刑法 第 95条
条文 [編集 ]
(
第 95条
公務員 が職務 を執行 するに当 たり、これに対 して暴行 又 は脅迫 を加 えた者 は、3年 以下 の拘禁 刑 又 は50万 円 以下 の罰金 に処 する。公務員 に、ある処分 をさせ、若 しくはさせないため、又 はその職 を辞 させるために、暴行 又 は脅迫 を加 えた者 も、前項 と同様 とする。
改正 経緯 [編集 ]
2022
- (
改正 前 )懲役 若 しくは禁錮 - (
改正 後 )拘禁 刑
解説 [編集 ]
暴行 公務員 に対 する不法 な有形 力 の行使 で、職務 執行 の妨害 となるべき程度 のものであることを要 するが、現実 に妨害 の結果 の発生 を必要 とせず、また、暴行 は、公務員 に向 けられることを要 するが、直接 に公務員 の身体 に加 えられることを必要 としない。
参照 条文 [編集 ]
判例 [編集 ]
公務 執行 妨害 (最高裁 判決 昭和 25年 10月 20日 )市 の雇 と公務員 市長 により任命 され市 統計 課 で市 の統計 事務 に従事 する市 雇 は、公務員 である。
公務 執行 妨害 罪 における暴行 脅迫 と結果 発生 の要 否 刑法 第 95条 の公務 執行 妨害 罪 の要件 たる暴行 脅迫 は、これにより現実 に職務 執行 妨害 の結果 が発生 したことを必要 とするものではなく、妨害 となるべきものであれば足 りる。
公務 執行 妨害 (最高裁 判決 昭和 26年 3月 20日 )公務 執行 妨害 罪 における暴行 は直接 公務員 に加 えられることを要 しない-
公務員 の職務 の執行 に当 りその執行 を妨害 するに足 る暴行 を加 えるものである以上 、それが直接 公務員 の身体 に対 するものであると否 とは問 うところではない。本件 においては、原 判示 によれば、被告人 はC事務 官等 が適法 な令状 後段 説示 により押収 した煙草 を街路 上 に投 げすててその公務 の執行 を不能 ならしめたというのであるから、その暴行 は間接 には同 事務 官等 に対 するものと謂 い得 る。故 にかかる被告人 の暴行 を公務 執行 妨害 罪 に問 疑 した原 判決 は正当 でこれを攻撃 する論旨 は理由 がない。
暴力 行為 等 処罰 に関 する法 第 律 違反 ・業務 妨害 、建造 物 侵入 、窃盗 (最高裁 決定 昭和 26年 07月 18日 )公務員 に対 する威力 の誇示 と業務 妨害 罪 の成否 以上 の如 き被告人 等 の行為 (スクラムを組 み労働 歌 を高唱 して気勢 を挙 げた行為 )が暴力 でないとすれば威力 であるから、公務員 執行 妨害 罪 が成立 しないとしても業務 妨害 罪 (刑法 第 234条 )が成立 すると主張 するのであるか、業務 妨害 罪 にいわゆる業務 の中 には、公務員 の職務 は含 まれないものと解 するを相当 とするから、公務員 の公務 執行 に対 し、かりに暴行 又 は脅迫 に達 しない程度 の威力 を用 いたからといつて業務 妨害 罪 が成立 すると解 することはできない。
生産 管理 の違法 性 会社 の従業 員 等 (労働 組合 員 )が、会社 との争議 中 、会社 側 の意向 を全然 無視 し、強 いて会社 の建造 物 に立 ち入 つてこれを占拠 し、他 の従業 員 に就業 を阻止 し、あるいは会社 所有 の物品 をほしいままに管理 処分 するが如 き一連 の行為 をした場合 にはかりに、原 判決 認定 のごとき会社 側 に非難 に値 する仕打 があり、従業 員 側 にむしろ同情 すべき事情 があつたとしても、かかる行為 を緊急 止 むを得 ない争議 行為 として適法 視 することはできない。
社会 と組合 との間 に争議 について妥協 成立 し双方 の合意 によつて全員 解雇 され組合 が解散 した場合 と争議 の終了 争議 中 、会社 と組合 との間 に妥協 成立 し、双方 の合意 によつて会社 の従業 員 たる組合 員 全員 が適法 に解雇 され、組合 も解散 したときはこれにより争議 は終了 する。
右 の場合 会社 となお抗 争 を継続 する組合 の少数 反対 派 の行動 は争議 行為 といえるか右 の場合 、組合 の少数 反対 派 の者 が会社 と飽 く迄 も抗 争 せんとして行動 しても、それは争議 行為 とはいえない。
検挙 に向 つた警察官 等 に対 しスクラムを組 み労働 歌 を高唱 する労働 者 等 の行為 と公務 執行 妨害 の成否 会社 業務 の妨害 の現行 犯 として検挙 に向 つた警察官 等 に対 し、労働 者 等 がスクラムを組 み労働 歌 を高唱 して気勢 を挙 げたとしてもそれだけでは必 ずしも公務 執行 妨害 罪 は成立 しない。
暴力 行為 を等 処罰 に関 する法律 第 1条 第 1項 の合憲 性 暴力 行為 等 処罰 に関 する法律 第 1条 第 1項 の規定 は、憲法 第 28条 ,憲法 第 98条 に違反 しない。
公務 執行 妨害 (最高裁 判決 昭和 34年 8月 27日 )公務 執行 妨害 罪 の成立 する事例 。司法 巡査 が覚 せい剤 取締 法 違反 の現行 犯人 甲 を逮捕 する現場 で証拠 物 として適法 に差押 え整理 のため同所 に置 いた覚 せい剤 注射 液 入 りアンプルを、被告人 乙 が足 で踏付 けて損壊 したときは公務 執行 妨害 罪 が成立 する。
公務 執行 妨害 、傷害 (最高裁 判決 昭和 41年 3月 24日 )刑法 第 95条 第 1項 にいう暴行 脅迫 の程度 およびその客体 。刑法 第 95条 第 1項 に規定 する公務 執行 妨害 罪 の成立 には、公務員 が職務 の執行 をなすに当 り、その職務 の執行 を妨害 するに足 りる暴行 脅迫 がなされることを要 するけれども、その暴行 脅迫 は、必 ずしも直接 に当該 公務員 自身 に対 して加 えられることを要 せず、当該 公務員 の指揮 に従 いその手足 となり、その職務 の執行 に密接 不可分 の関係 において関与 する補助 者 に対 してなされるものでもよい。
威力 業務 妨害 (最高裁 判決 昭和 41年 11月30日 )国鉄 の事業 ないし業務 は刑法 第 233条 、第 234条 にいう業務 に含 まれるか国鉄 の行 なう事業 ないし業務 は、刑法 第 233条 、第 234条 にいう業務 に含 まれる。上告 人 (被告人 )の主張 国鉄 は公務 及 び業務 の両面 において二 重 に保護 を受 けることとなり、民営 鉄道 に対比 し、法律 上 の保護 に差別 を生 じ、憲法 一 四 条 に定 める法 の下 における平等 の原則 に反 する結果 となるのみならず、従来 の判例 理論 が判然 と区別 していた右 業務 と公務 との両者 の関係 を不明 確 ならしめ、不 明確 な規準 の下 に法 の適用 をはかることになり、憲法 第 31条 の罪刑法定 主義 の精神 に反 する結果 となる。
判決 理由 - その
行 う事業 ないし業務 の実態 は、運輸 を目的 とする鉄道 事業 その他 これに関連 する事業 ないし業務 であつて、国 若 しくは公共 団体 又 はその職員 の行 う権力 的 作用 を伴 う職務 ではなく、民営 鉄道 のそれと何 ら異 なるところはないのであるから、民営 鉄道 職員 の行 う現業 業務 は刑法 第 233条 、第 234条 の業務 妨害 罪 の対象 となるが、国鉄 職員 の行 う現業 業務 は、その職員 が法令 により公務 に従事 する者 とみなされているというだけの理由 で業務 妨害 罪 の対象 とならないとする合理 的 理由 はない。
- その
公務 執行 妨害 、監禁 、職務 強要 (最高裁 判決 昭和 42年 5月 24日 )地方 議会 の議事 進行 に関 する議長 の措置 が会議 規則 に違反 していたとしても刑法 第 95条 第 1項 にいう公務員 の職務 の執行 にあたるとされた事例 地方 議会 の議長 が議員 から提出 された質疑 打切 り、討論 省略 、全 上程 議案 一括 採決 の動議 に基 づき全 上程 議案 の一括 採決 を議場 に諮 ろうとした措置 は、かりに会議 規則 に違反 するものである等 法令 上 の適法 要件 を完全 には満 たしていなかつたとしても、原審 の認定 した具体 的 な事実 関係 のもとにおいては、刑法 第 95条 第 1項 にいう公務員 の職務 の執行 にあたる。
公務 執行 妨害 (最高裁 判決 昭和 53年 6月 29日 )刑法 95条 1項 にいう職務 の範囲 刑法 95条 1項 にいう職務 には、ひろく公務員 が取 り扱 う各種 各様 の事務 のすべてが含 まれる。
刑法 95条 1項 における職務 の執行 中 であるか否 かの判断 に際 しその性質 上 ある程度 継続 した一連 の職務 として把握 するのが相当 であるとされた事例 刑法 95条 1項 における職務 の執行 中 であるか否 かの判断 に際 しては、日本電信電話 公社 の電報 局長 の、局 の事務 全般 を掌理 し部下 職員 を指揮 監督 する職務 及 び同 電報 局 次長 の、局長 を助 け局 務 を整理 する職務 は、その性質 上 、その内容 及 び執行 の過程 を個別 的 に分断 して部分 的 にそれぞれの開始 、終了 を論 ずるべきではなく、一体 性 ないし継続 性 を有 するものとして把握 すべきである。
刑法 95条 1項 における職務 の執行 が終了 したものではないとされた事例 本件 電報 局長 の、電報 料金 の収納 等 に関 する会計 書類 の点検 、決裁 の職務 及 び本件 電報 局 次長 の、電報 配達 業務 等 に関 する上部 機関 への報告 文書 作成 の職務 の各 執行 が事実 上 一時 的 に中断 したとしても、その状態 が被告人 の不法 な目的 をもつた行動 によつて作出 されたものである場合 には、刑法 95条 1項 における職務 の執行 は終了 したものではない。
公務 執行 妨害 罪 の主観 的 成立 要件 としての職務 執行 中 であることの認識 の程度 公務 執行 妨害 罪 の主観 的 成立 要件 としての職務 執行 中 であることの認識 があるというためには、行為 者 において公務員 が職務 行為 の執行 に当 つていることの認識 があれば足 り、具体 的 にいかなる内容 の職務 の執行 中 であるかまで認識 することを要 しない。
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