出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユノカル対 たい メサ・ペトロリアム事件 じけん 裁判所 さいばんしょ デラウェア州 しゅう 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ 正式 せいしき 名 めい Unocal Corporation, a Delaware corporation v. Mesa Petroleum Co., a Delaware corporation, Mesa Asset Co., a Delaware corporation, Mesa Eastern, Inc., a Delaware corporation, and Mesa Partners II, a Texas partnership 判決 はんけつ 1985年 ねん 5月 がつ 17日 にち (口頭 こうとう 判決 はんけつ ) 1985年 ねん 6月 がつ 10日 とおか (書面 しょめん での判決 はんけつ ) 引用 いんよう 493 A.2d 946 (Del. 1985)裁判所 さいばんしょ の面々 めんめん 裁判官 さいばんかん John J. McNeilly, Jr. , Andrew G.T. Moore II , Justices, and Taylor, Judge
ユノカル対 たい メサ・ペトロリアム事件 じけん (Unocal v. Mesa Petroleum Co., 493 A.2d 946 (Del. 1985))は、デラウェア州 しゅう 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ の、公開 こうかい 買付 かいつ けに対 たい する買収 ばいしゅう 防衛 ぼうえい 策 さく に関 かん する画期的 かっきてき な決定 けってい である。
デラウェア州 しゅう 裁判所 さいばんしょ は、1985年 ねん のユノカル事件 じけん 判決 はんけつ まで、適切 てきせつ な場合 ばあい には、買収 ばいしゅう 防衛 ぼうえい 、合併 がっぺい 、売却 ばいきゃく にも経営 けいえい 判断 はんだん の原則 げんそく を適用 てきよう していた[ 1] 。
ユノカル事件 じけん では、裁判所 さいばんしょ は、取締役 とりしまりやく 会 かい は、企業 きぎょう 方針 ほうしん に対 たい する脅威 きょうい があり、かつ、採用 さいよう された防衛 ぼうえい 策 さく が脅威 きょうい の性質 せいしつ に比例 ひれい しかつ合理 ごうり 的 てき であることを示 しめ すことができた場合 ばあい に限 かぎ り、買収 ばいしゅう を阻止 そし しようと試 こころ みることができると判断 はんだん した。
この要件 ようけん は、取締役 とりしまりやく 会 かい のユノカル基準 きじゅん (後 あと でユニトリン・インク対 たい アメリカコーポレーション事件 じけん で修正 しゅうせい され、「強圧 きょうあつ 的 てき 」又 また は「排除 はいじょ 的 てき 」な防衛 ぼうえい 策 さく は認 みと められないとされた)として知 し られることとなった。
メサ・ペトロリアム(メサ社 しゃ )は、ユノカル・コーポレーション(ユノカル社 しゃ )に対 たい し、取引 とりひき の1段階 だんかい 目 め の対価 たいか が現金 げんきん 54ドル、2段階 だんかい 目 め の対価 たいか が54ドル相当 そうとう のジャンク債 さい である、1段階 だんかい 目 め に比重 ひじゅう を置 お いた2段階 だんかい での敵対 てきたい 的 てき 買収 ばいしゅう を行 おこな った。ほとんどの株主 かぶぬし は債券 さいけん の代 か わりに現金 げんきん を受 う け取 と ることを好 この むため、株主 かぶぬし はたとえ54ドルが公正 こうせい な価格 かかく だと考 かんが えなかったとしても、買収 ばいしゅう に応募 おうぼ すると見込 みこ まれていた。 株主 かぶぬし が応募 おうぼ を拒否 きょひ した場合 ばあい 、当該 とうがい 株主 かぶぬし は、現金 げんきん の代 か わりに、54ドル相当 そうとう のハイリスクな債券 さいけん でキャッシュアウトされる危険 きけん 性 せい があるためである。
メサ社 しゃ の株式 かぶしき 公開 こうかい 買付 かいつ けに対応 たいおう し、ユノカル社 しゃ はメサ社 しゃ が保有 ほゆう する株式 かぶしき 以外 いがい の全 ぜん 株式 かぶしき に対 たい して、72ドルで自己 じこ 株式 かぶしき の公開 こうかい 買付 かいつ けを行 おこな った。ユノカル社 しゃ の取締役 とりしまりやく 会 かい は、メサ社 しゃ による公開 こうかい 買付 かいつ けに対抗 たいこう するため、この自己 じこ 株式 かぶしき 公開 こうかい 買付 かいつ けを開始 かいし しようとした[ 2] 。この自己 じこ 株式 かぶしき 公開 こうかい 買付 かいつ けは、メサ社 しゃ が6,400万 まん 株 かぶ のユノカル社 しゃ 株式 かぶしき を取得 しゅとく したときに発動 はつどう することとされており、これはユノカル社 しゃ が自社 じしゃ の発行済 はっこうずみ 株式 かぶしき の49%を買 か い戻 もど す(ただし、メサ社 しゃ が保有 ほゆう する株式 かぶしき は買 か い戻 もど しの対象 たいしょう に含 ふく まれない)ことを意味 いみ していた[ 3] 。
第 だい 一 いち 審 しん は、このような選択 せんたく 的 てき な公開 こうかい 買付 かいつ けは法的 ほうてき に認 みと められていないと判断 はんだん し、自己 じこ 株式 かぶしき の公開 こうかい 買付 かいつ けという防衛 ぼうえい 策 さく の使用 しよう に対 たい して、予備 よび 的 てき 差止 さしどめ 命令 めいれい を発 はっ した。
デラウェア州 しゅう 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ は第 だい 一 いち 審 しん の判断 はんだん を破棄 はき した[ 4] 。
最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ は、ユノカル社 しゃ の取締役 とりしまりやく 会 かい が、企業 きぎょう 方針 ほうしん や効率 こうりつ 性 せい への危険 きけん が存在 そんざい し、その脅威 きょうい との関連 かんれん で当該 とうがい 対応 たいおう が合理 ごうり 的 てき であると信 しん じる合理 ごうり 的 てき な根拠 こんきょ を有 ゆう していると判断 はんだん した。この合理 ごうり 的 てき な関係 かんけい の分析 ぶんせき においては、買付 かいつ けの価格 かかく 、性質 せいしつ 及 およ び時期 じき のみならず、株主 かぶぬし 、債権 さいけん 者 しゃ 、顧客 こきゃく 、従業 じゅうぎょう 員 いん 及 およ びコミュニティへの影響 えいきょう についても分析 ぶんせき することが認 みと められた。ただし、株主 かぶぬし 以外 いがい の他 ほか の関係 かんけい 者 しゃ の考慮 こうりょ が認 みと められる範囲 はんい は、レブロン対 たい マックアンドリュース事件 じけん で縮小 しゅくしょう されたことに留意 りゅうい する必要 ひつよう がある。
Cheff v. Mathes事件 じけん においては、グリーンメール、すなわち買収 ばいしゅう 者 しゃ を退 しりぞ けるために買収 ばいしゅう 者 しゃ に対 たい し支払 しはら いを行 おこな うことを裁判所 さいばんしょ は認 みと めたが、本件 ほんけん では裁判所 さいばんしょ はリバース・グリーンメール、すなわち買収 ばいしゅう 者 しゃ を退 しりぞ けるために他 た の株主 かぶぬし に対 たい し支払 しはら いを行 おこな うことを認 みと めたことにつき留意 りゅうい する必要 ひつよう がある。
この意見 いけん の重要 じゅうよう 性 せい は、裁判所 さいばんしょ が、買収 ばいしゅう 防衛 ぼうえい 策 さく はその固有 こゆう の利益 りえき 相反 あいはん のため、株主 かぶぬし に重大 じゅうだい な危険 きけん をもたらすという前提 ぜんてい を置 お いているところにある[ 5] 。裁判所 さいばんしょ は、企業 きぎょう 方針 ほうしん 又 また は取締役 とりしまりやく 会 かい の会社 かいしゃ に対 たい する支配 しはい への脅威 きょうい を防止 ぼうし するために、容認 ようにん される範囲 はんい を超 こ えて、買収 ばいしゅう 防衛 ぼうえい 策 さく を使用 しよう する可能 かのう 性 せい があると懸念 けねん した[ 6] 。その結果 けっか 、取締役 とりしまりやく 会 かい のこの種 たね の意思 いし 決定 けってい が、企業 きぎょう および株主 かぶぬし の利益 りえき を促進 そくしん することのみを目的 もくてき としていることを確実 かくじつ にするため、取締役 とりしまりやく 会 かい に「強化 きょうか された義務 ぎむ 」を課 か す必要 ひつよう が生 しょう じた[ 7] 。そのため、裁判所 さいばんしょ は、取締役 とりしまりやく 会 かい に経営 けいえい 判断 はんだん の原則 げんそく による保護 ほご が及 およ ぶためには、取締役 とりしまりやく 会 かい が企業 きぎょう 方針 ほうしん 及 およ び効率 こうりつ 性 せい に対 たい する脅威 きょうい に対応 たいおう していること、またその行動 こうどう が「発生 はっせい した脅威 きょうい に関 かん して合理 ごうり 的 てき であること」が取締役 とりしまりやく 会 かい により証明 しょうめい される必要 ひつよう があると判断 はんだん した[ 8] 。
^ Ross W. Wooten, Comment, Restructurings During a Hostile Takeover: Directors' Discretion or Shareholders' Choice?, 35 Hous.
^ 判決 はんけつ 文 ぶん を参照 さんしょう 。
^ 判決 はんけつ 文 ぶん 951頁 ぺーじ (ユノカル社 しゃ の取締役 とりしまりやく 会 かい 決議 けつぎ の内容 ないよう についての議論 ぎろん と、自己 じこ 株式 かぶしき 公開 こうかい 買付 かいつ けについてはユノカル社 しゃ 経営 けいえい 陣 じん が必要 ひつよう と信 しん じる追加 ついか 的 てき な条件 じょうけん が付 ふ されうることを示唆 しさ している)を参照 さんしょう 。
^ 判決 はんけつ 文 ぶん 958-59頁 ぺーじ (メサ社 しゃ の公開 こうかい 買付 かいつ けに反対 はんたい するというユノカル社 しゃ 取締役 とりしまりやく の決定 けってい は、誠実 せいじつ にまた合理 ごうり 的 てき な調査 ちょうさ に基 もと づき行 おこな われたと判断 はんだん )を参照 さんしょう 。
^ 判決 はんけつ 文 ぶん 954-55頁 ぺーじ (買収 ばいしゅう 防衛 ぼうえい の局面 きょくめん においては、「取締役 とりしまりやく 会 かい が自分 じぶん たち自身 じしん の利益 りえき を守 まも るために行動 こうどう しているのではないかという懸念 けねん の偏在 へんざい のため」、経営 けいえい 判断 はんだん の原則 げんそく により取締役 とりしまりやく 会 かい を保護 ほご するに先立 さきだ ち、裁判所 さいばんしょ は強化 きょうか された義務 ぎむ について判断 はんだん を行 おこな う必要 ひつよう があると説明 せつめい している)を参照 さんしょう 。
^ 判決 はんけつ 文 ぶん 955頁 ぺーじ (Bennett事件 じけん を引用 いんよう し、「会社 かいしゃ の支配 しはい 権 けん に関 かん する脅威 きょうい が存在 そんざい する場面 ばめん において、その脅威 きょうい を取 と り除 のぞ くため、会社 かいしゃ の資金 しきん を用 もち いて株式 かぶしき の買付 かいつ けを行 おこな うことには内在 ないざい 的 てき な危険 きけん が存在 そんざい することを念頭 ねんとう に置 お く必要 ひつよう がある」と述 の べている部分 ぶぶん )を参照 さんしょう 。
^ 判決 はんけつ 文 ぶん 954頁 ぺーじ を参照 さんしょう 。
^ 判決 はんけつ 文 ぶん 955頁 ぺーじ を参照 さんしょう 。
^ “Judgments - Criterion Properties plc (Appellants) v. Stratford UK Properties LLC (Respondents) and others ”. United Kingdom House of Lords Decisions. 22 December 2015 閲覧 えつらん 。