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もっともらしい否認ひにん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

もっともらしい否認ひにん (もっともらしいひにん えい: plausible deniability)とは、ある出来事できごとたいしほとんどあきらかとっていいほど関与かんようたがわれている人物じんぶつが、しかしその明白めいはく物的ぶってき証拠しょうこ存在そんざいしないために、それを否認ひにんすることを概念がいねん

典型てんけいれいとしては、政治せいじみずからの周辺しゅうへんきた不祥事ふしょうじたいし「秘書ひしょのやったこと」とみずからの責任せきにん否定ひていする、といったものがげられる。

実際じっさい

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もっともらしい否認ひにん素直すなおれられることはなく、たとえ刑事けいじ訴追そついけることに成功せいこうしたとしても、強力きょうりょく状況じょうきょう証拠しょうこがあり否認ひにん説得せっとくりょくける場合ばあい国民こくみんかれ主張しゅちょううたがいのけることになる。その結果けっか世論せろんこたえるかたち引責いんせきしめされることはめずらしくない。

米国べいこくにおける「もっともらしい否認ひにん

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米国べいこくでは、もっともらしい否認ひにん法的ほうてき概念がいねんである。 それはうったえの内容ないよう証明しょうめいする証拠しょうこ欠如けつじょ意味いみする。 証明しょうめい基準きじゅん民事みんじ事件じけん刑事けいじ事件じけんことなり、民事みんじ事件じけんでは、証明しょうめい基準きじゅんは「証拠しょうこ優越ゆうえつ」であり、刑事けいじ事件じけんでは、その基準きじゅんは「合理ごうりてきうたが排除はいじょ」である。 異議いぎ申立もうしたじんがその主張しゅちょう証拠しょうこ提供ていきょうできない場合ばあい、たとえそれが真実しんじつであるとしても、被告ひこくはその主張しゅちょうをもっともらしく否定ひていできる。

「もっともらしい否認ひにん」は歴史れきしとおして存在そんざいしてきたが、この語句ごく1960年代ねんだい初頭しょとう違法いほうだったり、評判ひょうばんわる不人気ふにんきなCIAの行為こういおおやけになった場合ばあい高官こうかん不利益ふりえきこうむるのをけるために、かれらから情報じょうほう隠蔽いんぺいする行為こうい描写びょうしゃするためにCIAによってつくられた。この語句ごく由来ゆらいは、1948ねん6がつ18にちけのトルーマン米国べいこく国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎ(NSC)政策せいさく文書ぶんしょ10/2にはしはっする。この文書ぶんしょは「隠密おんみつ作戦さくせん」を「敵対てきたいてき外国がいこく国家こっかまたは団体だんたいたいして、あるいは友好ゆうこうてき外国がいこく国家こっかまたは団体だんたい支援しえんするように周到しゅうとう計画けいかくされ、実行じっこうされているため米国べいこく関与かんよあきらかではなく、たとえそれがうたがわれても米国べいこく政府せいふはもっともらしく否認ひにんができるもの」とした [1]アイゼンハワー政権せいけんあいだに 、NSC 10/2はより具体ぐたいてきNSC 5412/2「隠密おんみつ作戦さくせん」にまれた [2]NSC 5412は1977ねん分類ぶんるい解除かいじょされ、米国べいこく国立こくりつ公文書こうぶんしょかんにある[3]

ウォーターゲート事件じけん(ニクソン大統領だいとうりょうひきいる共和党きょうわとうが、敵対てきたい陣営じんえいである民主党みんしゅとう本部ほんぶ盗聴とうちょう設置せっちおこなったスキャンダル事件じけん)においてはリチャード・ニクソン大統領だいとうりょうとその補佐ほさかんおこないにたいするもっともらしい否認ひにんかえおこなわれたが、そのほとんどが失敗しっぱいわり、ニクソン大統領だいとうりょう引責いんせき辞任じにんするという結末けつまつむかえた。

歴史れきし

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「もっともらしい否認ひにん」という表現ひょうげんは、中央ちゅうおう情報じょうほうきょく(CIA)長官ちょうかんアレン・ダレスによって最初さいしょおおやけ使用しようされた。[4] 一方いっぽう、この概念がいねんはかなりふるくにさかのぼる。たとえば、19世紀せいき数学すうがくしゃチャールズ・バベッジは「独特どくとく微妙びみょう質問しつもん発生はっせいしたときに」一時いちじてき審議しんぎから除外じょがいされることができる「すうめい誠実せいじつ人々ひとびと」が審議しんぎかいにいる必要ひつようせいあらわした。必要ひつようがあれば、そのひと1人ひとり真実しんじつをもって「かれうたがわしいいかなる会議かいぎにも出席しゅっせきしなかった」ことを宣言せんげんすることができるからである[5]

そのれい

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もっともらしい否認ひにんのもう1つのれいは、そうすることが利益りえきつながるので、特定とくてい事実じじつについての知識ちしき習得しゅうとく積極せっきょくてきけるひとなどである。

弁護士べんごし自分じぶん弁護べんごがいする事実じじつ存在そんざいするかもしれないとかんがえるかもしれないが、弁護士べんごし実際じっさいっているならば、倫理りんり規定きていによりかれ相手あいてがわにそれらの事実じじつあきらかにしなければならなくなるため、それにづかないふりをする。

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ 歴史れきしきょく国務省こくむしょう。 1948ねん6がつ18にち、ワシントン特別とくべつプロジェクトきょくたいする国家こっか安全あんぜん保障ほしょう理事りじかい指令しれい(NSC 10/2)
  2. ^ 歴史れきしきょく国務省こくむしょうCovert Operations(NSC 5412/2)ワシントンしゅう日付ひづけなし。
  3. ^ 国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎ(NSC)の記録きろく記録きろくグループ273。
  4. ^ Carlisle, Rodney P (2003). The Complete Idiot's Guide to Spies and Espionage. Alpha Books. ISBN 0-02-864418-2 
  5. ^ Babbage, Charles (1864). Passages from the Life of a Philosopher. Longman, Green, Longman, Roberts, & Green. pp. 261-262 

外部がいぶリンク

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