オーサリングツール

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オーサリングツール (英語えいご: authoring tool) またはオーサリングソフトウェアは、コンピュータ音楽おんがく画像がぞう映像えいぞうやそれらをふく文書ぶんしょ編集へんしゅうするためのアプリケーションソフトウェアである。

グラフィックツール、音楽おんがくツール(DTMけい)、出版しゅっぱんけいDTPよう)、ウェブサイト制作せいさく運営うんえい管理かんりもちいるWebオーサリングツール、ゲームやスライドショーなどの制作せいさくもちいるマルチメディアけい、DVDソフトの制作せいさくようなどがある。

概略がいりゃく[編集へんしゅう]

Appleのプログラマ、ビル・アトキンソン開発かいはつしたHyperCardMacintosh標準ひょうじゅんハイパーテキスト作成さくせいツール)がマルチメディアオーサリングツールの元祖がんそであるといわれている。HyperCardはプログラミング環境かんきょうとしても出来できており、ゲームなどの作品さくひん制作せいさくをはじめ、ペイントツールのようなツールとうつくることができる(スタイルとしては、イベント駆動くどうがたプログラミングおよオブジェクト指向しこうプログラミングであった)。そのHyperCardもとにしたSuperCardや、Oracle Media Objects (OMO) など、数々かずかずのマルチメディアオーサリングツールが出回でまわった。日本にっぽんではパソコン通信つうしん全盛期ぜんせいきにはMASLRayFILLYといったマルチメディアオーサリングツールが主流しゅりゅうであった。富士通ふじつうFM TOWNSにはTownsGEARというマルチメディアオーサリングツールが付属ふぞくしていたが、そのアドビDirectorFlash主流しゅりゅうになった。

eラーニングのコンテンツとして、Microsoft Office PowerPointのスライドと、それを発表はっぴょうしている様子ようす撮影さつえいした動画どうが合成ごうせいする各種かくしゅソフトウェアも、オーサリングツールであり、合成ごうせい作業さぎょう自体じたいを「オーサリング」とんでいる。

光学こうがくメディアようオーサリングツール[編集へんしゅう]

UHD BD対応たいおう[編集へんしゅう]

HDR (ハイダイナミックレンジ) に対応たいおうするもの。

Scenaristドイツばん (Scenarist, LLC[1]Rovi Corporation (げんTiVo Corporation)[1]Sonic Solutions英語えいごばんおよびその子会社こがいしゃSonic Studio英語えいごばんダイキン[2])
DVDおよびBDに対応たいおうするオーサリングソフトウェア。UHD BDにはScenarist UHDで対応たいおうしている。Sonic DVD CreatorおよびSonic DVD Producerの後継こうけい製品せいひん民生みんせいけとして、Roxio (現在げんざいCorel子会社こがいしゃ)の販売はんばいするMyDVDがある。
以前いぜん民生みんせいけとして、DVD Fusion、DVDit!、Reel DVDなども存在そんざいした[2]。また、Avid Media ComposerにはAvid DVD by Sonicが付属ふぞくしていた。
DVDLogic BD Author/KITe (DVDLogic)
BDようのオーサリングスイート。Blu-ray 3D対応たいおうのBD Author 3D、UHD BD対応たいおうのKITe UHDがある。

UHD BD対応たいおう[編集へんしゅう]

HDR (ハイダイナミックレンジ) に対応たいおうしないもの。

VideoStudio (CorelUlead Systems)
ノンリニア動画どうが編集へんしゅうソフトウェア。X4でオーサリングソフトMovieWriter (きゅうDVD MovieWriter、海外かいがいめいDVD MovieFactory)のオーサリング機能きのう統合とうごうされた。ブルーレイのオーサリングにはBD packが必要ひつようとなる。
MovieWriterは統合とうごう並列へいれつしてリリースされていたが、その開発かいはつ終了しゅうりょうとなった。
TMPGEnc Authoring Works (Pegasys)
DVDおよびBDに対応たいおうするオーサリングソフトウェア。
EDIUS (グラスバレー ← トムソン・カノープス ← Canopus)
ノンリニア動画どうが編集へんしゅうソフトウェア。DVDおよびBDのオーサリングに対応たいおうしている。
PowerDirector (CyberLink)
ノンリニア動画どうが編集へんしゅうソフトウェア。DVDおよびBDのオーサリングに対応たいおうしている。
以前いぜんはオーサリング専用せんようPowerProducerもあったが、開発かいはつ終了しゅうりょうとなっている。

BD対応たいおう[編集へんしゅう]

DVDStyler英語えいごばん
オープンソースのDVDオーサリングソフトウェア。ライセンスはGPL。

開発かいはつ停止ていしちゅう[編集へんしゅう]

Adobe Encore (Adobe)
DVDおよびBDに対応たいおうするオーサリングソフトウェア。Adobe Premiere Pro CS6に付属ふぞくされていたが、Adobe Creative Cloudで廃止はいしとなった。
DVD Studio Pro英語えいごばん (Apple)
MacようのDVDオーサリングソフトウェア。
DivX Author (NeuLion←DivX, LLC英語えいごばん←DivX, Inc.←DivXNetworks, Inc.)
DVDとう対応たいおうするオーサリングソフトウェア。
DVDforger
オープンソースのDVDオーサリングソフトウェア。ライセンスはGPL。
DVD Flick
オープンソースのDVDオーサリングソフトウェア。ライセンスはGPL。
VEGAS DVD Architect (MAGIX ← Sony Creative Software ← Sonic Foundry)
DVDおよびBDに対応たいおうするオーサリングソフトウェア。Vegas Pro付属ふぞくしていた。開発かいはつ停止ていしちゅう[3]
Pixelogic Blu-print (Pixelogic←Sony DADC New Media Solutions←Sony Creative Software)
BDオーサリングソフトウェア。

映画えいがようオーサリングツール[編集へんしゅう]

DCI準拠じゅんきょJPEG2000れんばん画像がぞうやDCDM TIFFれんばん画像がぞうなどの映像えいぞうと、PCM音声おんせいから、DCP (デジタルシネマパッケージ)を作成さくせいするためのもの。なお、DCPパッケージの直接ちょくせつ生成せいせい対応たいおうする動画どうが編集へんしゅうソフトウェアとして、DaVinci ResolveやAdobe Premiere Proなども存在そんざいする。

DCPの再生さいせいには、easyDCP Player、CinePlayer、QuVIS DCPPlayer、NeoDCP Player、VLCメディアプレーヤー 2.2以降いこう[4] (asdcplibベース)などが対応たいおうしている。

IMF対応たいおう[編集へんしゅう]

IMFはNetflixなどのUHDストリーミングで使つかわれている。IMF形式けいしき直接ちょくせつ出力しゅつりょく対応たいおうする動画どうが編集へんしゅうソフトウェアとして、DaVinci Resolve 15以降いこう[5]、Avid Media Composer 2019以降いこう[6]なども存在そんざいする。

easyDCP Creator (Fraunhofer IIS)
DCPおよびIMF App2/App 2E[7]作成さくせいソフトウェア。DaVinci Resolveと連携れんけいできる。ステレオ3Dの出力しゅつりょくやKDM(暗号あんごうかぎ)の生成せいせいには上位じょういばんのeasyDCP Creator+が必要ひつようとなる。
姉妹しまいソフトウェアにDCP/IMF[8]再生さいせいのためのeasyDCP Playerがある。
Wailua (CineCert)
DCP/IMF作成さくせいソフトウェア[9]
asdcplib
オープンソース。はじめはDigital Cinema Initiativeの協力きょうりょくにより開発かいはつされていたが、現在げんざいはCineCertの協力きょうりょくにより開発かいはつされている[10]。IMFにも対応たいおうしている[11]

IMF対応たいおう[編集へんしゅう]

Dolby CineExport英語えいごばん (Dolby Laboratories[12]←Doremi Labs)
Apple Compressor (エンコードソフト) けのDCP作成さくせいプラグイン。姉妹しまいソフトウェアにDCP再生さいせいのためのCinePlayerがある。有料ゆうりょうばんのCineAssetも存在そんざいする。
QuVIS Wraptor (QuVIS Technologies)
Adobe Media EncoderおよびApple Compressor (エンコードソフト) けのDCP作成さくせいプラグイン。
姉妹しまいソフトウェアにDCP再生さいせいのためのQuVIS DCPPlayerがある。
CuteDCP (Fandev)
After EffectsおよびPremiere ProようのDCP作成さくせいプラグイン。
OpenDCP
オープンソースのDCP作成さくせいソフトウェア。
DCP-o-matic
オープンソースのDCP作成さくせいソフトウェア。

Webようオーサリングツール[編集へんしゅう]

おおくの動画どうがエンコードソフトウェアは標準ひょうじゅんでYoutubeやFacebookなどへの動画どうがのオーサリングに対応たいおうしている。

360動画どうが・VR動画どうが[編集へんしゅう]

360動画どうが出力しゅつりょく直接ちょくせつ対応たいおうするソフトウェアとしては、Adobe Premiere Pro CC 2015.3以降いこう[13]、Final Cut Pro X 10.4以降いこう[14][15]などがある。

360動画どうが再生さいせいにはVLC 3以降いこう、Scratch Play、GoPro VR Player (きゅうKolor Eyes)、Whirligig Playerなどが対応たいおうしている。

Spatial Media Metadata Injector (Google)
動画どうがに360°動画どうがようメタデータを付加ふかするためのツール。別名べつめい360 Video Metadata app。Apacheライセンス。空間くうかん音声おんせい(Spatial Audio)にも対応たいおうしている。

HDR動画どうが[編集へんしゅう]

YoutubeのHDR動画どうがは、H.264 10bit、ProRes 422、ProRes 4444、DNxHR HQX、VP9 profile 2のどれかのコーデックにエンコードする必要ひつようがあり[16]、また、動画どうがコンテナにはHDRメタデータを付加ふかする必要ひつようがある[16]。この出力しゅつりょく対応たいおうするソフトウェアとしては、DaVinci ResolveAdobe Premiere Pro、Adobe After Effectsなどが存在そんざいする[16]

NetflixのHDR動画どうがはIMF形式けいしき採用さいようしている。IMF形式けいしき出力しゅつりょく対応たいおうするオーサリングソフトウェアは#IMF対応たいおう参照さんしょう

ストリーミング[編集へんしゅう]

マルチメディアようオーサリングツール[編集へんしゅう]

Adobe Animate (Adobe Systems)
Adobe FlashおよびWebGLのオーサリングが可能かのうきゅうAdobe Flash Professional。
MatrixEngine Studio
MatrixEngineおよびWebGLのオーサリングが可能かのう過去かこには民生みんせいばんのDigitalLocaも存在そんざいした。
Clickteam Fusion (Clickteam英語えいごばん)
HTML5へのオーサリングが可能かのうきゅうKlik & Play←Click & Create←Multimedia Fusion。

開発かいはつ停止ていしちゅう[編集へんしゅう]

ZOOMA (ソフマップエフデザイン)
きゅうMADO、QUOVIS。
easy driver (パナソニック システムネットワークスおよ日本にっぽんシステムウエア)
オーサリングは独自どくじ形式けいしきとなっており、独自どくじWebプラグインでの再生さいせいにも対応たいおうしていた。
Adobe Director (Adobe Systems)
Adobe Shockwave形式けいしきのオーサリングが可能かのう

e-learningようオーサリングツール[編集へんしゅう]

そののオーサリングツール[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b Scenarist, LLC Acquires Authoring Technology Business Wire 2014ねん9がつ23にち
  2. ^ a b REGISTRATION STATEMENT UNDER THE SECURITIES ACT OF 1933 SONIC SOLUTIONS アメリカ証券しょうけん取引とりひき委員いいんかい 2001ねん9がつ14にち
  3. ^ VEGAS Forum - Support MAGIX 2020ねん8がつ8にち
  4. ^ VLC Player 2.2.0 with X265 and DCP Support Slashcam News 2015ねん2がつ12にち
  5. ^ DaVinci Resolve 15 released with Fusion built-in CGPress 2018ねん4がつ10日とおか
  6. ^ Avid Unveils ‘All-New’ Media Composer with Modernized UI, 32-Bit Full-Float Color Processing Studio Daily 2019ねん4がつ6にち
  7. ^ Which IMF specification supports easyDCP Fraunhofer IIS
  8. ^ Does easyDCP Player support IMF? Fraunhofer IIS
  9. ^ CineCert’s DCP/IMF Mastering solutions, Wailua and Anini, certified for Dolby Atmos CineCert 2014ねん10がつ20日はつか
  10. ^ AS-DCP FILE ACCESS LIBRARY CineCert
  11. ^ DOWNLOAD ASDCP CineCert
  12. ^ Dolby Acquires Doremi Doremi Labs 2014ねん11月3にち
  13. ^ しん機能きのう概要がいよう - Adobe Premiere Pro CC - 2015 リリース Adobe 2016ねん
  14. ^ Final Cut Pro X: Final Cut Pro 10.4 のしん機能きのう Apple 2018ねん1がつ26にち
  15. ^ Final Cut Pro X: 360° ビデオの概要がいよう Apple 2018ねん1がつ26にち
  16. ^ a b c Upload High Dynamic Range (HDR) videos Google