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パウエル報告ほうこく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

パウエル報告ほうこく(パウエルほうこく)は、2003ねん2がつ5にち国際こくさい連合れんごう安全あんぜん保障ほしょう理事りじかいにおいて、アメリカ国務こくむ長官ちょうかんであったコリン・パウエルによっておこなわれた報告ほうこくイラク化学かがく兵器へいき生物せいぶつ兵器へいきなどをひそかに開発かいはつ所持しょじしていることをしめすためのものであったが、のちにほとんどが事実じじつ誤認ごにん捏造ねつぞうされた情報じょうほうだったことが判明はんめいしている。

背景はいけい

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イラクは湾岸わんがん戦争せんそう停戦ていせんに、国連こくれんによって、大量たいりょう破壊はかい兵器へいきやその開発かいはつプログラム、製造せいぞう設備せつびなどを破棄はきすることを義務付ぎむづけられた。その義務ぎむたされているかどうかを調査ちょうさ専門せんもんからなる武器ぶき査察ささつだんによっておこなわれることになった。この査察ささつ活動かつどうたいしてイラクはかならずしも全面ぜんめんてき協力きょうりょくおこなわず、一部いちぶ武器ぶき申告しんこくしない、製造せいぞう設備せつび偽装ぎそうする、などの行為こういおこなったとされる。また、査察ささつだんスパイ活動かつどうおこなっているなど査察ささつたいする批判ひはんおこなった。結果けっか、イラクの武装ぶそう解除かいじょ難航なんこうした。(イラク武装ぶそう解除かいじょ問題もんだい

2003ねんに、アメリカはイラクにたいして批判ひはんてき姿勢しせいつよめ、武力ぶりょく行使こうしさないという発言はつげん当時とうじ大統領だいとうりょうらによっておこなわれた。イラクの武装ぶそう解除かいじょ武器ぶき査察ささつをめぐる国連こくれん安保理あんぽり合意ごうい国際こくさい連合れんごう安全あんぜん保障ほしょう理事りじかい決議けつぎ1441)では、武力ぶりょく行使こうし可能かのうせいあん示唆しさされていた程度ていどとどまっており(パラグラフ13)、査察ささつだんへの協力きょうりょく欠如けつじょや、禁止きんしされている兵器へいき開発かいはつなどがあった場合ばあい安保理あんぽりすみやかに協議きょうぎおこなうということになっていた(パラグラフ12)。また、査察ささつだん報告ほうこくは、イラクがわかならずしも全面ぜんめんてき協力きょうりょくしているわけではないものの査察ささつ活動かつどう進展しんてんしており、より時間じかんをかけた査察ささつ必要ひつようだとするものであった。だが、アメリカがわはこのような査察ささつだん見解けんかい不満ふまんいだき、フランスをはじめとする常任じょうにん理事りじこく武器ぶき査察ささつ継続けいぞく支持しじしたことにも反対はんたい表明ひょうめいし、もはや査察ささつによる武装ぶそう解除かいじょではなく、より強硬きょうこう手段しゅだんをとるべきだとした。

この背景はいけいには、2001ねん9月11にちアメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけん被害ひがいがあったこと、そのテロを支援しえんする(またはその可能かのうせいがある)国家こっかのひとつとしてイラクを指摘してきしていたこと、具体ぐたいてきにイラクに支援しえんされたテロ組織そしきがアメリカを標的ひょうてきとした活動かつどうおこなうのをたずに先制せんせい攻撃こうげきをかける権利けんりがあると主張しゅちょうしていたこと、などがげられる。

報告ほうこく内容ないよう評価ひょうか

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アメリカは自国じこく情報じょうほうもちいて、武器ぶき査察ささつ有効ゆうこう機能きのうしておらず、長距離ちょうきょりミサイル移動いどうしき化学かがく兵器へいき製造せいぞう設備せつびなどが存在そんざいしている可能かのうせいしめした。

報告ほうこくやく90ふんわたるものだった。

軍事ぐんじ関係かんけい専門せんもんなかにはその報告ほうこく内容ないようについて、イラクの申告しんこくれの証拠しょうこであるとたか評価ひょうかするものもいたが、ぎゃくいくつかの欠陥けっかん指摘してきし、重視じゅうしするこえもあった。

どう報告ほうこくが、重要じゅうよう情報じょうほうげんとしてたか評価ひょうかし、言及げんきゅうしていたイギリス政府せいふによる報告ほうこくしょが、じつはイラクの研究けんきゅうおこなうアメリカの大学院生だいがくいんせい論文ろんぶんからのかなりなが剽窃ひょうせつふくんでおり、その論文ろんぶん1991ねん当時とうじ情報じょうほうもとづいたものであること、軍事ぐんじ業界ぎょうかい専門せんもん「ジェーンズ・インテリジェンス・レビュー」からの剽窃ひょうせつふくんでいたこと、などがのちおおくの報道ほうどう機関きかんによって指摘してきされた。

また、イラクがナイジェリアから500トンのウラニウム購入こうにゅうしようとした(ニジェール疑惑ぎわく証拠しょうことして提出ていしゅつされた書類しょるいは、偽造ぎぞうであることが指摘してきされた。かなり稚拙ちせつ偽造ぎぞうであるとの批判ひはんがなされた。アメリカ政府せいふ意図いとてき工作こうさくうたがこえもあったが、政府せいふがわは、偽造ぎぞうであることが見破みやぶられないままに証拠しょうことして考慮こうりょされたものであるとした。

パウエル自身じしんのちにABCニュースのインタビューでこの報告ほうこくを『わたし生涯しょうがい汚点おてんであり、報告ほうこく内容ないようはひどいものだった』と反省はんせいべんべている。

外部がいぶリンク

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