シーク (ペトラ)

シーク（アラビア語ご: السيق al-Siq‎, 英語えいご: the shaft）は、ヨルダン南部なんぶにある古代こだい都市としペトラへの入口いりくちである。その薄暗うすぐらくて狭せまい峡谷きょうこく（場所ばしょによっては幅はば3メートルもない）は、およそ1.2キロメートル（3/4 マイル）のうねった通路つうろであり、ペトラの最もっとも精緻せいちな遺跡いせきであるエル・カズネ（宝物殿ほうもつでん）に行いき着つく。

シークは地殻ちかく運動うんどうの影響えいきょうによって形成けいせいされ、水みずの侵食しんしょくにより滑なめらかに削けずられた自然しぜんの地質ちしつ断層だんそうである。シークを取とり囲かこむ壁かべの高たかさは91-182メートル（300-600フィート）となる^[1]。

シークの入口いりくちには、1963年ねんおよび1991年ねんに再建さいけんされた巨大きょだいなダムがあり、シークを通とおさず、ワディ・ムーサの水路すいろを変更へんこうするように造つくられていた。そのダムは、紀元前きげんぜん1世紀せいきから紀元きげん後ご1世紀せいきの初はじめに、ワディ・ムーサを維持いじするためナバテア人じんが造つくったもので、かなり正確せいかくに復元ふくげんされている。入口いりくちにはまた、記念きねん門もんの残片ざんぺんとして、2つの迫せり台だいおよびアーチ自体じたいの切きり崩くずれたいくらかの石いしのみがある。そのアーチは、地震じしんの後のち1896年ねんに崩壊ほうかいしたが、その外観がいかんはデイヴィッド・ロバーツ (David Roberts) のリトグラフ作品さくひんによって知しられている^[1]。

シークはペトラへの重要じゅうような隊商たいしょうの入口いりくちとして使用しようされた。裂さけ目めの両りょう壁かべに沿そって、ベテル (baetyli) を含ふくむ数すう多おおくの奉納ほうのうされた窪くぼみ（壁かべ龕がん）があり、シークがナバテアの人々ひとびとに尊たっとばれていたことを示唆しさしている。1998年ねんに、通路つうろを1.8メートル（6フィート）以上いじょう下さげるため採掘さいくつがなされた時ときに、一群いちぐんの彫像ちょうぞうが発見はっけんされた。その上部じょうぶはかなり侵食しんしょくされているが、2人ふたりの商人しょうにんと、それぞれが引ひく2頭とうのラクダの像ぞうを今いまもなお認みとめることができる。その像ぞうは、ほぼ等身とうしんの2倍大ばいだいとなる^[1]。

シークに沿そっていくつかの地下ちか室しつがあるが、その機能きのうはまだ明あきらかにされていない。それらが墓はかであった可能かのう性せいは否定ひていされており、考古こうこ学者がくしゃはそれらが住居じゅうきょであったことも信しんじ難がたいとしている。多数たすう意見いけんでは、それらはペトラへの入場にゅうじょう口こうを守まもった見張みはり役やくを収容しゅうようしたとされる^[1]。