ジェラルド・ジェラルデス

ジェラルド・ジェラルデス（Geraldo Geraldes, ? - 1173年ねん）は、ポルトガルの探検たんけん家か、軍人ぐんじん。レコンキスタでイスラム教いすらむきょうの町まちを奇襲きしゅうで落おとし、ポルトガルの南下なんか政策せいさくで活躍かつやくした。「豪胆ごうたん」「恐おそれ知しらずの勇者ゆうしゃ」の別名べつめいがあり、「恐おそれ知しらずのジェラルド（Geraldo Sem Pavor）」とも呼よばれた。

1165年ねんにポルトガル王おうアフォンソ1世せいの軍ぐんがトルヒーリョ、エヴォラ、カセレスを落おとした際さい、先さきんじて奇襲きしゅうで町まちを混乱こんらんさせていた。手口てぐちは夜よるに梯子はしごで市し壁かべを侵入しんにゅう、従者じゅうしゃたちも市し壁かべから町まちに入いれると叫さけびながら市内しないを突進つきすすめ、出会であう者もの全すべてを殺ころして回まわった。エヴォラ奇襲きしゅうには伝説でんせつがあり、見回みまわりをしていたモーロ人じんの女おんなを歌うたで気きを引ひいて、油断ゆだんして町まちの塔とうに上のぼらせた所ところで女おんなと父親ちちおやを殺ころし、仲間なかまを呼よんで陥落かんらくさせたという。アフォンソ1世せいに従したがっていたが、王おうからはエヴォラの長官ちょうかんに任にんじられ、他たの町まちにも支配しはい権けんをおよぼした。

しかし、ポルトガルの拡大かくだいはレオンの拡大かくだいを阻害そがいする恐おそれがあった。このためレオン王おうフェルナンド2世せいが攻撃こうげき準備じゅんびに入はいると、対抗たいこうのため1169年ねん5月にバダホスを包囲ほういしてアフォンソ1世せいに救援きゅうえん要請ようせい、応おうじたアフォンソ1世せいはバダホスへ向むかった。ところがバダホスの守備しゅび隊たいもフェルナンド2世せいとムワッヒド朝あさカリフアブー＝ヤアクーブ・ユースフ1世せいに救援きゅうえん要請ようせい（フェルナンド2世せいはムスリムと同盟どうめいしていた）、ポルトガル軍ぐんは不利ふりになり、アフォンソ1世せいは逃にげようとして失敗しっぱい、足あしを骨折こっせつして捕虜ほりょになり、レオンにトゥイとポンテベドラを割譲かつじょうして釈放しゃくほうされた。ジェラルドも止やむを得えずカセレスや他たの領土りょうどをレオンやムワッヒド朝あさなどに明あけ渡わたし、フェルナンド2世せいは南みなみへ領土りょうどを拡大かくだいした。

以後いごはバダホスの輸送ゆそう隊たいを攻撃こうげきしたり、ベージャをアフォンソ1世せいと共ともに奇襲きしゅうして多おおくの捕虜ほりょを獲得かくとくしたが、アフォンソ1世せいと不和ふわになったためムワッヒド朝あさに寝返ねがえったが、アフォンソ1世せいと文通ぶんつうしていたことが発覚はっかくして投獄とうごく、逃にげようとして殺ころされた。エヴォラの中央ちゅうおう広場ひろばはジェラルド広場ひろばと名付なづけられ現存げんそんしている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 安部あべ真しん穏『波乱万丈はらんばんじょうのポルトガル史し』泰たい流りゅう社しゃ（泰たい流りゅう選書せんしょ）、1994年ねん。
• D.W.ローマックス著ちょ、林はやし邦夫くにお訳わけ『レコンキスタ 中世ちゅうせいスペインの国土こくど回復かいふく運動うんどう』刀かたな水すい書房しょぼう、1996年ねん。
• アナ・ロドリゲス他た著ちょ、A・H・オリヴェイラ校閲こうえつ、東あずま明彦あきひこ訳わけ『世界せかいの教科書きょうかしょシリーズ44 ポルトガルの歴史れきし 小学校しょうがっこう歴史れきし教科書きょうかしょ』明石書店あかししょてん、2016年ねん。