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えのしまがた掃海そうかいてい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
えのしまがた掃海そうかいてい
掃海艇えのしま
横須賀よこすか基地きちにて
基本きほん情報じょうほう
かんしゅ 中型ちゅうがた掃海そうかいてい(MSC)
運用うんようしゃ  海上かいじょう自衛隊じえいたい
建造けんぞう期間きかん 2009ねん - 2015ねん
就役しゅうえき期間きかん 2012ねん - 就役しゅうえきちゅう
まえきゅう ひらしまがた
つぎきゅう 最新さいしん
要目ようもく
基準きじゅん排水はいすいりょう 570トン
満載まんさい排水はいすいりょう 660トン
全長ぜんちょう 63メートル (207 ft)
最大さいだいはば 9.8メートル (32 ft)
ふか 4.4メートル (14 ft)
吃水きっすい 2.5メートル (8.2 ft)
機関きかん方式ほうしき CODOE方式ほうしき
おも三菱みつびし6NMUディーゼルエンジン×2
補助ほじょ電動でんどう×2
推進すいしん スクリュープロペラ×2じく
出力しゅつりょく 2,200馬力ばりき
電力でんりょく ディーゼルぬし発電はつでん (400kW)×4
速力そくりょく 14ノット (26 km/h)
乗員じょういん 48にん
へいそう JM61-M 20mm銃身じゅうしん機銃きじゅう×1もん
※23MSCではJM61R-MSへ変更へんこう
搭載とうさいてい4.9mがたふく合作がっさくぎょうてい×1せき
ジェミニ・ディンギー処分しょぶんてい×1せき
C4ISTAR

OYQ-201 掃海そうかいてい情報処理じょうほうしょり装置そうち NYRQ-1 衛星えいせい通信つうしん装置そうち

ORQ-2 洋上ようじょう無線むせんルーター
レーダー OPS-39 たい水上すいじょう捜索そうさくよう
ソナーZQS-4 機雷きらい探知たんち
・サイドスキャンソーナー4がた
特殊とくしゅ装備そうび水中すいちゅうこうはししき機雷きらい掃討そうとうS-10
小型こがたがかり掃海そうかい1がた
感応かんおう掃海そうかい1がた
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えのしまがた掃海そうかいてい(えのしまがたそうかいてい、英語えいご: Enoshima-class minesweepers)は、海上かいじょう自衛隊じえいたい保有ほゆうする中型ちゅうがた掃海そうかいていMine Sweeper Coastal, MSC)のかんきゅうネームシップ建造けんぞう単価たんかは201おくえんであった[1]

先行せんこうするひらしまがた(16MSC)をもとに、船体せんたい構造こうぞう繊維せんい強化きょうかプラスチック(FRP)せいとしたものであり、海自かいじ掃海そうかいていはつのFRPせんとなっている[2]

来歴らいれき

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だい世界せかい大戦たいせんまで、機雷きらいとはすなわち触発しょくはつしきかかり維機かみなりであり、これにたいする掃海そうかいていは、艦隊かんたいぜんみち掃海そうかいおも任務にんむとして比較的ひかくてき高速こうそくじゅう装備そうびはがねせいてい主流しゅりゅうであった。しかし大戦たいせん後期こうきから朝鮮ちょうせん戦争せんそうにかけて磁気じき音響おんきょうによる感応かんおう機雷きらい出現しゅつげんし、さわかみなりけるため、1950年代ねんだい以降いこう掃海そうかいてい建材けんざいとしては磁性じせい可能かのう木材もくざい採用さいようされるようになった。

しかしその木材もくざい高騰こうとう木船きふね建造けんぞう技術ぎじゅつしゃ減少げんしょうけ、掃海そうかいていのFRP模索もさくされるようになり、1972ねんには世界せかいはつのFRP掃海そうかいていとしてイギリス海軍かいぐんの「ウィルトン英語えいごばん」が進水しんすいした。欧州おうしゅう各国かっこくにおいては、1950年代ねんだい木造もくぞう掃海そうかいてい大量たいりょう建造けんぞうして以降いこう、これらが老朽ろうきゅうして更新こうしん必要ひつようとするまで15-20ねん空白くうはくがあったため、次世代じせだい掃海そうかいてい建造けんぞう態勢たいせい事実じじつじょういちから構築こうちくする必要ひつようがあり、したがって木造もくぞうてい拘泥こうでいする必要ひつよううすかったこともあり、1975ねん前後ぜんごから就役しゅうえき開始かいしした戦後せんごだい2世代せだい掃海そうかいていはFRPていおお採用さいようされるようになった[3]

このながれをけて、防衛庁ぼうえいちょう当時とうじ技術ぎじゅつ研究けんきゅう本部ほんぶも、昭和しょうわ48ねんより「強化きょうかプラスチック(FRP)てい」にかんする研究けんきゅう開発かいはつすすめており、1978ねんにははつしまがた(53MSC)機関きかんどう寸法すんぽう船体せんたい試作しさくされた。これは翌年よくねんより静的せいてき動的どうてき強度きょうど試験しけんきょうされ、とく耐爆たいばく試験しけんにおいては、掃海そうかいたいぐん関係かんけいしゃおおきな感銘かんめいあたえる結果けっかとなった。1982ねんには、その集大成しゅうたいせいとしてFRPせい試験しけんていときわ」(常備じょうび排水はいすいりょう142トン)が建造けんぞうされた。当初とうしょ、「ときわ」の運航うんこう試験しけんたんなる確認かくにん作業さぎょうであり、昭和しょうわ59ねん前後ぜんこうにはFRP掃海そうかいてい建造けんぞう計画けいかく実現じつげんするものとかんがえられていた[4]。しかしこのてい試験しけんにおいて、当時とうじ技術ぎじゅつでは、FRPの構造こうぞうてき連続れんぞくせいともな水中すいちゅう放射ほうしゃ雑音ざつおんおおきさという宿命しゅくめいてき問題もんだい克服こくふくできないことがあきらかになり、この時点じてんでは採用さいよう見送みおくられた[2]。なお同船どうせんは、試験しけん終了しゅうりょう居住きょじゅう拡大かくだいするなどの改修かいしゅうほどこしたうえで、練習れんしゅうせん12ごう(YTE12)として江田島えたじま海上かいじょう自衛隊じえいたいだい1じゅつ学校がっこう運用うんようされており、30ねんおよ運用うんよう実績じっせきかさねた(2016ねん3がつ22にち除籍じょせき[5]

しかし2000ねん前後ぜんごには、日本にっぽんにおいても木船きふね建造けんぞう技術ぎじゅつしゃ減少げんしょう深刻しんこくし、技術ぎじゅつ継承けいしょうめん問題もんだい顕在けんざいしてきた。またFRPていでは、木造もくぞうていしてやく2ばい船齢せんれい可能かのうであり、木造もくぞうてい短所たんしょである含水によりしょうじる重量じゅうりょう増加ぞうかによる燃費ねんぴ悪化あっかがないこととあわせて、ライフサイクルコスト大幅おおはば低減ていげん実現じつげんできることから[6]とく緊縮きんしゅく財政ざいせい情勢じょうせいからはFRPてい採用さいようのぞまれるようになった。これにともない、17中期ちゅうきぼうにおいて建造けんぞうされる4せき中型ちゅうがた掃海そうかいていのうち、前半ぜんはん2せき13中期ちゅうきぼう建造けんぞうされた木造もくぞうひらしまがた(16MSC)設計せっけいで、後半こうはん2せきはこれと同等どうとう能力のうりょくゆうするFRPせいていとして建造けんぞうすることとなった。これによって建造けんぞうされたのがほんがたである[2]

設計せっけい

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上記じょうき経緯けいいにより、ほんがたでは船体せんたい構造こうぞうガラス繊維せんい強化きょうかプラスチック(GFRP)を採用さいようしている。これにより、ほんがた海自かいじ掃海そうかいていはつのFRPせんとなっている[2][7]。FRPの構造こうぞう方式ほうしきとしてはサンドイッチ構造こうぞう採用さいようした。これはFRPとしては水中すいちゅう放射ほうしゃ雑音ざつおん低減ていげん能力のうりょくすぐれているとされており、表皮ひょうひガラス繊維せんいおよびビニルエステル樹脂じゅし、またキーポイントとなる心材しんざいには高密度こうみつどポリ塩化えんかビニル採用さいようされた。また成形せいけいほうとしては、日本鋼管にほんこうかん研究けんきゅうしてきた真空しんくう樹脂じゅし含浸がんしん製造せいぞう(VaRTM)ほう適用てきようされている。建造けんぞうにあたっては、まずしゅ船体せんたい3ブロックにけて建造けんぞうされ、これを接着せっちゃくによって接合せつごうしたのち、船首せんしゅろうブロックと上部じょうぶ構造こうぞうぶつブロックを搭載とうさいするという過程かていまれている[2]。なお、ほんがた1・2ばんかん建造けんぞう担当たんとうしたユニバーサル造船ぞうせんでは、ヴィスビューきゅうコルベットのような大型おおがたFRP艦船かんせん建造けんぞうられたスウェーデンコックムスしゃからの支援しえんけている[8]

おも電源でんげんけいは16MSCとどう構成こうせいとされており、しゅ機関きかんとしては60MSC(はつしまがた18ばんてい以来いらい三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうせい6NMUシリーズ磁性じせいディーゼルエンジンが、またしゅ発電はつでんとしては磁気じき掃海そうかい電源でんげん兼用けんようする400キロワットの発電はつでん4搭載とうさいされる。掃海そうかい掃討そうとうにおける低速ていそくこうはしとき補助ほじょ電気でんき推進すいしん装置そうち使用しようすることや定点ていてん保持ほじ機能きのう同様どうようである[2]

なお、1ばんていには、就役しゅうえきじつ海域かいいきにおいて船体せんたい強度きょうど健全けんぜんせい監視かんしするための構造こうぞうモニタリング装置そうち装備そうびされた[2]

装備そうび

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上記じょうきのような来歴らいれきから、ほんがたたい機雷きらいせんシステムは16MSCのものを踏襲とうしゅうしており、OYQ-201掃海そうかいてい情報処理じょうほうしょり装置そうち中核ちゅうかくに、てい装備そうび機雷きらい探知たんちとしてZQS-4を、機雷きらい処分しょぶんこうしき可変かへん深度しんどソナーの兼用けんようとしてS-10水中すいちゅうこうはししき機雷きらい掃討そうとうを、また掃海そうかいとして小型こがたがかり掃海そうかい1がたおよび感応かんおう掃海そうかい1がたそなえている[2]

ただし機雷きらい処分しょぶんようおよび自衛じえいよう武装ぶそうとしては、53MSC(はつしまがた4ばんてい以降いこう手動しゅどう照準しょうじゅんJM61-M 20mm機関きかんほうもちいられてきたが、ほんがた3ばんてい(23MSC)において、はじめて遠隔えんかく操作そうさ自動じどう照準しょうじゅんしきのJM61R-MSが導入どうにゅうされた。これは海上保安庁かいじょうほあんちょう巡視じゅんしせん装備そうびされているJM61-RFS Mk.2同等どうとう性能せいのうそなえている[9]

同型どうけいてい

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大湊おおみなと基地きち係留けいりゅうちゅうのえのしまがた掃海そうかいてい3せき
かん記号きごう/番号ばんごう
計画けいかく年度ねんど/建造けんぞう番号ばんごう
かんめい 建造けんぞう 起工きこう 進水しんすい 竣工しゅんこう 所属しょぞく
MSC-604
平成へいせい20年度ねんど計画けいかく
396ごうてい
えのしま ユニバーサル造船ぞうせん
京浜けいひん事業じぎょうしょ
2009ねん
平成へいせい21ねん
5月14にち
2010ねん
平成へいせい22ねん
10月25にち
2012ねん
平成へいせい24ねん
3月21にち
大湊おおみなと地方ちほうたい
函館はこだて基地きちたい

だい45掃海そうかいたい
函館はこだて基地きち

MSC-605
平成へいせい21年度ねんど計画けいかく
397ごうてい
ちちじま 2010ねん
平成へいせい22ねん
5月24にち
2011ねん
平成へいせい23ねん
11月24にち
2013ねん
平成へいせい25ねん
3月21にち
掃海そうかいたいぐん
だい1掃海そうかいたい
横須賀よこすか基地きち
MSC-606
平成へいせい23年度ねんど計画けいかく
398ごうてい
はつしま ジャパンマリンユナイテッド
横浜よこはま事業じぎょうしょ
鶴見つるみ工場こうじょう
2012ねん
平成へいせい24ねん
4がつ26にち
2013ねん
平成へいせい25ねん
12月6にち
2015ねん
平成へいせい27ねん
3月19にち
舞鶴まいづる地方ちほうたい
だい44掃海そうかいたい
舞鶴まいづる基地きち

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ 防衛ぼうえいしょう経理けいり装備そうびきょく 艦船かんせん武器ぶき (2011ねん3がつ). “艦船かんせん生産せいさん技術ぎじゅつ基盤きばん現状げんじょうについて” (PDF). 2015ねん6がつ28にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h こうこおり洋祐ようすけ新型しんがた掃海そうかいてい「えのしま」の明細めいさい」『世界せかい艦船かんせんだい764ごう海人あましゃ、2012ねん8がつ、163-169ぺーじNAID 40019366569 
  3. ^ 船体せんたい (現代げんだい掃海そうかい艦艇かんてい解剖かいぼうする)」『世界せかい艦船かんせんだい427ごう海人あましゃ、1990ねん10がつ、76-79ぺーじ 
  4. ^ 松本まつもと英昭ひであきわざほん試験しけんてい「ときわ」完成かんせい!―FRPせい掃海そうかいていをめざして」『世界せかい艦船かんせんだい307ごう海人あましゃ、1982ねん5がつ、100-101ぺーじ 
  5. ^ 防衛ぼうえいしょう技術ぎじゅつ研究けんきゅう本部ほんぶ へん技術ぎじゅつ開発かいはつかん船舶せんぱく担当たんとう」『技術ぎじゅつ研究けんきゅう本部ほんぶ60ねん創立そうりつろくじゅう周年しゅうねん記念きねん事業じぎょう準備じゅんび委員いいんかい、2012ねん11月https://web.archive.org/web/20151223145721/http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/60th/2-3.pdf 
  6. ^ 掃海そうかいてい「えのしま」ENOSHIMAがた,世界せかい艦船かんせん,2014ねん1がつごう,P94,海人あましゃ
  7. ^ 小野おの洋史ひろし (2011ねん). “あらたな素材そざい使つかいうえのしま” (PDF). 2014ねん1がつ29にち閲覧えつらん
  8. ^ Amanda Jacob (2009ねん5がつ14にち). “Kockums licenses composites technology to Japanese shipyard”. 2018ねん8がつ14にち閲覧えつらん
  9. ^ 東郷とうごうこうきの平成へいせい25年度ねんど計画けいかく新型しんがたかん」『世界せかい艦船かんせんだい771ごう海人あましゃ、2013ねん1がつ、144-149ぺーじNAID 40019496940 

外部がいぶリンク

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