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アッシュの同調どうちょう実験じっけん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

アッシュの同調どうちょう実験じっけんえいAsch conformity experiments)とは、1956ねんにアメリカの社会しゃかい心理しんり学者がくしゃソロモン・アッシュ発表はっぴょうした集団しゅうだん行動こうどうについての古典こてんてき実験じっけん

実験じっけん過程かてい[編集へんしゅう]

アッシュ実験じっけん使用しようされた2まいのカード。ひだり判断はんだん基準きじゅんとなる直線ちょくせんで、みぎ被験者ひけんしゃ判断はんだんさせる選択肢せんたくしとなる3ほん直線ちょくせんである。

実験じっけんしゃは、スワースモア大学だいがく男子だんし大学生だいがくせい被験者ひけんしゃとして使用しようし、8にんかくグループが半円はんえんがたならんですわり、そのうち7にん実験じっけんしゃ仕込しこんだにせ被験者ひけんしゃ(サクラ)で、1人ひとりだけが実際じっさい被験者ひけんしゃだった。この被験者ひけんしゃの7にんとは面識めんしきがなかった。実験じっけん開始かいし実験じっけんしゃ全員ぜんいん左側ひだりがわ基準きじゅんとなる直線ちょくせんしめし、右側みぎがわの3つの直線ちょくせんのうちのどれが基準きじゅんせんおなながさであるか、1人ひとりずつ口頭こうとう回答かいとうすることをもとめた。回答かいとうは、サクラやくの6にんさきで、しん被験者ひけんしゃはいつも最後さいごから2番目ばんめ回答かいとうするようにされていた。サクラやく回答かいとうしゃは、最初さいしょすうかいまさしく回答かいとうしたが、途中とちゅうからはあらかじめめられたあいだちがった回答かいとうをするようになっていた。実験じっけんでは、こうしたサクラやくあいだちがった回答かいとう多数たすう回答かいとう)がしん被験者ひけんしゃ回答かいとうにどんな影響えいきょうあたえるかが調しらべられた。

実験じっけんは18かいかえされ、その結果けっかぜん回答かいとうの37%でしん被験者ひけんしゃがサクラやくあいだちがった回答かいとう同調どうちょうすることがわかった。被験者ひけんしゃごとの分析ぶんせきでは、被験者ひけんしゃやく3/4がすくなくとも1かい同調どうちょう行動こうどうをし、まった同調どうちょうしない被験者ひけんしゃやく1/4だった。一方いっぽう、すべての回答かいとう同調どうちょうする被験者ひけんしゃはいなかった。

結論けつろん[編集へんしゅう]

このアッシュの実験じっけんでは、ただしい回答かいとう報酬ほうしゅうあたえられたわけでも、間違まちがった回答かいとうしてもばっあたえられたわけでもなかった。 したがって、しん被験者ひけんしゃがサクラのあいだちがった回答かいとう同調どうちょうしてしまった理由りゆうとして以下いかの2つが提唱ていしょうされた。

1つは、サクラやく満場一致まんじょういっち回答かいとう直面ちょくめんして、しん被験者ひけんしゃ自分じぶん意見いけん間違まちがっているとかんがえた可能かのうせいである。アッシュは実験じっけんしん被験者ひけんしゃになぜ間違まちがった回答かいとうをしたのかをたずねたが、すうにん実際じっさいにそうした返答へんとうをしていた。

もう1つのケースは、しん被験者ひけんしゃ多数たすう判断はんだん同調どうちょうすることで、多数たすうれられようとした可能かのうせいである。これは、この線分せんぶん判断はんだん課題かだいをサクラがいない状況じょうきょう実施じっしした場合ばあいにはまさしく判断はんだんできていたことからわかる。 またこのことは、サクラやく回答かいとうしゃ全員ぜんいん一致いっち間違まちがった回答かいとうをしない場合ばあいには同調どうちょう行動こうどう大幅おおはば低下ていかしたことからも確認かくにんされた。つまり、集団しゅうだんからの同調どうちょう圧力あつりょく全員ぜんいん一致いっちである場合ばあいつよはたらき、それとことなる意見いけんべることをむずかしくするのである。このことは斉一せいいつせい原理げんりとしてられている。

批判ひはん[編集へんしゅう]

このアッシュの実験じっけんは、世界中せかいじゅう文化ぶんか人種じんしゅえて同様どうよう実験じっけん結果けっか再現さいげんされることがレビューされ、社会しゃかい心理しんりがく教科書きょうかしょにはかなら記載きさいされているよくられた研究けんきゅうである。しかし、論文ろんぶん発表はっぴょうされた当初とうしょから実験じっけん結果けっかへの疑義ぎぎされていた。たとえば、アッシュの論文ろんぶん後半こうはんかれている被験者ひけんしゃとのインタビューでも、被験者ひけんしゃ実験じっけんじょうきょう疑問ぎもんかんじていたことをしめれいられる。追試ついし実験じっけんでも同調どうちょうこらなかったことを報告ほうこくした論文ろんぶんもある。ただし、出版しゅっぱんバイアスのために、同調どうちょうられなかったという否定ひていてき結果けっか論文ろんぶんとして公刊こうかんされにくいため、同調どうちょうられたとする追試ついし論文ろんぶんくらべ、そのかずすくない。日本にっぽん心理しんり学者がくしゃたちによるサクラを使つかわないアッシュ実験じっけん再現さいげん研究けんきゅうでも、斉一せいいつせい原理げんりかならずしもただしくない可能かのうせい指摘してきされている。

参考さんこう資料しりょう[編集へんしゅう]

関連かんれん記事きじ[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]