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エリザベス・スペルキ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

エリザベス・S・スペルキ英語えいご:Elizabeth S. Spelke、1949ねん5月28にち - )は、ハーヴァード大学だいがくこころ理学部りがくぶもん認知にんち心理しんりがくもので、発達はったつ研究けんきゅう実験じっけんしつ指導しどうてき研究けんきゅうしゃである。

1980年代ねんだい以来いらい乳児にゅうじおさなどもで実験じっけんをおこない、その認知にんち能力のうりょく調しらべてきた。ヒトがおおくの生得しょうとくてきしんてき能力のうりょくをもっていることを発見はっけんした。近年きんねんは、男性だんせい女性じょせい認知にんちがあるかどうかという議論ぎろん重要じゅうよう役割やくわりたしている。擁護ようごしている立場たちばは、いかなる科学かがくてき証拠しょうこも、男性だんせい女性じょせい知的ちてき能力のうりょく有意ゆういあじへだたりがあるとはしめしていないというものである。

経歴けいれき

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スペルキは、ハーヴァードの学部がくぶせいだったとき、ども心理しんり学者がくしゃジェローム・ケイガンのもとで研究けんきゅうをおこなった。その卒業そつぎょう論文ろんぶんで、あかぼうのもつ愛着あいちゃく情動じょうどう反応はんのう研究けんきゅうした。そこでづくにいたったのは、あかぼうしんなに理解りかいしているのかというかんがえをもっている必要ひつようがあることだった。そのため、ども心理しんりがく認知にんちてき側面そくめん一生いっしょう興味きょうみいだくことになった。

コーネルのPh.D.課程かていでは、発達はったつ心理しんりがくものエレノア・ギブソンのもとにいて、ギブソンからは、おさなどもで実験じっけんをおこなうときいかに計画けいかくすればよいのかをまなんだ。

最初さいしょのアカデミックポストはペンシルベニア大学だいがくで、そこに9年間ねんかん従事じゅうじした。その、まずコーネルに、それからマサチュまさちゅセッツ工科大学せっつこうかだいがくのう認知にんち科学かがく部門ぶもんうつった。最終さいしゅうてきに、2001ねんにハーヴァードで地位ちいた。

2009ねんジャン・ニコしょう受賞じゅしょうフランス国立こくりつ科学かがく研究けんきゅうセンター主催しゅさい連続れんぞく講義こうぎおこなった。2016ねんハイネケンしょう受賞じゅしょう

実験じっけん

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発達はったつ研究けんきゅう実験じっけんしつでおこなった実験じっけんは、あかぼう認知にんち能力のうりょくみちびきだそうとこころみるものであり、ロバート・ファンツの開発かいはつした選好せんこう注視ちゅうしほうもちいている。これは、あかぼうにさまざまな画像がぞう呈示ていじし、注意ちゅうい固定こていしている時間じかんながさを測定そくていすることで、どれがもっとも本人ほんにんしんうごかしたのかを推定すいていするものである。

たとえば、あかぼうにつねに一定いっていかず物体ぶったいがある画像がぞうかえせる。あかぼう馴化じゅんかしたあと、それよりも物体ぶったいかずおおかったりすくなかったりするべつ画像がぞう呈示ていじする。あかぼうがそのあたらしい画像がぞうを、よりなが時間じかんたとしたら、研究けんきゅうしゃは、あかぼうりょうことなっているのを区別くべつできるとみちびきだせる[1]

一連いちれん同様どうよう実験じっけんによって、スペルキは、あかぼう高度こうど洗練せんれんされた生得しょうとくてきしんてき技能ぎのうをもっていることを示唆しさするものとして、自身じしん証拠しょうこ解釈かいしゃくした。これはウィリアム・ジェームズがつくった仮説かせつ対抗たいこうするものである。そのジェームズの仮説かせつは、あかぼう独特どくとく認知にんち能力のうりょくをもつことなくまれ、教育きょういく経験けいけんによってのみそれらを獲得かくとくすると主張しゅちょうしていた(『心理しんりがく原理げんり』(1890)をよ)。

せい知性ちせいについての論争ろんそう

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2005ねん当時とうじのハーヴァードの学長がくちょうローレンス・サマーズは、科学かがく工学こうがくたか地位ちいをみると男性だんせい女性じょせい優越ゆうえつしていると推測すいそくした。かれ推量すいりょうによると、男性だんせい集団しゅうだん女性じょせい集団しゅうだんとでは、生得しょうとく能力のうりょくのばらけぐあいに統計とうけいてきがあって(男性だんせいのばらけぐあいのほうがおおきく、そのため極端きょくたんなものがしょうじやすい)、それが重要じゅうよう役割やくわりたしているのだろうということだった。この言葉ことばはすぐさま波紋はもんんだ。スペルキはローレンス・サマーズ糾弾きゅうだんするがわのひとりで、この問題もんだいについてスティーヴン・ピンカー公開こうかい討論とうろんをおこなった。スペルキは、自身じしん実験じっけんあきらかにしているとおり、男性だんせい女性じょせいのもっているしんてき能力のうりょくはないとべていた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 訳注やくちゅう英語えいごはんをそのまま訳出やくしゅつした。これは馴化じゅんかだつ馴化じゅんかほう説明せつめいであって選好せんこう注視ちゅうしほう説明せつめいではない。適切てきせつれいきかえる必要ひつようがある。スペルキはどちらの方法ほうほうもちいている。

著作ちょさく

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  • Spelke E. S. (2005), “Sex differences in intrinsic aptitude for mathematics and science? A critical review” (PDF), American Psychologist 60 (9): 950–958, doi:10.1037/0003-066X.60.9.950, PMID 16366817, http://www.wjh.harvard.edu/~lds/pdfs/spelke2005.pdf 2009ねん6がつ14にち閲覧えつらん 

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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