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ゴールテンダー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
コロラド・アバランチのゴールテンダー、パトリック・ロワ1999ねん

ゴールテンダーとはアイスホッケーにおいててきのショットからゴールをまもり、失点しってんふせ役割やくわりのポジションである。

サッカーなどの球技きゅうぎにおいても同様どうようのポジションが存在そんざいし、ゴールキーパーばれることもあるが、アイスホッケーではとくゴールテンダー(goaltender)、ゴーリー(goalie)、さらに英国えいこくしきにはネットマインダー(netminder)と場合ばあいもある。

サッカーひとし球技きゅうぎとはちがい、アイスホッケーはゴールがせまいためにシュート阻止そしりつ(セーブりつ)がきわめてたかく、優秀ゆうしゅうなゴールテンダーはつねに90%以上いじょう維持いじするのが一般いっぱんてきである。これは10ほんシュートをたれても9ほんはセーブするというかくりつになる。そのため、通常つうじょうプレーちゅう失点しってん決定的けっていてき場面ばめんでは、あえてペナルティをおかし、ゴールテンダーとの一騎討いっきうちちである高度こうどなシュート技術ぎじゅつ要求ようきゅうされるブレイクアウェイとばれる状態じょうたいもっとちかペナルティーショットんだほう失点しってんするかくりつひくくなるという場合ばあいもある。

ホッケーリンクにおいては、ゴールネットまえの「ゴールクリーズ」とばれる場所ばしょてい位置いちとしている。かつてはマスクなしで試合しあい出場しゅつじょうすることがゆるされた時代じだいもあったが、今日きょうではてきはなつショットの強烈きょうれつ衝撃しょうげきから身体しんたいまもるためにゴールテンダーは後述こうじゅつのような特別とくべつ防具ぼうぐ着用ちゃくようすべきとされている。

特権とっけん

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ゴールテンダーはゴールをまも役割やくわりっており、選手せんしゅにはない特権とっけんあたえられている。

  • 特別とくべつ用具ようぐ使用しよう
ブロッカー、レッグパッド、トラッパーとうのプレイヤーの着用ちゃくようみとめられていない用具ようぐ着用ちゃくようし、のプレイヤーとはちが形状けいじょうのスティックを使用しようできる。
  • パックのあつかいにかんする特例とくれい
ゴールテンダーはパックをトラッパーでしっかりとつかんでしまうほか、ゴールクリーズないにゴールテンダーのからだがあれば故意こいにパックのうえたおれこんでパックのうごきをめてしまったり、たおれこんだからだしたにパックをかきせたり、ゴールまたはボードの一部いちぶけて保持ほじしたりできることがルールでみとめられている。ただし、保持ほじしたパックを3びょう以内いないはなさない場合ばあいは、試合しあいながれをめたとしてフェイスオフになる。
  • ゴールクリーズないにおけるてきのボディチェックからの保護ほご
てきチームの選手せんしゅはゴールクリーズないのゴールテンダーにたいして、けようと意図いとすることなしに身体しんたいてき接触せっしょくおこなうとペナルティの対象たいしょうとなる。
  • ペナルティにさいしての特例とくれい
ゴールテンダーは反則はんそくおかしてもペナルティボックスにはい必要ひつようがない。選手せんしゅ身代みがわりにペナルティボックスへれてチームが1めいすくない状態じょうたいでプレーが再開さいかいされる。また、決定的けっていてき得点とくてんチャンスにゴールテンダーの反則はんそくによって得点とくてんできなかった場合ばあいには、てきチームがわにペナルティショットがあたえられる。いずれにせよ、ゴールテンダーにはペナルティボックスにはいらなくてよいルールじょう特権とっけんがある。

装備そうび

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ゴールテンダーの装着そうちゃくする装備そうび外側そとがわには疎水そすいせい合成ごうせい皮革ひかくやナイロンが使用しようされ、その内部ないぶには発泡はっぽうプラスチックなどがめられている。もっとも、これらの素材そざい登場とうじょうするまでは、天然てんねん皮革ひかくなどがもちいられていた時代じだいもある。

NHLやそののリーグでは、極端きょくたんにゴールテンダーに有利ゆうりとなる装備そうび歯止はどめをかけるため、その規格きかく最大さいだいもうけるなどの規則きそく制定せいていされている。[1]

ブロッカー

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ブロッカーは、一般いっぱんてきにスティックをがわ装着そうちゃくされる装備そうびであり、こう部分ぶぶん四角しかくいたじょうのものがついたグローブである。ぞくワッフルばれることもある。旧式きゅうしきかたのものには素材そざい天然てんねん皮革ひかく使用しようされており、軽量けいりょうのためのくぼみがほどこされており、その形状けいじょうがケーキのワッフルにていることに由来ゆらいする。

大抵たいていのゴールテンダーは身体しんたいに1つのブロッカーしか装着そうちゃくしないが、ダン・ブラックバーン(Dan Blackburn)は怪我けが神経しんけい損傷そんしょうけトラッパー(後述こうじゅつ)の開閉かいへい不自由ふじゆうになってから2つのブロッカーを装着そうちゃくしてプレーしている。

胸部きょうぶおようでのプロテクター

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胸部きょうぶおようでのプロテクターは、パックの衝撃しょうげきからこれらの身体しんたい部位ぶい保護ほごするために装着そうちゃくする。通常つうじょうはホッケー・ジャージーのした装着そうちゃくされるため、試合しあいにおいて観客かんきゃくれることはまれである。

下腹部かふくぶ保護ほごするためのゴールテンダーようカップは、一般いっぱんてきなスポーツで使用しようされるカップ(jockstrap)よりも強固きょうこで、またパックがたったとき衝撃しょうげきひろ分散ぶんさんするような設計せっけいほどこされている。なお、女性じょせいのゴールテンダーのための同様どうよう防具ぼうぐはカップではなくジル(jill)とばれる。

レッグパッド

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あし保護ほごするための防具ぼうぐレッグパッドは、クリケットのパッドに由来ゆらいするものである。典型てんけいてきなレッグパッドのおおきさは、はば10インチから12インチ(25cm - 30cm)、ひざじょう伸張しんちょうした部分ぶぶんながさは4インチから8インチ(10cm - 20cm)といったところである。

マスク形状けいじょう使用しようされた時代じだいによっておおきく変遷へんせんしている。 [2]

初期しょきのころ一般いっぱんてき使用しようされたマスクは、かおおもて部分ぶぶんだけをおおめんのような形状けいじょうで、素材そざいにはファイバーグラスがもちいられ、はなくち部分ぶぶんおよ通気つうきようあないているものであった。この当時とうじのマスクには、チームのロゴマークや、へびひょうといった動物どうぶつをあしらい、またチームカラーで迷彩めいさいほどこしたものもおおられた。

そのマスクの形状けいじょう徐々じょじょあたま側面そくめんまでをおお形式けいしき変更へんこうされ、素材そざいにファイバーグラスのほか、ケブラー、カーボンファイバー、その合成ごうせい素材そざいもちいられるようになった。また、はなくち部分ぶぶんおおきくカットされ、鋼鉄こうてつやチタンのケージ(あらあみ)でおおわれるようになった。

また、マスクの代用だいようとして、通常つうじょうのホッケーようヘルメットに金属きんぞくせいのケージをけたものが使用しようされる場合ばあいもある。

ゴールテンダーの着用ちゃくようするショートパンツはのポジション(フォワードやディフェンス)の選手せんしゅけるものと似通にかよっている。大腿だいたいにはあつめのパッドがてられ、また大腿だいたいうしがわ骶骨、臀部でんぶ、ウエストを保護ほごするために、パンツのよこうしがわにはけいめのパッドがほどこされている。

スケートくつ

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ゴールテンダーの着用ちゃくようするスケートくつは、のポジションようくつとはことなっている。部分ぶぶんは、ながく、幅広はばひろで、ひらたくなっており、より安定あんていすような構造こうぞうとなっている。素材そざいには、ステンレスこうよりも炭素たんそこうもちいられることがおおい。また、たかさは身体しんたいひくしずめられるようにひくおさえられたものとなっている。

一方いっぽうのポジションようくつでは、アキレス腱あきれすけん保護ほごするためにかかとから上部じょうぶかってくつ後部こうぶながくなっているが、ゴールテンダーようにはこのような処置しょちはされていないことが一般いっぱんてきである。しかし、くつ内部ないぶはパックとうからの直接的ちょくせつてき衝撃しょうげき緩和かんわするために、プラスチックせいのカウルがけられている。

スティック

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ゴールテンダー専用せんようスティックは、やく3.5インチのたかさ(8.9cm)をつブレードがけられている。また、シャフトのしたのほう25インチから28インチ(63.5cm - 71cm)は守備しゅびりょく強化きょうかするため、ちょうどボートなどのかい(オール)のようにはばひろめにつくられている。この部分ぶぶんパドルばれる。

初期しょき時代じだいのスティックはすべて木製もくせいであったが、のちにはグラファイトファイバーグラス強化きょうかされるようになり、パドルやブレードの部分ぶぶんには軽量けいりょうのため発泡はっぽうプラスティックが注入ちゅうにゅうされるようになった。さらには、耐久たいきゅうせいもとめスティックをすべて合成ごうせい素材そざいからつく製造せいぞう業者ぎょうしゃもいる。

トラッパー

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トラッパーキャッチャーないしはキャッチグローブばれる装備そうびは、スティックをたないほうにはめるグローブの一種いっしゅである。形状けいじょうは、野球やきゅうのミットにているが、空中くうちゅうを160km/hでんでくるパック直接ちょくせつめても問題もんだいないよう、サイズはよりおおきく、頑丈がんじょうにできており、パックをめる部分ぶぶんくぼみもふかい。

ゴールテンダーの守備しゅびスタイル

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ゴールテンダーによる守備しゅびは、身体しんたいのあらゆる部位ぶいでシュートされたパックをはじばすことを基本きほんおこなわれるが、その守備しゅびスタイルには、おもがった姿勢しせいでプレーする「スタンドアップ・スタイル」と、ひざじてひざからしたあしひろげて氷上ひかみにつけ、氷上ひかみすべるパックを支配しはいするバタフライとばれる技術ぎじゅつ多用たようする「バタフライ・スタイル」がある。

1980年代ねんだいあたりまではスタンドアップ・スタイルが主流しゅりゅうであったが、パトリック・ロワ成功せいこう以降いこう、バタフライ・スタイルが主流しゅりゅうとなりつつある。

NHLのゴールテンダーにあたえられるしょう

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  • ヴェジーナしょうは、NHLもっと顕著けんちょはたらきをしたとみとめられるゴールテンダーに毎年まいとしあたえられるしょうで、かくチームのGMによって決定けっていされる。
  • ウィリアム・M・ジェニングスしょうは、NHLのレギュラーシーズンで最少さいしょう失点しってんチームのゴールテンダーに毎年まいとしあたえられる。
  • Roger Crozier Saving Grace しょうは、NHLのレギュラーシーズンで最高さいこうセーブりつ記録きろくしたゴールテンダーに毎年まいとしあたえられる。

ゴールテンダーで得点とくてんげた選手せんしゅ

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ゴールテンダーが得点とくてんげることは、一般いっぱんてきまれである。NHLではロン・ヘクストールマーティン・ブロデュアーなど、2019-20シーズンまでに12にんのゴーリーによって15かいのゴールが記録きろくされている。

脚注きゃくちゅう

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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