クレイトス

クレイトス（希まれ:Κλείτος, ラテン文字もじ転記てんき：Kleitos, 紀元前きげんぜん4世紀せいき前半ぜんはん - 紀元前きげんぜん328年ねん）は、古代こだいマケドニア王国おうこくの武将ぶしょうで、アレクサンドロス3世せいの友人ゆうじん、側近そっきん将校しょうこうの一人ひとりである。浅黒あさぐろい肌はだをしていたため「黒くろのクレイトス」（希のぞみ：Κλείτος οおみくろん Μέλας）と称しょうされる。古ふるくは近衛このえ隊長たいちょうとしてピリッポス2世せいに仕つかえていた。

マケドニア貴族きぞくドロピデスの子こで、アレクサンドロスより年上としうえであったことが知しられる。姉あねのラニケはアレクサンドロスの乳母うばであった。

クレイトスはアレクサンドロス3世せいによって騎兵きへい親衛隊しんえいたい長ちょうに任命にんめいされ、グラニコス川がわの戦たたかいでアレクサンドロスに背後はいごから襲おそい掛かかったペルシアの武将ぶしょうスピトリダテスの腕うでを斬きり落おとして王おうの命いのちを救すくった。その後ごガウガメラの戦たたかいで王おうとともに騎兵隊きへいたいを率ひきいて敵陣てきじんに突入とつにゅうし、フィロタスの処刑しょけいによって空席くうせきとなったヘタイロイ騎兵きへいの隊長たいちょうにヘファイスティオンとともに任命にんめいされるなど、優秀ゆうしゅうな指揮しき官かんであった。しかし伝統でんとう的てきなマケドニアの風習ふうしゅうを重おもんじていたため、ペルシア風ふうの宮廷きゅうてい儀礼ぎれいを導入どうにゅうしたり異い民族みんぞくとの融和ゆうわを重おもんじるアレクサンドロスの政策せいさくに異ことを唱となえ、王おうに阿諛あゆ追従ついしょうする近習きんじゅたちの言動げんどうを遠慮えんりょなく糾弾きゅうだんした。

紀元前きげんぜん328年ねんにソグディアナのマラカンダ（現在げんざいのサマルカンド）でペルシア人じんのバクトリア総督そうとくアルタバゾスが老齢ろうれいのため辞任じにんを申もうし出でたのを受うけて、王おうはクレイトスを後任こうにんのバクトリア総督そうとくに任命にんめいし、祝賀しゅくがの宴うたげを開ひらいた。しかし、上記じょうきのようないきさつでクレイトスとアレクサンドロスとの間あいだにかねて緊張きんちょう関係かんけいが生しょうじていたため、酒宴しゅえんの席上せきじょうでクレイトスは王おうと東方とうほう政策せいさくをめぐる口論こうろんをはじめ、酔よった王おうはクレイトスの挑発ちょうはつ的てきな言動げんどうに激怒げきどして、彼かれを槍やりで刺さし殺ころした。その後ご酔よいが醒さめたアレクサンドロスは自分じぶんの行為こういに激はげしい衝撃しょうげきを受うけ、三日みっか三さん晩ばんにわたって部屋へやにこもったまま慟哭どうこくし続つづけた。