キングス・クロス火災かさい

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キングス・クロス火災かさい
警察車両、消防車、救急車が駆けつけた現場のキングス・クロス地下鉄駅
警察けいさつ車両しゃりょう、消防車しょうぼうしゃ、救急きゅうきゅう車しゃが駆かけつけた現場げんばのキングス・クロス地下鉄ちかてつ駅えき
発生はっせい日び 1987年ねん11月18日にち
発生はっせい時刻じこく 19時じ30分ふん
国くに イギリスの旗 イギリス
場所ばしょ キングスクロス地下鉄ちかてつ駅えき
統計とうけい
死者ししゃ 31人にん
負傷ふしょう者しゃ 100人にん
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キングス・クロス火災かさい（キングス・クロスかさい、King's Cross fire）は、1987年ねん11月18日にちの19時じ30分ふんごろロンドン地下鉄ちかてつの主要しゅよう駅えきであるキングス・クロス・セント・パンクラス駅えきで発生はっせいした火災かさい事故じこ。この火災かさいで31人にんが死亡しぼうし100人にんが負傷ふしょうした。

同どう駅えきは地上ちじょうでキングス・クロス駅えきに隣接りんせつし、地下ちかにはメトロポリタン線せんのホームがある他ほか[注釈ちゅうしゃく 1]、ノーザン線せん、ピカデリー線せん、ヴィクトリア線せんのプラットホームが地下ちか深ふかくにあるが、火災かさいはピカデリー線せんへと続つづくエスカレーターで発生はっせいした。火災かさいが通報つうほうされたおよそ15分ふん後ご、ロンドン消防庁しょうぼうちょうの第だい一いち陣じんが現場げんばに到着とうちゃくし調査ちょうさしている最中さいちゅうフラッシュオーバー（炎ほのおが急激きゅうげきに燃もえ広ひろがる現象げんしょう）が発生はっせい、エスカレーターの上うえにあった切符きっぷ売場うりばは瞬またたく間まに炎ほのおと黒くろ煙けむりに包つつまれ多数たすうの犠牲ぎせい者しゃが出でた。

事故じこ後ごに行おこなわれた公式こうしき調査ちょうさでは、火災かさい原因げんいんは火ひのついたマッチが木製もくせいエスカレーターに投なげ捨すてられたことによるものであり、さらにこれまで知しられていなかった「トレンチ効果こうか」という現象げんしょうにより炎ほのおが一気いっきに燃もえ広ひろがったことにより多数たすうの犠牲ぎせい者しゃがでたものとされた。ロンドン地下鉄ちかてつ当局とうきょくは、過去かこに地下鉄ちかてつで重大じゅうだいな火災かさい事故じこが発生はっせいしていなかったことに甘あまんじて、駅員えきいんにほとんどあるいはまったく火災かさい・避難ひなん訓練くんれんを受うけさせていなかったとして、その対応たいおうを厳きびしく非難ひなんされた。

この調査ちょうさ報告ほうこく書しょが公開こうかいされると、ロンドン地下鉄ちかてつとロンドン地域ちいき交通こうつう局きょく（London Regional Transport、ロンドン地域ちいき運輸うんゆ公社こうしゃとも）の上層じょうそう部ぶ幹部かんぶは辞任じにんに追おい込こまれ、火災かさい予防よぼうのための新あらたな規則きそくが策定さくていされることとなった。

経緯けいい[編集へんしゅう]

キングス・クロスには、地上ちじょう路線ろせんの主要しゅよう駅えきであるキングス・クロス駅えきやメトロポリタン線せんの地下ちかホームに加くわえ、ノーザン線せん、ピカデリー線せん、ヴィクトリア線せんへの乗のり継つぎのためのプラットホームが地下ちか深ふかくにあった。構内こうないにはピカデリー線せんとヴィクトリア線せんへと続つづくエスカレーターが1本ほんずつあり、ノーザン線せんへはピカデリー線せんを通とおる形かたちとなっていた。また、ピカデリー線せんとヴィクトリア線せんは階段かいだんでつながっており[1]、その階段かいだんからはイギリス国鉄こくてつのミッドランド・シティ（後ごのテムズリンク）が使用しようするムーアゲート駅えき行いきの地下ちかホームとペントンヴィル・ロードへの出入口でいりぐちに通つうじていた[2][3]。

1987年ねん11月18日にち19時じ30分ふん頃ごろ、複数ふくすうの利用りよう者しゃがピカデリー線せんのエスカレーターで火災かさいを目撃もくげきし通報つうほうした。通報つうほうを受うけた駅員えきいんとイギリス鉄道てつどう警察けいさつが調査ちょうさに向むかい、警察官けいさつかん1名めいが消防しょうぼう局きょくに無線むせん連絡れんらくするため地上ちじょうに出でた。19時じ36分ふん、消防しょうぼう局きょくは消防車しょうぼうしゃ4台だいとはしご車しゃを出動しゅつどうさせた[4]。火災かさいはエスカレーターの下したで発生はっせいしており、消火しょうか器きを使つかえる近ちかさにまで近寄ちかよることはできなかった。構内こうないには水みず噴霧ふんむ式しきの消火しょうか器きもあったが、駅員えきいんは訓練くんれんを受うけておらず使用しよう方法ほうほうが分わからなかった[5]。19時じ39分ふん、ヴィクトリア線せん側がわのエスカレーターを使用しようして駅えきから避難ひなんすることが決定けっていされた[6]。その数すう分ふん後ごに消防車しょうぼうしゃが到着とうちゃくし、消防しょうぼう士しがエスカレーターを降おりて火災かさい規模きぼを確認かくにんしたところ、火炎かえんの大おおきさは大おおきめの段だんボール箱ばこ程度ていどであったため、空気くうき呼吸こきゅう器きを装備そうびした隊員たいいんが水みず噴霧ふんむ器きで消火しょうかにあたるプランを立たてた[7]。

19時じ45分ふん、フラッシュオーバーが発生はっせいした。炎ほのおの噴流ふんりゅうがエスカレーターシャフトを突つき抜ぬけてエスカレーター上じょうの切符きっぷ売場うりばは瞬またたく間まに炎ほのおと黒くろ煙けむりに包つつまれ[8]、その場ばにいた利用りよう者しゃの多おおくは死亡しぼうあるいは重傷じゅうしょうを負おった[9]。また、地下ちか構内こうないにいた数すう百ひゃく人にんが地上ちじょうに出でることができなくなり、ヴィクトリア線せんの列車れっしゃで駅えきから避難ひなんした[10]。警察官けいさつかん数すう名めいが負傷ふしょう者しゃを連つれてミッドランドシティのホームから脱出だっしゅつを試こころみたが、通路つうろは清掃せいそう担当たんとう者しゃによって施錠せじょうされていた[11]。メトロポリタン線せんのホームでは駅員えきいんと女性じょせい警官けいかんが閉とじ込こめられ、列車れっしゃで救出きゅうしゅつされた[10]。

消火しょうかに際さいし、150人にん以上いじょうの消防しょうぼう士しからなる消火しょうか班はん30班はんが配備はいびされた[12]。ロンドン救急きゅうきゅうサービスの救急きゅうきゅう車しゃ14台だいが負傷ふしょう者しゃをユニバーシティ・カレッジ病院びょういん  (University College Hospital) など近隣きんりんの病院びょういんに搬送はんそうした[13]。火災かさいは翌よく11月がつ19日にちの1時じ46分ふんに鎮火ちんかした[14]。

この火災かさいで31人にんが死亡しぼうし[15]、100人にんが病院びょういんに運はこばれ、うち19名めいが重症じゅうしょうであった[16]。現場げんばに最初さいしょに到着とうちゃくした消防しょうぼう隊たいの隊長たいちょうであるコリン・タウンズリー (Colin Townsley)は、切符きっぷ売うり場ばでフラッシュオーバーに遭あい死亡しぼうし、その遺体いたいはパンクラスロードへの出口でぐち階段かいだんの下したで黒焦くろこげになった利用りよう者しゃの遺体いたいの横よこで発見はっけんされた。タウンズリーは身動みうごきのとれなくなった利用りよう者しゃを発見はっけんし、救助きゅうじょしようとしていたものと考かんがえられている[17]。

最後さいごまで身元みもと特定とくていができなかった遺体いたい、通称つうしょう「マイケル」または「ボディ115」（遺体いたいの整理せいり番号ばんごうから）は、火災かさいから16年ねん後ごの2004年ねん1月がつ22日にち、法医学ほういがく的てき証拠しょうこによりスコットランド・フォルカークのアレクサンダー・ファロン（Alexander Fallon、73歳さい没ぼつ）と判明はんめいした[18]。アレクサンダーは妻つまに先立さきだたれ、4人にんの娘むすめたちは独立どくりつしており連絡れんらくも稀まれであった。娘むすめたちは1997年ねん頃ごろから、父親ちちおやがキングス・クロス駅えきで死しんだのではないかと疑うたがい始はじめていたが、当初とうしょ、遺体いたいの年齢ねんれいは50 - 60代だいとみなされており、そのことから別べつの行方ゆくえ不明ふめい者しゃが候補こうほに挙あがっていたこともあって身元みもとの確認かくにんが遅おくれた[19]。1990年ねんのニック・ロウの曲きょく「Who Was That Man?」は、長ながらく身元みもと不明ふめいであったこの遺体いたいについて歌うたったものである[要よう出典しゅってん][20]。

余波よは[編集へんしゅう]

メトロポリタン線せんの切符きっぷ売場うりばとホームは無傷むきずであったため、火災かさいの翌朝よくあさには業務ぎょうむが再開さいかいされた。ヴィクトリア線せんはエスカレーターが少すこし損傷そんしょうしたが、翌よく火曜日かようびから通常つうじょう運転うんてんを再開さいかいした。他た3線せんのホームが再開さいかいしたのは4週間しゅうかん後ごのことであった[16]。ピカデリー線せんのエスカレーターは全ぜん損そんしたためすべて交換こうかんされ、新規しんきエスカレーターは火災かさいの16か月げつ後ごの1989年ねん2月がつ27日にちから供用きょうよう開始かいしとなった。それまでの期間きかん、ピカデリー線せんにはヴィクトリア線せんかミッドランドシティのホームを通とおらなくてはならなかったため、ラッシュ時じには一方いっぽう通行つうこうに制限せいげんされた[21]。

ノーザン線せんのホームはキングスクロス駅えきと直結ちょっけつしておらず、ピカデリー線せんのエスカレーターを経由けいゆして通つうじていた。ヴィクトリア線せんのエスカレーターは他た3路線ろせんの乗客じょうきゃくで満員まんいん状態じょうたいであったため、ノーザン線せんの列車れっしゃはエスカレーターが復旧ふっきゅうが完了かんりょうするまでキングスクロス駅えきへの停車ていしゃを見合みあわせることとなった。併あわせて、寿命じゅみょうが近ちかかったノーザン線せんのエスカレーターも交換こうかんされることとなり、ノーザン線せんが通常つうじょう運転うんてんを再開さいかいした1989年ねん3月がつ5日にちのことであった[22]。

調査ちょうさと報告ほうこく[編集へんしゅう]

事故じこの公式こうしき調査ちょうさは、委員いいん長ちょうのデスモンド・フェンネル (Desmond Fennell、OBE QC) ほか4名めいの専門せんもん家かによる調査ちょうさ委員いいん会かいによって行おこなわれた。調査ちょうさは1988年ねん2月がつ1日にち、ウェストミンスターのセントラルホールで開始かいしされ、91日にちにわたる証拠しょうこ聴取ちょうしゅを行おこない6月がつ24日にち閉会へいかいした[23]。

グリーンフォード駅えき (Greenford station) の木製もくせいエスカレーター（2006年ねん撮影さつえい）。キングス・クロス駅えきで火災かさいを起おこしたものと同等どうとうのもの。同どう駅えきの木製もくせいエスカレーターは駅えきのバリアフリー化かに伴ともない2014年ねん3月がつ10日とおかで廃止はいし予定よていである。

ロンドン地下鉄ちかてつは1985年ねん2月がつから駅えき構内こうないの地下ちか部分ぶぶんが禁煙きんえんとなっていたが（オックスフォード・サーカス駅えき火災かさいによるもの）、調査ちょうさの結果けっか乗客じょうきゃくが火ひのついたままのマッチを投なげ捨すてて、それがエスカレータ側面そくめんと踏ふみ板いたの間あいだに落おちて燃もえ広ひろがったのがほぼ確実かくじつに火災かさいの原因げんいんであるとされた[24]。また、警察けいさつの調しらべでは、出火しゅっか場所ばしょがエスカレーターの下したで近ちかづくのが難むずかしい場所ばしょであり現場げんばからは燃焼ねんしょうを促進そくしんさせる物質ぶっしつなども発見はっけんされなかったため、放火ほうかの疑うたがいはないと判断はんだんされた。現場げんば調査ちょうさ担当たんとう者しゃは、エスカレーター側面そくめんの8か所しょの木きが焦こげて炭化たんかしていたことや、踏ふみ板いたにマッチが挟はさまっているのを発見はっけんしており[25]、これは火災かさいが過去かこにも同様どうように発生はっせいしていたがその際さいは火ひが燃もえ広ひろがらずに自然しぜんに消きえていたことを示しめすものであった[26]。

地下鉄ちかてつ車両しゃりょう内ないでの喫煙きつえんは1984年ねん7月がつから禁止きんしされており、オックスフォード・サーカス駅えきの火災かさい以降いこうは地下ちか駅えき構内こうないすべてが禁煙きんえんとなっていたが、喫煙きつえん者しゃの中なかにはこれを無視むししてタバコを投なげ捨すてていくものも少すくなくなかった[27]。現場げんば調査ちょうさではエスカレーター踏ふみ板いた下かにグリースのかたまりがあるのが発見はっけんされている。グリースは着火ちゃっかしにくく火ひの回まわりも遅おそいと考かんがえられていたが、現場げんばで発見はっけんされたグリース塊かたまりは線維状せんいじょうの物質ぶっしつが多おおく混まざっており、実際じっさいに火ひのついたマッチをエスカレーターに落おとす実験じっけんをしたところマッチはこのグリースに着火ちゃっかして火ひは燃もえ広ひろがり、その後ご消火しょうかされるまでの9分間ふんかん燃もえ続つづけた[28]。

この実験じっけんはキングス・クロス火災かさいの第だい一目いちもく撃げき者しゃの証言しょうげんを再現さいげんしたものであったが、委員いいん会かいの4人にんの専門せんもん家かの間あいだではなぜ小ちいさな火ひがフラッシュオーバーを起おこしたのかについて意見いけんがまとまらず、構内こうない天井てんじょうの塗料とりょうによるものではないかなどの見解けんかいも示しめされた[29]。キングス・クロス駅えきの模型もけいが原子力げんしりょく研究所けんきゅうじょ（Atomic Energy Research Establishment、ハウエル研究所けんきゅうじょとも）内ないにつくられコンピューターを使つかったシミュレーションが行おこなわれた。その結果けっか、炎ほのおは、切符きっぷ売場うりばに到達とうたつする火炎かえんの噴流ふんりゅうを生うみ出だすまでは、垂直すいちょくには燃もえ広ひろがらずエスカレーターの床ゆか面めんに留とどまったままであった。

この結果けっかは目撃もくげき者しゃの証言しょうげんと一致いっちしていたが、シミュレーションの表示ひょうじ画面がめんは炎ほのおが30度どの角度かくどのエスカレーターと平行へいこうに燃もえ広ひろがる様子ようすを示しめしていたが、こうした現象げんしょうはありえないと考かんがえプログラミングに誤あやまりがあったと疑うたがう意見いけんもあった[30]。バクストンにあるイギリス安全あんぜん衛生えいせい庁ちょう  (Health and Safety Executive)  の敷地しきち内ないでエスカレーターの3分ぶんの1サイズの模型もけいを使つかった実験じっけんにおいて、着火ちゃっかしてから7分ふん半はんの間あいだ火ひは燃もえ広ひろがらずに留とどまっていた。火ひ自体じたいはエスカレータの金属きんぞく部分ぶぶんに溜たまり、火ひよりも先さきに熱ねつだけがエスカレーターの溝みぞを上昇じょうしょうしていった[31]。そしてエスカレーター溝みぞの内部ないぶでフラッシュオーバーが起おこると、炎ほのおのサイズは劇的げきてきに増大ぞうだいし火炎かえんの噴流ふんりゅうとなって模型もけいの切符きっぷ売場うりばを襲おそった[9]。

本件ほんけんにおいてはエスカレーターの30度どという角度かくどが重要じゅうような役割やくわりを果はたしていた。切符きっぷ売うり場ばの乗客じょうきゃくたちは、このときまだ知しられていなかった、後のちに「トレンチ効果こうか」と名付なづけられる流体りゅうたい力学りきがく上じょうの現象げんしょうによって命いのちを落おとしたのであった。調査ちょうさ報告ほうこくは、この新あらたに発見はっけんされたトレンチ効果こうかによって、19時じ45分ふんに火災かさいがフラッシュオーバーを起おこしたものと結論けつろん付つけた[32]。ただし、傾斜地けいしゃちにおいて対流たいりゅうにより空気くうきを取とり込こみ高熱こうねつを産うみ出だすトレンチ効果こうか自体じたいは、アジア圏けんでは古ふるくから登のぼり窯かまとして利用りようされており、世界せかい的てきに見みれば新しん発見はっけんとは言いえない。

報告ほうこく書しょはまた、これまでの火災かさいで死亡しぼう者しゃが出でていなかったがために災害さいがいを軽視けいししていたとして、ロンドン地下鉄ちかてつを厳きびしく非難ひなんした[33]。駅員えきいんは、火災かさいが手てに負おえなくなってから消防しょうぼうを呼よぶものとされており、可能かのうな限かぎり自力じりきで対応たいおうするものとされていた[34]。火災かさいは「くすぶり火ひ」と呼よばれ、駅員えきいんは火災かさい対応たいおうや避難ひなんの訓練くんれんをほとんどあるいはまったく受うけていなかった[33]。

その後ご[編集へんしゅう]

1987年ねんの火災かさいを伝つたえる駅えき構内こうないの銘板めいばん

報告ほうこく書しょが公開こうかいされると、ロンドン地下鉄ちかてつおよびロンドン地域ちいき交通こうつう局きょく（London Regional Transport、ロンドン地域ちいき運輸うんゆ公社こうしゃとも）の幹部かんぶは辞任じにんに追おい込こまれた。木製もくせいの踏ふみ板いたはエスカレーターから外はずされ、エスカレーター下かには熱ねつ感知かんち器きとスプリンクラーが設置せっちされるようになり、無線むせん連絡れんらくシステムと駅員えきいんの防災ぼうさい訓練くんれんの改善かいぜんが図はかられた[35][36]。

火災かさい発生はっせいから5日にち後ごの11月23日にちにはロンドンのすべての地下鉄ちかてつ駅えき構内こうない（エスカレーターを含ふくむ）で喫煙きつえんが禁止きんしされ、1989年ねんには火災かさい予防よぼう（地下鉄ちかてつ道どう駅えき）規則きそく (The Fire Precautions (Sub-surface Railway Stations) Regulations 1989) が導入どうにゅうされた。木製もくせいエスカレーターは段階だんかい的てきに金属きんぞく製せいのものに交換こうかんされ、2000年代ねんだい初期しょきにはほとんどの駅えきで（ワンステッド駅えきは2003年ねんに、メリルボーン駅えきは2004年ねんに交換こうかん[37]）木製もくせいエスカレーターは廃止はいしされた。2014年ねん3月がつ10日とおか、グリーンフォード駅えきに残のこっていた最後さいごの木製もくせいエスカレーターが撤去てっきょされ、ロンドン地下鉄ちかてつのエスカレーターはすべて金属きんぞく製せいのものに交換こうかんされた[38]。

火災かさいの消火しょうか活動かつどうにあたった6人にんの消防しょうぼう士しに表彰状ひょうしょうじょうが贈おくられたが、火災かさいで命いのちを落おとしたタウンズリー隊長たいちょうもその一人ひとりである[39]。また、タウンズリー隊長たいちょうに対たいしてはジョージ・メダル  (George Medal)  も授与じゅよされた[40]。

火災かさいのすぐ後ご、追悼ついとう式しきがセント・パンクラス教会きょうかい (St Pancras New Church) で執とり行おこなわれた。また、火災かさいから20年ねん後ごの2007年ねんにも駅えき構内こうないで20年ねん追悼ついとう式しきが行おこなわれた[41]。25年ねん目めの2012年ねんには、駅えき近ちかくのブレスト・サクラメント教会きょうかいで追悼ついとう式しきが行おこなわれた[42]。 これに加くわえて犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうする銘板めいばんがセント・パンクラス教会きょうかい内ないに設置せっちされ、ダイアナ妃ひによって除幕じょまくされた。追悼ついとう銘板めいばんはキングス・クロス駅えき構内こうないにも同おなじく設置せっちされた[41]

TVドキュメンタリー番組ばんぐみ[編集へんしゅう]

キングス・クロス火災かさいは、ドキュメンタリー番組ばんぐみ Disaster "No Escape"や、The Day I Nearly Died "King's Cross - Beneath The Inferno"、また Seconds from Disaster "Kings Cross Fire".（日本語にほんご：『衝撃しょうげきの瞬間しゅんかん』）などで放映ほうえいされた。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく
  1. ^ ロンドン地下鉄ちかてつの路線ろせんのひとつ、サークル線せんも乗のり入いれている。
出典しゅってん
  1. ^ Fennell 1988, figure 6.
  2. ^ Fennell 1988, figure 5.
  3. ^ 『予期よきせざる現象げんしょう「トレンチ効果こうか」』, pp.184-185
  4. ^ Fennell 1988, p. 50.
  5. ^ Fennell 1988, pp. 51, 62.
  6. ^ Fennell 1988, p. 51.
  7. ^ Fennell 1988, p. 52.
  8. ^ Fennell 1988, p. 53.
  9. ^ a b Fennell 1988, p. 100.
  10. ^ a b Fennell 1988, p. 54.
  11. ^ Fennell 1988, pp. 54, 56.
  12. ^ Fennell 1988, p. 82.
  13. ^ Fennell 1988, p. 91.
  14. ^ Fennell 1988, p. 57.
  15. ^ Fennell 1988, p. 17.
  16. ^ a b Croome & Jackson 1993, p. 459.
  17. ^ Fennell 1988, pp. 78–79.
  18. ^ Jonathan Duffy (2004年ねん1月がつ22日にち). “Solved after 16 years - the mystery of victim 115”. BBC News Online. http://news.bbc.co.uk/1/hi/magazine/3419647.stm 2012年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。 
  19. ^ url=http://www.theguardian.com/world/2004/jan/22/transport.uk
  20. ^ Sue Black, G. Sunderland, L. Hackman, X. Mallett (2011). Disaster Victim Identification: Experience and Practice. CRC Press. p. 71. ISBN 978-1420094121 
  21. ^ Croome & Jackson 1993, pp. 459, 462.
  22. ^ Croome & Jackson 1993, pp. 459–462.
  23. ^ Fennell 1988, pp. 21–23.
  24. ^ Fennell 1988, p. 111.
  25. ^ Fennell 1988, pp. 221–224.
  26. ^ Fennell 1988, p. 114.
  27. ^ Fennell 1988, p. 94.
  28. ^ Fennell 1988, p. 104.
  29. ^ Fennell 1988, pp. 105–106.
  30. ^ Fennell 1988, p. 107.
  31. ^ Fennell 1988, p. 113.
  32. ^ Fennell 1988, pp. 113–114.
  33. ^ a b Fennell 1988, pp. 17–18.
  34. ^ Fennell 1988, p. 61.
  35. ^ Paul Channon (12 April 1989). "King's Cross Fire (Fennell Report)". Parliamentary Debates (Hansard). House of Commons. col. 915–917.
  36. ^ “Sir Desmond Fennell”. The Daily Telegraph. (2011年ねん7月がつ5日にち). http://www.telegraph.co.uk/news/obituaries/law-obituaries/8618848/Sir-Desmond-Fennell.html 
  37. ^ An End To Treading the Boards, Metronet Matters, Issue 3: Metronet, (2004), p. 17 
  38. ^ Mann, Sebastian (2014年ねん3月がつ11日にち). “Tube’s only wooden escalator to carry last passengers”. London 24. http://www.london24.com/news/transport/tube_s_only_wooden_escalator_to_carry_last_passengers_1_3419976 2014年ねん8月がつ16日にち閲覧えつらん。 
  39. ^ “RMT calls for staffing cuts to be scrapped on 25th anniversary of Kings Cross fire”. London Evening Standard. (2012年ねん11月18日にち). http://www.standard.co.uk/news/transport/rmt-calls-for-staffing-cuts-to-be-scrapped-on-25th-anniversary-of-kings-cross-fire-8326987.html 
  40. ^ “London Gazette, 25 May 1989 (supplement to Gazette of 24 May 1989), number 51745, 6217”. http://www.london-gazette.co.uk/issues/51745/supplements/6217/page.pdf 
  41. ^ a b “Ceremony marks King's Cross fire”. BBC News. (2007年ねん11月17日にち). http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/london/7099677.stm 2013年ねん4月がつ20日はつか閲覧えつらん。 
  42. ^ “King's Cross fire 25th anniversary marked”. bbc.co.uk. (2012年ねん11月19日にち). http://www.bbc.co.uk/news/uk-20383221 2012年ねん11月19日にち閲覧えつらん。 
参考さんこう文献ぶんけん

関連かんれん文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Appleton, B. (1992). Report of an inquiry into health and safety aspects of stoppages caused by fire and bomb alerts on London Underground, British Rail and other mass transit systems. HSE Books. ISBN 0-11-886394-0 
  • Chambers, P. (2006). Body 115: The Story of the Last Victim of the King's Cross Fire. John Wiley & Sons. ISBN 0-470-01808-9 
  • Moodie, K. (1992). “The King's Cross Fire: Damage Assessment and Overview of the Technical Investigation”. Fire Safety Journal, vol 18. 
  • Simcox, S.; Wilkes, N.S.; Jones, I.P. (1992). “Computer Simulation of the Flows of Hot Gases from the Fire at King's Cross Underground Station”. Fire Safety Journal, vol 18. 
  • Vaughan, Adrian (2000). Tracks to Disaster. Ian Allan. ISBN 0-7110-2731-5 
  • 機械きかい技師ぎし協会きょうかい (Institution of Mechanical Engineers)  Environmental Engineering Group (1 June 1989). The King's Cross underground fire: fire dynamics and the organization of safety. Mechanical Engineering Publications. ISBN 978-0-85298-705-6 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

英国えいこく法ほう (UK Legislation)

座標ざひょう: 北緯ほくい51度ど31分ふん50秒びょう 西経せいけい0度ど07分ふん26秒びょう / 北緯ほくい51.53048度ど 西経せいけい0.12385度ど / 51.53048; -0.12385

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