ガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス

ガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス

ガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス（Gaius Plinius Caecilius Secundus, 61年ねん頃ごろ - 113年ねん頃ころ）は、帝政ていせいローマの文人ぶんじん、政治せいじ家か。北きたイタリアのコムム（現在げんざいのコモ市し）生うまれ。父ちちの死後しご、母方ははかたの叔父おじである博物はくぶつ学者がくしゃ、政治せいじ家か、軍人ぐんじんのガイウス・プリニウス・セクンドゥス（大だいプリニウス）の養子ようしになった。叔父おじとの区別くべつのため小しょうプリニウスと称しょうされる。

元老げんろう院いん議員ぎいんとしてトラヤヌス帝みかどに対たいして捧ささげた賞賛しょうさんの演説えんぜつ『頌詞』と、全ぜん10巻かんの『書簡しょかん集しゅう』が作品さくひんとして知しられている。『書簡しょかん集しゅう』は103年ねん頃ごろから出版しゅっぱんしたもので、96年ねん末まつ頃ごろからの書簡しょかんを収おさめていて「当時とうじのローマ社会しゃかいを知しるうえできわめて重要じゅうような史料しりょうである」。『書簡しょかん集しゅう』第だい1巻かんから第だい9巻かんには私信ししんを収おさめ、友人ゆうじん・知人ちじんあての247通つうからなる。第だい10巻かんにはトラヤヌスと交かわした公的こうてき書簡しょかん121通つうを収おさめ、巻まき初はつからの14通つうはローマでプリニウスが書かいた手紙てがみと皇帝こうていの返書へんしょ1通つうで、残のこりの107通つうは109年ねん秋あきから赴任ふにん地ちビテュニア・ポントゥスで暮くらしたプリニウスが属ぞく州しゅう総督そうとくとしてトラヤヌス宛あてに書かいた手紙てがみとトラヤヌスの答こたえ書しょで構成こうせいされている。112年ねんごろ書かいた手紙てがみおよびトラヤヌスの答こたえ書しょによる指示しじは、皇帝こうてい礼拝れいはいを拒否きょひしイエス・キリストを崇拝すうはいするキリスト教徒きりすときょうとに対たいする処遇しょぐう方法ほうほうを知しる事ことができる貴重きちょうな資料しりょうとなっている。タキトゥスとは友人ゆうじんで、彼かれの求もとめに応おうじて叔父おじが死しんだ日ひの様子ようすを語かたった書簡しょかんが『書簡しょかん集しゅう』に含ふくまれており、ヴェスヴィオ火山かざんの噴火ふんかの様子ようすを知しる貴重きちょうな資料しりょうとなっている。

プリニウスは資産しさん家かとしても知しられ、総額そうがく2億おくセステルティウスの資産しさんがあったと考かんがえられている。古代こだいローマ研究けんきゅう者しゃR・ダンカン・ジョーンズの研究けんきゅうによれば、資産しさん者しゃリストの21位いとなっている。

日本語にほんご訳書やくしょ

• 国原くにはら吉之助よしのすけ訳わけ『プリニウス書簡しょかん集しゅう：ロろーマ帝国まていこく一いち貴紳きしんの生活せいかつと信条しんじょう』〈講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ〉1999年ねん。ISBN 978-4061593671。抄訳しょうやく。
• 神田かんだ楯だて夫おっと校こう註『プリニウス書簡しょかん選せん』岩波書店いわなみしょてん〈岩波いわなみギリシア・ラテン原典げんてん叢書そうしょ〉1950年ねん。24通つうの書簡しょかん原文げんぶんと「学生がくせい向むきの親切しんせつな註」。
• 弓削ゆげ達いたる『素顔すがおのローマ人じん』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ〈生活せいかつの世界せかい史し4〉1975年ねん。「約やく百ひゃく三さん十じゅう頁ぺーじにわたって……抄訳しょうやくしつつ、ローマの社会しゃかいを描写びょうしゃ」。

小しょうプリニウスにちなむ命名めいめい

小惑星しょうわくせい (3226) プリニウスは、小しょうプリニウスの名前なまえにちなんで命名めいめいされた。