	未然みぜん形がた	連用形れんようけい	終止しゅうし形がた	連体れんたい形がた	已然いぜん形がた	命令めいれい形がた
あ	れ	れ	る	るる	るれ	れよ

^{[要よう出典しゅってん]}

語源ごげん

「有ゆう（あ）り得とく（う）」の短縮形たんしゅくけいは、子音しいん語幹ごかんを持もつ動詞どうしで発生はっせい言語げんご現象げんしょうあれば四よん段だんやラ変格へんかくが下した二に段だん活用かつよう動詞どうしを度どに格下かくさげされる時ときは、自発じはつ動詞どうし又または受身うけみ動詞どうし又または可能かのう動詞どうしの生成せいせいであられて、現代げんだい日本語にほんごの五ご段だん活用かつようでは「《未然みぜん形がた》れる」「《已然いぜん形がた》る」又または一段いちだん活用かつようでは「《連体れんたい形がた》ことができる」「《未然みぜん形がた》られる」の当時とうじ相当そうとうです。^{[要よう出典しゅってん]}

動詞どうし:有ある、在ある

ある【有ゆうる、在ざいる】

1. 「あり」の連体れんたい形がた。