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ケチャ(kecak) とは、インドネシアバリ島で行われる男声合唱またはそれを伴う舞踏劇。
一般に観光向けに上演される舞踏劇であり、サンヤンと呼ばれる伝統的な舞踏をベースに、現地の舞踏家と、バリ人と共にバリ芸術を発展開花させたドイツ人画家ヴァルター・シュピースが共同して創作した世界に他に類を見ない舞台芸術である。モンキーダンスとも呼ばれる。
上半身裸で腰布を巻いた100人以上の男性が登場し、幾重に重なった円陣を組んであぐら座りをする。下記のタンブールとプポ以外の全員がプニャチャ、チャクリマ、チャクナム、プニャンロットの4つのパートに分かれ混ざりあって座り、動物の鳴き声を模倣したピッチを持たない「チャッ」「チャッ」というような声で発声する。それぞれのパートが一定のリズムパターンを持っており、これが全体として合わさると「ケチャケチャケチャケチャ」という16ビートのリズムが聞こえるので「ケチャ」と呼ばれる。タンブールと呼ばれる役のものが一人混ざりシリリリ・プン・プン・プンとの発声でメトロノームのように全体のリズムを保っている。さらにプポと呼ばれる役のものは一人でメロディーを歌う。
これにラーマーヤナ物語を題材としたバリ舞踊の踊りが円陣の中央の空間に次々と登場し、舞踊劇の様式で行われる。男達はリズムを刻むだけでなく、劇の進行にともない、合唱もおこない、また様々な手や体の動きで劇の背景としての表現も行う。
また、数人で行われるコミカルな合唱も、ケチャと呼ばれる。