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議論ぎろん

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議論ぎろん(ぎろん)、意見いけんろんうこと。おもいつくままにくちから言葉ことばてくる日常にちじょう会話かいわとはことなり、専門せんもんてき議論ぎろん方法ほうほうでは、思考しこう論理ろんりてきてる必要ひつようしょうじてくる[1]討論とうろん(とうろん)とも。日本人にっぽんじん大学生だいがくせいが「議論ぎろん」だと認識にんしきしやすい会話かいわは、対立たいりつ存在そんざいし、主張しゅちょう理由りゆうべられている会話かいわである[2]

ディベート具体ぐたいてきなテーマをもと対立たいりつして議論ぎろん[1]公式こうしき競技きょうぎでもある。められた時間じかんないで、証拠しょうこ資料しりょうともなった主張しゅちょうおこない、反論はんろんすること対立たいりつ立場たちば同士どうし交互こうごおこない、最後さいごにどちらが優位ゆういであったか審査しんさいん判定はんていくだ[1]一方いっぽう時間じかんてき制約せいやくから、聴衆ちょうしゅう理解りかいさせるために複雑ふくざつとなる主張しゅちょうもちいにくく、真理しんり追究ついきゅうするというよりは判定はんていしゃれられやすいかが重要じゅうようとなる[1]

トゥールミンモデル英語えいごばん基本形きほんけい議論ぎろんがく#議論ぎろん構成こうせい要素ようそにさらに解説かいせつがある。

スティーヴン・トゥールミンは、議論ぎろんがく古典こてんてき著作ちょさく議論ぎろん方法ほうほう[3](The Uses of Argument, 1958) において、論証ろんしょうのパターンの枠組わくぐみのもっとも基本きほんてきかたちとして、データ(事実じじつ)、ワラント(論拠ろんきょ)、結論けつろんからなる枠組わくぐみをしめした。もとは法律ほうりつてき議論ぎろんおこなうモデルとして考案こうあんされたが、分野ぶんやわずひろもちいられ、紹介しょうかいしゃによって用語ようご部分ぶぶんが「結論けつろん主張しゅちょう」「データか事実じじつ」は様々さまざまである。『大学だいがくまな議論ぎろん技法ぎほう』は[4]論文ろんぶん論理ろんりかんがえるものだがトゥールミンモデルによる議論ぎろん分析ぶんせき方法ほうほうしめされている。これを三角形さんかっけい配置はいちしたものは、松本まつもと道弘みちひろによる競技きょうぎディベートを紹介しょうかいする『知的ちてき対決たいけつ方法ほうほう』(1977ねん)で紹介しょうかいされた[5]。そのべつ著者ちょしゃ紹介しょうかいしてきた[6]

形式けいしきろん理学りがくでは妥当だとう健全けんぜん議論ぎろんわる議論ぎろんとするが、形式けいしきろん理学りがくではこうした基準きじゅんだけではない様々さまざま議論ぎろんあつか[7]。1978ねんだい1かい形式けいしきろん理学りがくシンポジウムが開催かいさいされた[7]。その時期じきまでに誤謬ごびゅうとなる条件じょうけん定義ていぎしたり、健全けんぜんではないが成功せいこうした議論ぎろんのような形式けいしき論理ろんりがくではあつかえない議論ぎろん定式ていしきおも研究けんきゅう課題かだいであったが、その誤謬ごびゅうについての研究けんきゅうおとろえ、「批判ひはんてき思考しこう」(クリティカル・シンキング)が重視じゅうしされた[7]

つまりだい世界せかい大戦たいせん論理ろんりがくでは、以前いぜん形式けいしき論理ろんりがく演繹えんえきてきとか帰納的きのうてきかということをあつか日常にちじょう生活せいかつ論理ろんり応用おうようするものではなかったが(論理ろんりてき妥当だとうせいだけでは現実げんじつ問題もんだい対処たいしょ困難こんなん[1])、そのはこの帰納きのう演繹えんえき二分にぶんてきかんがかた破棄はきした形式けいしき論理ろんりがくは「批判ひはんてき思考しこう」をとおして日常にちじょうにおける明晰めいせき思考しこうのために論理ろんりむかえ、技術ぎじゅつてき実践じっせんしていくというきもてきた[7]日常にちじょう議論ぎろんあつかうようになった[8]意思いし決定けってい情報じょうほうげんあつかかたといったことにまで拡大かくだいされ、形式けいしき論理ろんりがくという退しりぞき、批判ひはんてき思考しこうかんすることのほうえていった[7]

批判ひはんてき思考しこうはなにも相手あいて攻撃こうげきするのでなく、相手あいて発言はつげん解釈かいしゃくし、またみずからのかんがえのただしさを吟味ぎんみする熟慮じゅくりょのことであり、論理ろんりてきかんがえる、正確せいかくかんがえる、証拠しょうこもとづいてかんがえる、情報じょうほう主張しゅちょう根拠こんきょ明確めいかくし、証拠しょうこ信頼しんらいせいかんがえるといったことである[8]ロジカルシンキングともに、社会しゃかいじんけのほんも21世紀せいき初頭しょとうにはよく書店しょてんならぶようになったし[1]、2010年代ねんだいには教育きょういく課程かていむことも議論ぎろんされてきた[9]大学だいがくの6分野ぶんやでききとりをおこなったところ、思考しこうりょく討論とうろんとおしてはぐくまれており、どの分野ぶんやでも「客観きゃっかんてき根拠こんきょをもとに飛躍ひやく矛盾むじゅんなく論理ろんりてき整合せいごうてき議論ぎろんすすめられるかという論理ろんりせい」が重視じゅうしされていた[1]

大勢おおぜい議論ぎろんおこなときファシリテーターかれることがあり、これを機能きのうめんからモデルすると、論点ろんてん提示ていじ参加さんかしゃ同士どうしでの理解りかい具合ぐあいのすりわせ、協調きょうちょううながアイデアの発散はっさんから収束しゅうそくかわせたり、発言はつげん公平こうへいせい担保たんぽし、また炎上えんじょうといったリスクにたいしてはたらきかけることにけることができた[10]わない議論ぎろんをモデルすると、主張しゅちょうたいして説得せっとくするための根拠こんきょ不足ふそくしている場合ばあいであり、これが成立せいりつするのは反論はんろんべられた場合ばあいであり、その場合ばあいには根拠こんきょ要求ようきゅうするというルールが設定せっていできる[11]

出典しゅってん

  1. ^ a b c d e f g 岩崎いわさきごうじんクリティカル・シンキングのめざすもの」『京都きょうと大学だいがく文学部ぶんがくぶ哲学てつがく研究けんきゅうしつ紀要きようだい5かん、2002ねん12月1にち、12-27ぺーじNAID 110000036931 
  2. ^ 井上いのうえ奈良なら彦「日本人にっぽんじん学生がくせいにとって「議論ぎろん」とはなに」『言語げんご文化ぶんか論究ろんきゅうだい10かん、1999ねん、33-50ぺーじdoi:10.15017/5466NAID 110000522734 
  3. ^ スティーブン・トゥールミン『議論ぎろん方法ほうほうートゥールミンモデルの原点げんてん戸田とださん和久わぐ福澤ふくさわはじめ𠮷、東京とうきょう図書としょ、2011ねん。 Stephen Toulmin, The Uses of Argument, Cambridge University Press, 1958.
  4. ^ T・W・クルーシアス, C・E・チャンネル『大学だいがくまな議論ぎろん技法ぎほう杉野すぎの俊子としこ中西なかにし千春ちはる河野こうの哲也てつや慶応義塾大学けいおうぎじゅくだいがく出版しゅっぱんかい、2004ねん
  5. ^ 松本まつもと道弘みちひろ知的ちてき対決たいけつ方法ほうほう討論とうろんつためには』産業さんぎょう能率のうりつ大学だいがく出版しゅっぱん、1977ねん
  6. ^ れいとして、新版しんぱんはんかさねた福澤ふくさわ一吉かずよし新版しんぱん 議論ぎろんのレッスン』NHK出版しゅっぱん新書しんしょ。2018ねんISBN 978-4-14-088552-9。(初版しょはん2002ねん
  7. ^ a b c d e 吉田よしだひろし形式けいしき論理ろんりがく初期しょき発展はってんとクリティカル・シンキングの起源きげん」『京都きょうと大学だいがく文学部ぶんがくぶ哲学てつがく研究けんきゅうしつ紀要きよう : Prospectus』だい5かん、2002ねん12月1にち、40-43ぺーじNAID 110000036933 
  8. ^ a b くすのきこう市民しみんのための批判ひはんてき思考しこう」(pdf)『心理しんりがくワールド』だい61ごう、2013ねん4がつ、5-8ぺーじ 
  9. ^ 田中たなか桂子けいこゆたか浩子ひろこ大学だいがくにおけるクリティカルシンキング教育きょういく―その現状げんじょう課題かだい」『明治学院大学めいじがくいんだいがく国際こくさいがく研究けんきゅうだい49かん、2016ねん3がつ31にち、1-23ぺーじNAID 120005756920 
  10. ^ 白松しらまつしゅん池田いけだつよしじん北川きたがわあきら幸浦さちうらひろしのぼる伊藤いとう孝行たかゆき自律じりつてきファシリテータエージェントのための内容ないようとプロセスを考慮こうりょした議論ぎろん文脈ぶんみゃく理解りかいモデルの検討けんとう」『人工じんこう知能ちのう学会がっかい全国ぜんこく大会たいかいろん文集ぶんしゅうだい2018かんだい0ごう、2018ねん、1D2OS28a03-1D2OS28a03、doi:10.11517/pjsai.JSAI2018.0_1D2OS28a03NAID 130007427159 
  11. ^ 高崎たかさきはやぶさ、/辻野つじの平田ひらたおさむ白松しらまつしゅんだい囿忠おや新谷しんたに虎松とらまつ新谷しんたに虎松とらまつ議論ぎろん支援しえんシステムのための対立たいりつ質問しつもん着目ちゃくもくした適切てきせつせいルールの設計せっけい」『全国ぜんこく大会たいかい講演こうえんろん文集ぶんしゅうだい72かんだい0ごう、2010ねん3がつ8にち、373-374ぺーじNAID 110008107615 

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