バンドパスフィルタ

理想りそう的てきなフィルタ回路かいろの周波数しゅうはすう特性とくせい
（実際じっさいにはこのような周波数しゅうはすう特性とくせいは取とれない）

周波数しゅうはすう軸じくは対数たいすうで表現ひょうげんされる。

バンドパスフィルタ（英語えいご: Band-pass filter: BPF）とは、特定とくていの周波数しゅうはすう帯たいの物理ぶつり現象げんしょうを抽出ちゅうしゅつするフィルタの一種いっしゅ。

概要がいよう

必要ひつような周波数しゅうはすう帯たいのみを通とおし、他たの周波数しゅうはすうは通とおさない（減衰げんすいさせる）。

エレクトロニクスや信号しんごう処理しょりなど、様々さまざまな分野ぶんやで利用りようされている。それ以外いがいの分野ぶんやでの使用しよう例れいの1つに大気たいき科学かがくがある。直近ちょっきんのある期間きかん (たとえば3～10日にち) の気象きしょうデータをバンドパスフィルタにかけることで、サイクロンだけをデータ範囲はんい内ないの変化へんかとして残のこすことができる。

また、誘電ゆうでん体たい多層たそう膜まくは特定とくていの波長はちょうの光ひかりのみを透過とうかする機能きのうを有ゆうし、バンドパスフィルタとして機能きのうする。一いち例れいとして太陽光たいようこうに含ふくまれるHα線あるふぁせんのみを透過とうかするHαあるふぁフィルタ等とうがある。

アナログ電気でんき回路かいろでは、RLC回路かいろ（抵抗ていこう、コイル、コンデンサ）で実現じつげんできる。

理想りそうと現実げんじつ

バンドパスフィルタを特徴とくちょうづけるパラメータとして以下いかがしばしば用もちいられる。

• 帯域たいいき幅はば
  • 下した側がわ遮断しゃだん周波数しゅうはすう $f_{1}$ : 通過つうか帯域たいいきに対たいして電力でんりょくが $1/2$ となる周波数しゅうはすう（低てい周波数しゅうはすう側がわ）
  • 上側うわがわ遮断しゃだん周波数しゅうはすう $f_{2}$ : 通過つうか帯域たいいきに対たいして電力でんりょくが $1/2$ となる周波数しゅうはすう（高周波こうしゅうは数すう側がわ）
• 中心ちゅうしん周波数しゅうはすう $f_{c}$ : 上下じょうげ遮断しゃだん周波数しゅうはすうの相あい加かあるいは相乗そうじょう平均へいきん

理想りそう的てきなフィルタは完全かんぜんに平たいらな通過つうか帯域たいいきを持もち、通過つうか帯域たいいきの外そとのすべての周波数しゅうはすうを完全かんぜんに減衰げんすいさせる。すなわち $f_{1}<f<f_{2}$ において減衰げんすいが $0\ {\text{[dB]}}$ であり、それ以外いがいの領域りょういきで $-\infty \ {\text{[dB]}}$ となる。しかし実際じっさいにはそのようなバンドパスフィルタは存在そんざいしない。

フィルタは必要ひつような周波数しゅうはすう帯たい域外いきがいのすべての周波数しゅうはすうを完全かんぜんに減衰げんすいさせるというわけではなく、特とくに必要ひつような通過つうか帯域たいいきのすぐ外側そとがわの帯域たいいきでは、減衰げんすいはするが完全かんぜんには取とり除のけない。これはフィルタの「roll-off」として知しられている。一般いっぱんにフィルタの「roll-off」はできるだけ狭せまくなるように設計せっけいし、その結果けっかフィルタはできるだけ理想りそう的てきな特性とくせいが得えられるようになる。しかしながら「roll-off」が狭せまくなるとともに、通過つうか帯域たいいきは水平すいへいでなくなりはじめて「リップル (電気でんき)」が生しょうじ始はじめる。この効果こうかはギブズ現象げんしょうとして知しられており、通過つうか帯域たいいきの端はしで顕著けんちょである。

参考さんこう

• フィルタ回路かいろ
• ハイパスフィルタ　
• ローパスフィルタ
• バンドストップフィルタ