ソーシャルワーカー

ソーシャルワーカー（英語えいご：Social Worker）とは、社会しゃかいの中なかで生活せいかつする上じょうで実際じっさいに困こまっている人々ひとびとや生活せいかつに不安ふあんを抱かかえている人々ひとびと、社会しゃかい的てきに疎外そがいされている人々ひとびとと関係かんけいを構築こうちくして様々さまざまな課題かだいにともに取とり組くむ援助えんじょを提供ていきょうするソーシャルワークを専門せんもん性せいに持もつ対人たいじん援助えんじょ専門せんもん職しょくの総称そうしょうである^[1]。そのため、相談そうだん者しゃ本人ほんにんだけではなく様々さまざまな課題かだいの背景はいけいや周囲しゅういにある、家族かぞく、友人ゆうじん、その他たの関連かんれん機関きかんや環境かんきょうにも働はたらく

イギリス[編集へんしゅう]

イギリスにおいてソーシャルワークを実施じっしするためには、教育きょういく機関きかんで職業しょくぎょう資格しかく（学士がくしレベル）を取得しゅとく後ご、保健ほけんケア資格しかく委員いいん会かい（英語えいご版ばん）(HCPC)に登録とうろくされた者ものである必要ひつようがある。

アメリカ[編集へんしゅう]

アメリカでは弁護士べんごしと同等どうとうの職業しょくぎょうとして市民しみん権けんを得えている。州しゅうごとの免許めんきょ制度せいどとなっていて、取得しゅとくには主おもに修士しゅうし以上いじょうのソーシャルワーク学位がくいが必要ひつようとなる他ほか、様々さまざまな要件ようけんが規定きていされている。

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、社会しゃかい福祉ふくし事業じぎょうにおいて主おもに相談そうだん支援しえんや関係かんけい機関きかんとの調整ちょうせいを担になうための国家こっか資格しかくとして、「社会しゃかい福祉ふくし士し及および介護かいご福祉ふくし士し法ほう」に基もとづく社会しゃかい福祉ふくし士し（Certified Social Worker）と、「精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士し法ほう」に基もとづく精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士し（Mental Health Social Worker）が存在そんざいする。

社会しゃかい福祉ふくし士し（社会しゃかい福祉ふくし士し及および介護かいご福祉ふくし士し法ほう第だい二に条じょう）

「社会しゃかい福祉ふくし士しの名称めいしょうを用もちいて、専門せんもん的てき知識ちしき及および技術ぎじゅつをもつて、身体しんたい上じょう若もしくは精神せいしん上じょうの障害しょうがいがあること又または環境かんきょう上じょうの理由りゆうにより日常にちじょう生活せいかつを営いとなむのに支障ししょうがある者ものの福祉ふくしに関かんする相談そうだんに応おうじ、助言じょげん、指導しどう、福祉ふくしサービスを提供ていきょうする者もの又または医師いしその他たの保健ほけん医療いりょうサービスを提供ていきょうする者ものその他たの関係かんけい者しゃ（第だい四よん十じゅう七なな条じょうにおいて「福祉ふくしサービス関係かんけい者しゃ等とう」という。）との連絡れんらく及および調整ちょうせいその他たの援助えんじょを行おこなうこと（第だい七なな条じょう及および第だい四よん十じゅう七なな条じょうの二ににおいて「相談そうだん援助えんじょ」という。）を業ごうとする者ものをいう。」

精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士し（精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士し法ほう第だい二に条じょう）

「精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士しの名称めいしょうを用もちいて、精神せいしん障害しょうがい者しゃの保健ほけん及および福祉ふくしに関かんする専門せんもん的てき知識ちしき及および技術ぎじゅつをもって、精神せいしん科か病院びょういんその他たの医療いりょう施設しせつにおいて精神せいしん障害しょうがいの医療いりょうを受うけ、又または精神せいしん障害しょうがい者しゃの社会しゃかい復帰ふっきの促進そくしんを図はかることを目的もくてきとする施設しせつを利用りようしている者ものの地域ちいき相談そうだん支援しえん(障害しょうがい者しゃの日常にちじょう生活せいかつ及および社会しゃかい生活せいかつを総合そうごう的てきに支援しえんするための法律ほうりつ(平成へいせい十じゅう七なな年ねん法律ほうりつ第だい百ひゃく二に十じゅう三さん号ごう)第だい五ご条じょう第だい十じゅう八はち項こうに規定きていする地域ちいき相談そうだん支援しえんをいう。第だい四よん十じゅう一いち条じょう第だい一いち項こうにおいて同おなじ。)の利用りように関かんする相談そうだんその他たの社会しゃかい復帰ふっきに関かんする相談そうだんに応おうじ、助言じょげん、指導しどう、日常にちじょう生活せいかつへの適応てきおうのために必要ひつような訓練くんれんその他たの援助えんじょを行おこなうこと(以下いか「相談そうだん援助えんじょ」という。)を業ごうとする者ものをいう。」

ソーシャルワーカーの職能しょくのう組織そしきのうち、4団体だんたい（日本にっぽんソーシャルワーカー協会きょうかい、日本にっぽん社会しゃかい福祉ふくし士し会かい、日本にっぽん精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士し協会きょうかい、日本にっぽん医療いりょう社会しゃかい福祉ふくし協会きょうかい）による社会しゃかい福祉ふくし専門せんもん職しょく団体だんたい協議きょうぎ会かい（現げん：日本にっぽんソーシャルワーカー連盟れんめい）は国際こくさいソーシャルワーカー連盟れんめい（International Federation of Social Workers、通称つうしょう：IFSW）に加盟かめいしており、同どう連盟れんめいが採択さいたくした「ソーシャルワーク専門せんもん職しょくのグローバル定義ていぎ」^[1]に基もとづいて倫理りんり綱領こうりょうを定さだめている。
「社会しゃかい福祉ふくし士し」・「精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士し」の名称めいしょうはともに名称めいしょう独占どくせんとして法的ほうてきに定さだめられているが、「ソーシャルワーカー」の名称めいしょうを独占どくせんするものでも、ソーシャルワーク専門せんもん性せいに基もとづく業務ぎょうむを独占どくせんする資格しかくでもない。
自治体じちたいごとに教育きょういく委員いいん会かいが採用さいようするスクールソーシャルワーカーは、主おもに学校がっこうからの依頼いらいで対象たいしょうとなる生徒せいとやその家庭かていに支援しえんを行おこなうが、必かならずしも社会しゃかい福祉ふくし士しや精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士しが対応たいおうしているわけではない。
大阪おおさか府ふ豊中とよなか市し社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎ会かいを中心ちゅうしんに2004年ねんより導入どうにゅうされたコミュニティ・ソーシャルワーカー（CSW)制度せいどは、その後ご全国ぜんこく市区しく町村ちょうそんの社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎ会かいに広ひろがり、厚生こうせい労働省ろうどうしょうが進すすめる地域ちいき包括ほうかつケアシステム^[2]においてもその役割やくわりが注目ちゅうもくされているが、必かならずしも社会しゃかい福祉ふくし士しや精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士しが対応たいおうしているわけではない。
社会しゃかい的てき養護ようご施設しせつ（児童じどう養護ようご施設しせつや乳児にゅうじ院いんなど）に配置はいちされ、主おもに措置そち児童じどうと家庭かていとの関係かんけい調整ちょうせいを行おこなう家庭かてい支援しえん専門せんもん相談そうだん員いんは「ファミリーソーシャルワーカー」と呼称こしょうされる事ことがある^[3]。必かならずしも社会しゃかい福祉ふくし士しや精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士しが対応たいおうしているわけではない。
独占どくせん業務ぎょうむではないため、病院びょういん等とうの医療いりょう機関きかんで主おもに退院たいいん支援しえんを行おこなう医療いりょうソーシャルワーカー（Medical Social Worker：MSW）や精神せいしん科か病院びょういんやクリニックで働はたらく精神せいしん科かソーシャルワーカー（Mental Health Social Worker：MHSW）が必かならず社会しゃかい福祉ふくし士しや精神せいしん保健ほけん福祉ふくし士しである、というわけではない。