モハンマドホセイン・タバータバーイー

セイエド・モハンマドホセイン・タバータバーイー。1940年代ねんだいの写真しゃしん。

セイエド・モハンマドホセイン・タバータバーイー（ペルシア語ご: سید محمد حسین طباطبائی‎, 1892年ねん又または1903年生ねんせい - 1981年ねん11月15日にち歿）は、イランのウラマーで現代げんだいシーア派は思想家しそうかのひとり。1954年ねんから1972年ねんの間あいだに書かいた『タフスィーレ・ミーザーン』 Tafsir al-Mizan という聖典せいてん解釈かいしゃく学がくの専門せんもん書しょで知しられる。アッラーメ・タバータバーイーという通称つうしょうでよく知しられ、テヘラーンのアッラーメ・タバータバーイー大学だいがくにその名なを残のこしている。

生涯しょうがい

モハンマドホセイン・タバータバーイーはタブリーズの町まちに生うまれ、アラビア語ごやイスラーム諸もろ学がくの手てほどきを受うけたのち、12歳さいのころにナジャフにあるシーア派はの学院がくいんに入はいってさらに研鑽けんさんを積つむことにした。ナジャフで、シーア派はグノーシス思想しそうについてはアリー・タバータバーイーに、法学ほうがくと法ほう源げん論ろんについてはミールザーモハンマド・ナーイーニーとシェイフ・モハンマドホセイン・ガラヴィー・エスファハーニーに、数学すうがくについてはセイエド・アブルカースィム・フワーンサーリーに、教おしえを受うけた。イブン・スィーナーの Shifa, サドルッディーン・ シーラーズィーの Asfar, イブン・トゥルカの Tamhid al-qawa'id といった文献ぶんけんも講読こうどくした。セイエド・ホセイン・バードクバーイーとともに、彼かれは、当時とうじもっとも高名こうみょうな二に人にんのウラマー、セイエド・アブルハサン・ジルワとアーガー・アリー・モダッレス・ズーヌーズィーと師匠ししょうー弟子でし関係かんけいにあった。

タバータバーイーは後年こうねん、アンリ・コルバン及およびセイエド・ホセイン・ナスルとよく学習がくしゅう会かいを持もち、彼かれらのサークルの中なかではシーア派はグノーシス思想しそうのみならず、ナスルが comparative gnosis と呼よぶ、グノーシス的てき思想しそうまでもが議論ぎろんの対象たいしょうになった。ウパニシャッド、老子ろうし道徳どうとく経けい、ヨハネによる福音ふくいん書しょといったテキストもその文脈ぶんみゃくで議論ぎろんされ、スーフィズムやイスラーム的てきグノーシス主義しゅぎと対比的たいひてきに論ろんじられた。

タバータバーイーは哲学てつがく者しゃであり、著作ちょさくも多おおいが熱心ねっしんに後進こうしんを指導しどうし、全ぜん人生じんせいをイスラーム研究けんきゅうに捧ささげた。モルテザー・モタッハリー、モハンマド・べへシュティー、モハンマド・モファッテヘのように、イラン・イスラーム共和きょうわ国こく創設そうせつを理論りろん面めんで支ささえた人々ひとびとにタバータバーイーの弟子でしがいる。ホセイン・ナスルやハサン・ハサンザーデ・アーモリーのように、非ひ政治せいじ的てき分野ぶんやで研究けんきゅうを続つづけた弟子でしもいる。

著作ちょさく

若わかき日ひのタバータバーイーの写真しゃしん。

ナジャフ時代じだいのタバータバーイーは、主おもにタフスィール（聖典せいてん解釈かいしゃく学がく）、哲学てつがく、シーア派は信仰しんこうの歴史れきし的てき側面そくめんといった分野ぶんやで顕著けんちょな研究けんきゅうを残のこした。哲学てつがく分野ぶんやにおいては Usul-i falsafeh va ravesh-e-realism （哲学てつがくの基礎きそとリアリズムの方法ほうほう）という著作ちょさくが重要じゅうようである。5巻かん本ほんでモルテザー・モタッハリーによる解説かいせつが付ふされている。ゴムのホウゼにとってアーヤトッラー・ハーエリーがその組織そしき面めんでの再興さいこう者しゃであるとしたら、タバータバーイーはタフスィール学がく、哲学てつがく、スーフィズムの分野ぶんやで多大ただいな貢献こうけんをし、理論りろんを実践じっせんに変かえたという点てんで、ゴムのホウゼの精神せいしん面めんでの再興さいこう者しゃである。

哲学てつがく分野ぶんやにおけるタバータバーイーの重要じゅうような業績ぎょうせきは、中世ちゅうせいシーア派はムスリム思想家しそうかの掉尾ちょうびを飾かざるモッラー・サドラーの著作ちょさく Asfār al-'arba'eh への注釈ちゅうしゃくである。注釈ちゅうしゃくの内容ないようは膨大ぼうだいな量りょうである。タバータバーイーの人間にんげん中心ちゅうしん主義しゅぎは、『人間にんげんの本質ほんしつ』などの著作ちょさくに表あらわれている。Bidāyat al-hikmah and Nihāyat al-hikmah, といった著作ちょさくはイスラーム哲学てつがくの著作ちょさくである。

タバータバーイーはシーア派はの教義きょうぎとその歴史れきしについても論ろんじた。シーア派はについて論ろんじたアンリ・コルバンとの対話たいわの中なかで、タバータバーイーは、彼かれはシーア派は的てき信仰しんこうを吐露とろしている。タバータバーイーのシーア派は論ろんは、ウィリアム・チトウィックが補佐ほさしたコルゲート大学だいがくのプロジェクトにおいて、セイエド・ホセイン・ナスルにより英語えいごに翻訳ほんやくされた。タバータバーイーの著作ちょさくは、シーア派はに対たいする誤解ごかいや俗説ぞくせつを取とり除のぞき、多様たようなイスラーム思想しそうの包括ほうかつ的てきな理解りかいへの良よき導みちびき手しゅになると言いわれている。

タバータバーイーの著作ちょさくは全部ぜんぶで44冊さつある。3冊さつはイスラームの諸相しょそうに関かんする小しょう論集ろんしゅうである。

著作ちょさくリスト

• Shi'a Islam (ペルシア語ご: Shi’ah dar Islam‎)
• The Principles of Philosophy and the Method of Realism (ペルシア語ご: اصول فلسفه و روش رئالیسم‎ Usul-i falsafeh va ravesh-i ri'alism) in five volumes, with the commentary of Murtada Mutahhari.
• Glosses al-kifayah (ペルシア語ご: Hashiyahi kifayah‎). Glosses upon the new edition of the Asfar of Sadr al-Din Shirazi Mulla Sadra appearing under the direction of 'Allameh Tabataba'i of which seven volumes have appeared.
• Dialogues with Professor Corbin (ペルシア語ご: Mushabat ba Ustad Kurban‎) Two volumes based on conversations carried out between 'Allameh Tabataba'i and Henry Corbin of which the first volume was printed as the yearbook of Maktab-i tashayyu’, 1339 (A.H. Solar)
• Risalah dar hukumat-i islami, (Treatise on Islamic Government).
• Hashiyah-i kifayah (Glosses upon al-Kifayah).
• Risalah dar quwwah wafi'(Treatise on Potentiality and Actuality).
• Risalah dar ithbat-i dha~t (Treatise on the Proof of the Divine Essence).
• Risalah dar sifat (Treatise on the Divine Attributes).
• Risalah dar ata (Treatise on the Divine Acts).
• Risalah dar wasa'il (Treatise on Means).
• Risalah dar insan qabl al-dunya (Treatise on Man before the World)
• Risalah dar insan fi al-dunya (Treatise on Man in the World).
• Risalah dar insan ba'd al-dunya (Treatise on Man after the World).
• Risalah dar nubuwwat (Treatise on Prophecy).
• Risalah dar wilayat (Treatise on Initiation).
• Risalah dar mushtaqqat (Treatise on Derivatives).
• Risalah dar burhan (Treatise on Demonstration).
• Risalah dar mughalatah (Treatise on Sophism).
• Risalah dar tahlil (Treatise on Analysis).
• Risalah dar tarkib (Treatise on Synthesis).
• Risalah dar i’tibarat (Treatise on Contingents).
• Risalah dar nubuwwat wa manamat (Treatise on Prophecy and Dreams)
• Manza’mah dar rasm-i- khatt-i-nasta’liq (Poem on the Method of Writing the Nasta’liq Style of Calligraphy).
• Ali wa al-falsafat al-ilahiya (Ali and Metaphysics)
• Qur'an dar Islam (The Qur'an in Islam).