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フェデラル・ファンド金利きんり

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』

フェデラル・ファンド金利きんり（フェデラルファンドきんり、英えい: federal funds rate、FF金利きんり、FFレート）とは、米国べいこくのフェデラル・ファンド市場いちばの金利きんりのこと。フェデラル・ファンド市場いちば（FF市場いちば）とは、米国べいこくの銀行ぎんこうが中央ちゅうおう銀行ぎんこうに預あづけている預金よきん（準備じゅんび預金よきん）を貸かし借かりする市場いちばのこと。フェデラル・ファンド市場いちばにて米国べいこくの銀行ぎんこう間あいだで無む担保たんぽでオーバーナイト（1営業えいぎょう日び）で貸かし借かりを行おこない、資金しきん融通ゆうずうしている。日本にっぽんの無む担保たんぽコール翌日よくじつ物ぶつ金利きんりに対応たいおうする[1]。

実効じっこうフェデラル・ファンド金利きんり（英えい: effective federal funds rate, EFFR、実効じっこうFF金利きんり）とは、フェデラル・ファンド市場いちばでの金利きんりを取引とりひき金額きんがくで重おもみ付づけした平均へいきんで、ニューヨーク連邦れんぽう準備じゅんび銀行ぎんこうが毎日まいにち9時じ頃ごろに前日ぜんじつ分ぶんを発表はっぴょうしている[2]。

米国べいこくの中央ちゅうおう銀行ぎんこうである連邦れんぽう準備じゅんび銀行ぎんこう（設立せつりつの歴史れきし的てき経緯けいいから12行ぎょうある）の統括とうかつ機関きかんである連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじ会かい（FRB）は、政策せいさく金利きんりとして、実効じっこうフェデラル・ファンド金利きんりの誘導ゆうどう目標もくひょう（英えい: federal funds target rate）を定さだめている。誘導ゆうどう目標もくひょうの変更へんこうは連邦れんぽう公開こうかい市場いちば委員いいん会かい（FOMC）で決定けっていされる[1]。

概要がいよう[編集へんしゅう]

フェデラル・ファンドとは、米国べいこくの民間みんかん銀行ぎんこうが連邦れんぽう準備じゅんび銀行ぎんこうに預託よたくをしている準備じゅんび金きんをいう。フェデラル・ファンド金利きんりとは、各かく市中しちゅう銀行ぎんこうがフェデラル・ファンドの預託よたく金額きんがくを維持いじするために資金しきんを調達ちょうたつする短期たんき金融きんゆう市場いちばの金利きんりの事ことである。

市中しちゅう銀行ぎんこうは義務ぎむづけられた準備じゅんび金きんの金額きんがくを維持いじするために、資金しきんが不足ふそくする場合ばあいは他たの市中しちゅう銀行ぎんこうから借かりて調達ちょうたつする。また資金しきんに余裕よゆうのある場合ばあいは、余裕よゆうのある資金しきんを他たの市中しちゅう銀行ぎんこうに貸かして利子りしを得えようとする。その市中しちゅう銀行ぎんこう間あいだの短期たんき資金しきんのやりとりの場ばである短期たんき金融きんゆう市場いちばの実勢じっせい金利きんりがフェデラルファンド金利きんりと呼よばれるものである。連邦れんぽう準備じゅんび銀行ぎんこうは公開こうかい市場いちば操作そうさによってフェデラルファンド金利きんりをFRBの決定けっていした政策せいさく金利きんりに誘導ゆうどうする。

近年きんねんのフェデラル・ファンド金利きんりの誘導ゆうどう目標もくひょうの変遷へんせん[編集へんしゅう]

金利きんり推移すいいはセントルイス連邦れんぽう準備じゅんび銀行ぎんこうの Federal Reserve Economic Data で見みられる[3]。

  • 1990年ねん7月がつ13日にちの金利きんりは8.0%だったが、1992年ねん9月4日にちには3.0%まで下落げらくした。
  • 1992年ねん9月がつ4日にちの金利きんりは3.0%だったが、1995年ねん2月がつ1日にちには6.0%まで上昇じょうしょうした。

サブプライム住宅じゅうたくローン危機きき[編集へんしゅう]

サブプライム住宅じゅうたくローン危機ききによる金融きんゆう危機ききの影響えいきょうから断続だんぞく的てきに利下りさげが行おこなわれた。

  • 2007年ねん9月18日にちには世界せかい的てき株かぶ安やすを阻止そしする措置そちとして、5.25%から4.75%に緊急きんきゅう利下りさげが行おこなわれた。10月31日にちには4.50%、12月11日にちには4.25%に下さげた。
  • 2008年ねん1月がつ22日にちに3.5%に下さげ、1月がつ30日にちに3.0%、3月18日にちに2.25%、4月がつ30日にちに2.0%、10月8日にちに1.5%（緊急きんきゅう利下りさげ）、10月29日にちに1.0%に下さげた。
  • 2008年ねん12月17日にちには更さらに0.75%引ひき下さげられて0.25%となった（誘導ゆうどう目標もくひょう年ねん0％〜0.25％）。米国べいこく史上しじょう初はつのゼロ金利きんり政策せいさく。
  • 2015年ねん12月16日にちに0.25％～0.50％となった。2008年ねん12月の利下りさげ以来いらいおよそ7年ねん振ふりの政策せいさく金利きんり変更へんこうになった。  

コロナショック[編集へんしゅう]

  • 2020年ねん3月がつ3日にちに緊急きんきゅう利下りさげを行おこない、誘導ゆうどう目標もくひょうを1.50～1.75%から1.00～1.25%に下さげた。緊急きんきゅう利下りさげは2008年ねん10月がつ8日にち以来いらい[4]。
  • 2020年ねん3月がつ15日にちに緊急きんきゅう利下りさげを行おこない、誘導ゆうどう目標もくひょうを1.00～1.25%から0.00～0.25%に下さげた。2015年ねん12月16日にち以来いらいのゼロ金利きんり政策せいさくを開始かいしし、量的りょうてき緩和かんわ政策せいさくも復活ふっかつさせた[5]。
  • 2022年ねん3月がつ16日にちに利上りあげを行おこない、誘導ゆうどう目標もくひょうを0.25～0.50%に上あげ、ゼロ金利きんり政策せいさくが終了しゅうりょうした[6]。2021年ねん3月がつ以降いこう、消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうの前年ぜんねん比ひ上昇じょうしょう率りつは目標もくひょうの2%を超こえていたが、FRBはこれを一時いちじ的てきな現象げんしょうと予想よそうしていたが、その予想よそうが外はずれ、2021年ねん11月30日にちに撤回てっかいし[7]、利上りあげへと方向ほうこうを切きり替かえた。
  • 2022年ねん5月がつ4日にちに利上りあげを行おこない、誘導ゆうどう目標もくひょうを0.75～1.00%に上あげた。一いち度どに0.5%上あげるのは2000年ねん5月がつ以来いらい。2022年ねん6月がつから量的りょうてき引ひき締しめを開始かいしし、2022年ねん6月がつ～8月がつは毎月まいつき475億おくドル（国債こくさいを300億おくドル、住宅じゅうたくローン担保たんぽ証券しょうけんを175億おくドル）、2022年ねん9月がつ以降いこうは毎月まいつき最大さいだい950億おくドル（国債こくさいを600億おくドル、住宅じゅうたくローン担保たんぽ証券しょうけんを350億おくドル）圧縮あっしゅくする。国債こくさいは市場いちばでは売却ばいきゃくせずに、償還しょうかんを迎むかえた際さいに再さい投資とうししない方法ほうほうをとる[8][9]。
  • 2022年ねん6月がつ15日にちに利上りあげを行おこない、誘導ゆうどう目標もくひょうを1.50～1.75%に上あげた。一いち度どに0.75%上あげるのは1994年ねん11月がつ以来いらい。2022年ねん5月がつの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうの前年ぜんねん比ひ上昇じょうしょう率りつが8.6%と1981年ねん以来いらいの高たかい伸のびだったため、一気いっきに利上りあげを行おこなった[10][11]。
  • 2022年ねん7月がつ27日にちに利上りあげを行おこない、誘導ゆうどう目標もくひょうを2.25～2.50%に上あげた。再ふたたび0.75%上あげた。2022年ねん6月がつの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうの前年ぜんねん比ひ上昇じょうしょう率りつは9.1%だった。FRB議長ぎちょうは「米国べいこくが景気けいき後退こうたい下かにあるとは考かんがえていない」と記者きしゃ会見かいけんで述のべたが、翌日よくじつ発表はっぴょうした実質じっしつGDP成長せいちょう率りつは年率ねんりつ-0.9%で、2四半期しはんき連続れんぞくマイナスだったため、テクニカル・リセッション（景気けいき後退こうたい）となった。ただし、実際じっさいに景気けいき後退こうたいかどうかを判定はんていするのは米国べいこくでは全米ぜんべい経済けいざい研究所けんきゅうじょである[12][13][14]。
  • 2022年ねん9月がつ21日にちに利上りあげを行おこない、誘導ゆうどう目標もくひょうを3.00～3.25%に上あげた。3回かい連続れんぞく0.75%上あげた。2022年ねん8月がつの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうの前年ぜんねん比ひ上昇じょうしょう率りつは8.3%だった。[15]
  • 2022年ねん11月2日にちに利上りあげを行おこない、誘導ゆうどう目標もくひょうを3.75～4.00%に上あげた。4回かい連続れんぞく0.75%上あげた。2022年ねん9月がつのエネルギーと食品しょくひんを除のぞいたコア消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうの前年ぜんねん比ひ上昇じょうしょう率りつは6.6%で1982年ねん8月がつ以来いらいの高たかさだった。[16][17]

チャート[編集へんしゅう]

「en:History of Federal Open Market Committee actions」も参照さんしょう
実効じっこうフェデラル・ファンド金利きんりの1954年ねんからのチャート[3]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参照さんしょう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b フェデラル・ファンド（FF）市場いちばおよびFFレート（FF金利きんり）入門にゅうもん－金融きんゆう危機きき以降いこうのFF市場いちばおよび「最後さいごの貸かし手て」機能きのうの変遷へんせんについて－ : 財務省ざいむしょう
  2. ^ Effective Federal Funds Rate - FEDERAL RESERVE BANK of NEW YORK
  3. ^ a b Federal Funds Effective Rate | FRED | St. Louis Fed
  4. ^ “FRBが0.5%緊急きんきゅう利下りさげ　市場いちば安定あんていへ追加ついか緩和かんわの余地よち”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2020年ねん3月がつ4日にち). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56358590U0A300C2MM8000/ 
  5. ^ “FRBが1%緊急きんきゅう利下りさげ　ゼロ金利きんりに、量的りょうてき緩和かんわも再開さいかい”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2020年ねん3月がつ16日にち). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56817950W0A310C2000000/ 
  6. ^ “再送さいそうＦＲＢが利上りあげ転換てんかん、3年ねんぶり0.25％　インフレ抑制よくせいへ積極せっきょく姿勢しせい”. ロイター. (2022年ねん3月がつ17日にち). https://jp.reuters.com/article/us-fed-fomc-idJPKCN2LD29K 
  7. ^ “FRB議長ぎちょう、インフレ「一時いちじ的てき」を撤回てっかい　緩和かんわ縮小しゅくしょう終了しゅうりょう急いそぐ”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2021年ねん12月1日にち). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0114C0R01C21A2000000/ 
  8. ^ “ＦＲＢが0.50％利上りあげ、資産しさん圧縮あっしゅく6月がつ開始かいし　インフレ抑制よくせい急いそぐ”. ロイター. (2022年ねん5月がつ5日にち). https://jp.reuters.com/article/usa-fed-idJPKCN2MQ1MI 
  9. ^ “FRB、22年ねんぶり0.5%利上りあげ　「量的りょうてき引ひき締しめ」も決定けってい”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2022年ねん5月がつ5日にち). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN033UA0T00C22A5000000/ 
  10. ^ “コラム：ＦＲＢの「柔軟じゅうなんな物価ぶっか目標もくひょう」、わずか2年ねんで自みずから幕まく引びき”. ロイター. (2022年ねん6月がつ16日にち). https://jp.reuters.com/article/breakingviews-frb-idJPKBN2NW24U 
  11. ^ “FRB、0.75%利上りあげ決定けってい　インフレ抑制よくせいへ27年ねんぶり上あげ幅はば”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2022年ねん6月がつ16日にち). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1500D0V10C22A6000000/ 
  12. ^ “FRB、0.75%利上りあげを連続れんぞく実施じっし　インフレ抑制よくせいを優先ゆうせん”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2022年ねん7月がつ28日にち). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN27E4D0X20C22A7000000/ 
  13. ^ “FRB議長ぎちょう「米国べいこくは景気けいき後退こうたい下かにはない」　会見かいけん要旨ようし”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2022年ねん7月がつ28日にち). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN27EM40X20C22A7000000/ 
  14. ^ “米べい、2四半期しはんき連続れんぞくマイナス成長せいちょう　4～6月がつのGDP0.9%減げん”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2022年ねん7月がつ28日にち). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN274R50X20C22A7000000/ 
  15. ^ FRB、3回かい連続れんぞくの0.75%利上りあげ　年末ねんまつ4.4%で景気けいきに試練しれん: 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん
  16. ^ FRB、0.75%利上りあげ　減速げんそく示唆しさも到達とうたつ水準すいじゅんは「より高たかく」: 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん
  17. ^ 米べい物価ぶっか、9月8.2%上昇じょうしょう　エネ・食品しょくひん除のぞくと40年ねんぶり水準すいじゅん: 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん
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