オタ芸

秋葉原あきはばらでオタ芸げいを「打うつ」ファン

オタ芸げい（オタげい）とは、コンサートなどにおいてファンが繰くり広ひろげる、独特どくとくな動うごきを伴ともなう踊おどり、ダンス掛かけ声ごえのことである。文字通もじどおりアイドルオタク（追おっかけ）等とうがアイドルや声優せいゆうなどのコンサート・ライブなどで行おこなっている、アイドルのために捧ささげる応援おうえんの芸げい（パフォーマンス）、応援おうえん方法ほうほうである。オタ芸げいをすることを打うつなどと呼よび、オタ芸げいを楽たのしむ人ひとたちのことを打うち師しと呼よんだりする。語源ごげんは、「アイドルオタクの芸げい」の略りゃくである。ボカロ曲きょくやアイドル以外いがいの邦楽ほうがくに合あわせてオタ芸げいを打うつこともある。

｢オタ芸げい｣と表記ひょうきされるものは、アイドルを応援おうえんするための芸げい（通称つうしょう:地下ちか芸げい）。

｢ヲタ芸げい｣と表記ひょうきされるものは、観衆かんしゅうに向むけて行おこなうパフォーマンス（通称つうしょう:サイリウムダンス、サイリウムパフォーマンス）と分類ぶんるいされている。

オタ芸げいとヲタ芸げいは、共通きょうつうの動うごきもあるが、ヲタ芸げいにはコールがなかったり、技わざが大量たいりょうにあったりと、相違そうい点てんも存在そんざいする

オタ芸げいの種類しゅるい

オタ芸げいには以下いかのようなものがある。

地蔵じぞう（タイガー）

直立ちょくりつ不動ふどうにて動うごかず熱あつい視線しせんを送おくる行為こうい。もっともシンプルであるが、静せいと動どうの関係かんけいから目立めだつ。

マワリ

頭上ずじょうで手拍子てびょうしを叩はたきながらその場ばで右みぎや左ひだりに回転かいてんジャンプをする。

ロマンス

斜ななめ上じょうを指ゆびさした状態じょうたいから腕うでを引ひく。

PPPH

“パン、パパン”と拍手はくしゅして“ヒュー”と声こえをかける。

ケチャ

インドネシアのケチャのように低ひくい姿勢しせいを取とり、腕うでを手前てまえからステージ上じょうのアイドルの方ほうへ振ふり上あげる。

サンダースネイク

雷かみなりと蛇へびをイメージする技わざで、難易なんい度どが低ひくい。直線ちょくせん的てきな動うごきと円えんが組くみ合あわさっているため難むずかしく見みえるが、一ひとつ一ひとつの動うごきは単純たんじゅんであり、慣なれると集団しゅうだんにてシンクロしたマスゲーム的てきな行為こういが行おこないやすくもっとも迫力はくりょくがあるので、オタ芸げいの代表だいひょう的てきな行為こういと称しょうされることもある。

メリーゴーランド

メリゴとも称しょうされる。他たの一人ひとり技わざとは異ことなり複数ふくすう人数にんずうで行おこなう。左手ひだりてをあげ、反はん時計とけい回まわりに回まわる。通常つうじょう、3 - 20人にん程度ていどで行おこなわれるが、大だい規模きぼなものでは50 - 100人にん単位たんいで行おこなわれる場合ばあいもある。

家いえ虎とら

「イエッタイガー」の略称りゃくしょうで、熱心ねっしんに応援おうえんするアイドルファンが、複数ふくすうのメンバーやユニットに対たいし、ライブで「イエッタイガー」と叫さけんで応援おうえんすることを指さす。

ガチ恋こい口上こうじょう

長ながい感想かんそうの間あいだに言いうセリフ。通常つうじょう、「言いいたいことがあるんだよ、やっぱり○○はかわいいよ、好すき好ずき大好だいすきやっぱ好すき、やっと見みつけたお姫様ひめさま、俺おれが生うまれてきた理由りゆう、それはお前まえに出会であうため、俺おれと一緒いっしょに人生じんせい歩あゆもう、世界せかいで一番いちばん愛あいしてる、あ・い・し・て・るー」となる。

歴史れきし

「親衛隊しんえいたい (アイドル)#応援おうえん」を参照さんしょう

「オタ芸げい」という言葉ことばが登場とうじょうする遥はるか以前いぜんの1970年代ねんだい - 1980年代ねんだいから、アイドルの親衛隊しんえいたいが曲きょくに合あわせて一斉いっせいに声こえをかける応援おうえんスタイルは見みかけられた。

遅おそくとも1997年ねん12月9日にちのナイナイナ第だい29回かい「矢部やべに趣味しゅみを!（嘉門かもん洋子ようこ、水野みずのあおい）」というテレビ番組ばんぐみでオタ芸げいの様子ようすが日本にっぽん全国ぜんこくに放送ほうそうされている。それ以前いぜんにも、水野みずのあおいのコンサートでは毎回まいかいオタ芸げいが行おこなわれていたようである（ライブビデオの音声おんせいにオタ芸げい特有とくゆうの掛かけ声ごえが記録きろくされている）。2000年代ねんだいに入はいって前述ぜんじゅつの応援おうえんスタイルに踊おどりが加くわわるなどして多様たよう化かし、ハロー!プロジェクト系けいコンサートにおいて「オタ芸げい」という言葉ことばで認知にんちされるようになったとされる。特とくに、2002年ねん9月4日にちの「ロマンティック 浮うかれモード」の発表はっぴょうが切きっ掛かけとなり、数すう年ねんを掛かけてお茶ちゃの間あいだの目めに触ふれる程度ていどにまで広ひろまったと言いわれている。しかし、当時とうじはアイドルへの応援おうえん活動かつどうが一般いっぱん的てきな趣味しゅみとしては捉とらえられておらず、2005年ねん放送ほうそうのテレビドラマ『電車でんしゃ男おとこ』でステレオタイプなオタクの姿すがたが全国ぜんこくネットで放映ほうえいされた影響えいきょうもあり、少すくなくとも2000年代ねんだい末まつまではアイドルに陶酔とうすいし切きってファンが応援おうえんする姿すがたに対たいして「幼稚ようちである」「常識じょうしきに欠かけており危険きけん」などと言いった批判ひはんの声こえも多おおかった。その後ご2006年ねん頃ごろからYouTubeやニコニコ動画どうがなどの動画どうが共有きょうゆうサービスを中心ちゅうしんとしてオタ芸げい的てきな各種かくしゅパフォーマンスの様子ようすが広ひろく拡散かくさんし、オタク文化ぶんかの魅力みりょくが一般人いっぱんじんにも伝つたわるようになってきたと共ともに、Jリーグ・川崎かわさきフロンターレの選手せんしゅが2007年ねんのファン感謝かんしゃデーで「ンタ芸げい」と銘打めいうったパフォーマンスで行おこなうなど、一般いっぱんにも広ひろく認知にんちされるようになってきた。2014年ねん頃ごろまでにはアイドルやアニメも一般いっぱん的てきな娯楽ごらくとなり、オタ芸げいを行おこなうことを主体しゅたいとしたイベント・ライブも頻繁ひんぱんに開催かいさいされるようになっている。現在げんざいではオタク的てきな趣味しゅみも社会しゃかい的てきに広ひろく理解りかいされるようになったため、「オタ芸げい」は1つのエンターテインメントの姿すがたとして理解りかいされている。 有名ゆうめいなヲタ芸げいのパイオニアチームとしてGinyuforcEがある。

評価ひょうか

ステージ上じょうでオタ芸げいを披露ひろうするパフォーマー

オタ芸げいに対たいしては、日本にっぽん独特どくとくのライブの楽たのしみ方かたの1つとして認知にんちされるようになった一方いっぽうで、“コンサートなどでオタ芸げいをする事ことがイベント来場らいじょうの主しゅ目的もくてきになっている”“自分じぶんたちの世界せかいに入はいり込こんでしまい独善どくぜん的てきで周囲しゅういに気きを使つかわない者ものがいる”“「オタ芸げいという名前なまえが付ついているだけで『迷惑めいわく行為こうい』である」”といった批判ひはんもあり、オタ芸げいが応援おうえん行為こういかそうでないかで意見いけんが分わかれている。一部いちぶでは、オタ芸げいや過激かげきな応援おうえん行為こういを禁止きんしするケースも出でている。

最近さいきんではヲタ芸げいをコンサート会場かいじょうで行おこなうのではなく独立どくりつしたパフォーマンスアートとして披露ひろうする人ひとも多おおく、その評価ひょうかは様々さまざまである。

鉄道てつどう駅えきのホームや電車でんしゃの車内しゃないでペンライトやケミカルライト（特とくに赤あかい色いろ）を振ふり回まわすと、乗務じょうむ員いん・駅えき係員かかりいんが緊急きんきゅう停止ていし合図あいずと誤認ごにんし、緊急きんきゅう停止ていしして運行うんこうダイヤを乱みだす危険きけん性せいがある事ことから、JR東日本ひがしにっぽんや西武鉄道せいぶてつどうなどでは使用しようをやめるよう、注意ちゅうい喚起かんきしている。

2017年ねん8月がつには、神戸こうべのご当地とうちアイドル「KOBerrieS♪」のコンサートにおいて、過度かどなオタ芸げいにより歌声うたごえや演奏えんそうが聞きこえなかったとして観客かんきゃくの男性だんせいが主催しゅさい者しゃに対たいしコンサートのやり直なおしや損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる訴訟そしょうを起おこしている。判決はんけつ文ぶんでは、オタ芸げいについて「アイドルのコンサートにおいて、一部いちぶの観客かんきゃくが、曲きょくに合あわせて『オー!オー!オー!オー!』のような掛かけ声ごえを出だしたり、激はげしく何なん度どもジャンプしたり、棒状ぼうじょうのライト(ケミカルライト等とう)を振ふり回まわすなどの行為こうい」として言及げんきゅうされていた。

関連かんれん項目こうもく

• ペンライト
• ケミカルライト
• ロマンス中野なかの - オタ芸げい師し。
• 榊原さかきばらゆい - 2000年代ねんだい後半こうはんよりオタ芸げいに対たいして懐疑かいぎ的てきな意見いけんを持もち、2008年ねんより自身じしんのライブではオタ芸げいを全面ぜんめん的てきに禁止きんしにした事ことで知しられる。
• 北きたの打うち師し達たち - オタ芸げいのパフォーマンスを中心ちゅうしんとした動画どうが投稿とうこうで知しられる2人組にんぐみの男性だんせいYouTuber。

外部がいぶリンク

• オタ芸げい - 同人どうじん用語ようごの基礎きそ知識ちしき
• オタ芸げいの今いま - パフォーマンスとしてのオタ芸げい
• 「ホームでサイリウム振ふらないで」 JR東ひがしが『オタ芸げいの画像がぞう』で注意ちゅうい - ウィズニュース（2015年ねん06月がつ29日にち版ばん/2017年ねん1月がつ28日にち閲覧えつらん）