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エテノン (Ethenone)は、C2 H2 OまたはH2 C=C=Oの化学 かがく 式 しき を持 も つ有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ である。単 たん にケテン (Ketene)とも呼 よ ばれる。最 もっと も単純 たんじゅん なケテン で、エチノール の互変異性 いせい 体 からだ である。
エテノンは、標準 ひょうじゅん 状態 じょうたい では無色 むしょく の気体 きたい で、強 つよ い刺激 しげき 臭 しゅう を持 も つ。分子 ぶんし 量 りょう は42.04、融点 ゆうてん は-150.5℃、沸点 ふってん は-56.1℃である。アセトン 、エタノール 、エチルエーテル 、芳香 ほうこう 族 ぞく 炭化 たんか 水素 すいそ 、有機 ゆうき ハロゲン化合 かごう 物 ぶつ に可 か 溶である。
エテノンは、実験 じっけん 室 しつ では、アセトン蒸気 じょうき の熱 ねつ 分解 ぶんかい によって生成 せいせい できる[ 1] 。
エテノンは非常 ひじょう に反応 はんのう 性 せい が高 たか く、求 もとめ 核 かく 剤 ざい として反応 はんのう してアセチル基 もと を作 つく りやすい。例 たと えば、酢酸 さくさん と反応 はんのう して無水 むすい 酢酸 さくさん を形成 けいせい する。
エテノンは、自分 じぶん 自身 じしん とも反応 はんのう し、[2+2]環 たまき 化 か 付加 ふか 反応 はんのう を起 お こし、ジケテン と呼 よ ばれる環状 かんじょう 二 に 量 りょう 体 からだ を形成 けいせい する。このため、長期間 ちょうきかん 保存 ほぞん することはできない。
高 こう 濃度 のうど のエテノンに晒 さら されると、目 め 、鼻 はな 、喉 のど 、肺 はい 等 とう が刺激 しげき される。マウス、ラット、テンジクネズミ 、ウサギ等 とう を用 もち いた実験 じっけん で、0.2mg/l(116ppm)の濃度 のうど の新 あたら しいエテノンに10分間 ふんかん 晒 さら されると、小 しょう 動物 どうぶつ は高 たか い確 かく 率 りつ で死亡 しぼう することが示 しめ された。この発見 はっけん により、エテノンはホスゲン (0.2-20mg/l)やシアン化水素 しあんかすいそ (0.2-0.5mg/l)と同 どう 程度 ていど の毒性 どくせい を持 も つとされた。小 しょう 動物 どうぶつ の死 し は肺 はい 水腫 すいしゅ が原因 げんいん であり、全体 ぜんたい 的 てき にはホスゲン中毒 ちゅうどく と似 に ているが、進行 しんこう がより速 はや い[ 2] 。
^ C. D. Hurd (1941). "Ketene" . Organic Syntheses (英語 えいご ). ; Collective Volume , vol. 1, p. 330 .
^ H. A. Wooster, C. C. Lushbaugh, C. E. Redeman (1946). “The Inhalation Toxicity of Ketene and of Ketene Dimer”. J. Am. Chem. Soc. 68 (12): 2743. doi :10.1021/ja01216a526 .