ラップ・レイジ

プラスチックの包装ほうそうに苛立いらだつ女性じょせい

ラップ・レイジ(wrap rage ）とはヒートシール加工かこうしたプラスチックのブリスター包装ほうそうやクラムシェル包装ほうそうなどのパッケージをうまく開封かいふうできないときに感かんじる激はげしい怒いかりやフラストレーションのことで、2000年代ねんだいに登場とうじょうした比較的ひかくてき新あたらしい言葉ことばである。消費しょうひ者しゃは商品しょうひんを開封かいふうするときの道具どうぐあるいはパッケージそのもので指ゆびを切きったり手首てくびをひねったりして年間ねんかんに何なん千せん回かいもの怪我けがをしているため、要望ようぼうに応おうじて開あけやすい仕組しくみを導入どうにゅうすることはエンドユーザーにとっての利便りべん性せいの向上こうじょうにつながる。

背景はいけい

包装ほうそうというのは、種類しゅるいによっては開封かいふうすることが難むずかしい仕様しようにしなければならないものもある。例たとえば一部いちぶの市販しはん薬やくは、想定そうていされている人ひとが利用りようするまえに他たの人ひとが無む許可きょかで開あけたりしないように、もしくは子供こどもが開あけてしまわぬように、不正ふせい開封かいふうを防止ぼうしする仕組しくみをそなえることを定さだめた法規ほうきがある。そうではない包装ほうそうにも、例たとえば外側そとがわには手てをつけず中身なかみだけを盗ぬすまれたり万引まんびきされることを減へらすために開封かいふうしにくくしているものがある。

硬かたい樹脂じゅしのブリスター包装ほうそうは出荷しゅっか時じに製品せいひんを保護ほごしてもいる。また透明とうめいプラスチック（透明とうめいビニール）を使つかっているのも消費しょうひ者しゃが購入こうにゅうする前まえに直接ちょくせつ商品しょうひんを目めでみることができるからである。

「ラップ・レイジ」という言葉ことば自体じたいはこの現象げんしょうに注目ちゅうもくしたマスコミによる造語ぞうごである。「パッケージ・レイジ」という言葉ことばもあり、1998年ねんには使つかわれ始はじめているが、英えい英えい辞典じてんの『ワード・スパイ』は「ラップ・レイジ」の初出しょしゅつを2003年ねんのデイリー・テレグラフ紙かみに求もとめている。アメリカ方言ほうげん学会がっかいはこの言葉ことばを2007年ねんの最もっとも「便利べんりな」言葉ことばの1つにノミネートしている。

フラストレーションと怪我けが

2006年ねん、コンシューマー・レポート誌しは、開あけにくい包装ほうそうにしている製品せいひんに贈おくる<オイスター賞しょう>を創設そうせつした際さいにこのラップ・レイジを現象げんしょうとして認識にんしきした。ピッツバーグ・ポストガゼット紙しに掲載けいさいされたラップ･レイジに関かんする記事きじはアメリカのテレビ番組ばんぐみ「ザ・コルベア・レポー」に注目ちゅうもくしたもので、司会しかいのスティーヴン・コルベアが新あたらしい電卓でんたくをプラスチックの包装ほうそうからナイフを使つかって取とりだそうとして失敗しっぱいしたときの回かいを扱あつかっている。

ユアーズ誌しが行おこなった50歳さい以上いじょうの人間にんげんを対象たいしょうにした調査ちょうさでは、2000人にんの回答かいとう者しゃのうち実じつに99%がこの10年間ねんかんでパッケージが開封かいふうしにくくなったと感かんじていることがわかった。97%は「あまりに過剰かじょうな包装ほうそう」が存在そんざいすると答こたえており、60%が「包装ほうそうを解ときやすい商品しょうひんのほうを買かった」と答こたえている。コックス・スクール・オブ・ビジネスの調査ちょうさでは80%弱じゃくの世帯せたいでプラスチックの包装ほうそうに「怒いかりやフラストレーションを感かんじたり激怒げきどしたことがある」。消費しょうひ者しゃはそのような商品しょうひんを表現ひょうげんするときに「嫌きらい」や「面倒めんどう」といった言葉ことばを使つかう傾向けいこうにある。

また消費しょうひ者しゃは包装ほうそうを解とこうとしてカミソリ、カッターナイフ、はさみ、アイスピックなどの場合ばあいによっては危険きけんな道具どうぐを使つかうことがある。ユアーズ誌しの調査ちょうさでは、回答かいとう者しゃの71%が食品しょくひんのパッケージを開封かいふうしようとして怪我けがをしたことがあった。怪我けがの内訳うちわけとしては指ゆびを切きったというのが最もっとも多おおい回答かいとうで、以下いかは「手てを切きった、手首てくびをひねった、手てにあざができた、肩かたの筋肉きんにくを痛いためた」が続つづく。イギリスの研究けんきゅうによれば、毎年まいとし6万まん人にん以上いじょうが食品しょくひんのパッケージを開封かいふうしたときに病院びょういんで治療ちりょうを受うけるほどの怪我けがをしている。アメリカの消費しょうひ者しゃ製品せいひん安全あんぜん委員いいん会かいは、2004年ねんにそういった怪我けがの治療ちりょうに救急きゅうきゅう救命きゅうめい室しつが利用りようされた回数かいすうを6,500回かい程度ていどとする推計すいけいを発表はっぴょうしている。2009年ねんに行おこなわれた研究けんきゅう調査ちょうさでは成人せいじん（21歳さい以上いじょう）の17%が少すくなくとも一いち度どはクリスマスプレゼントか誕生たんじょう日びプレゼントの包装ほうそうを解といているときに怪我けがをしたことがあるか、したことがある人間にんげんを知しっている。

解決かいけつ法ほう

タブをつけるという新しん機軸きじくを導入どうにゅうした包装ほうそうは標準ひょうじゅん的てきなクラムシェル型がたでは開あけにくいという消費しょうひ者しゃの声こえにある程度ていどは配慮はいりょしたものといえる

包装ほうそう側がわ

包装ほうそうをする側がわと販売はんばい者しゃがその気きになれば、包装ほうそうされた中身なかみにたどりつくことを容易よういにする解決かいけつ法ほうは無数むすうにありえる。しかし簡単かんたんに手てが届とどくということは持もち出だしや盗難とうなんが増ふえるということでもある。

消費しょうひ者しゃが製品せいひんを開封かいふうするときのフラストレーションを減へらせるように包装ほうそうを解ときやすいようにする会社かいしゃもある。だが一方いっぽうで不正ふせい開封かいふう防止ぼうし装置そうちをつけざるをえない製品せいひんを扱あつかっている会社かいしゃもある。パッケージングを改善かいぜんするための努力どりょくを促うながしているのは消費しょうひ者しゃや販売はんばい者しゃからの要請ようせいでもあり、また年齢ねんれいを重かさねるごとに開封かいふうする方法ほうほうを発見はっけんすることが難むずかしくなっていくと感かんじている高齢こうれい者しゃからの要請ようせいでもある。

開あけやすいように包装ほうそうを簡便かんべんにする方法ほうほうはいくつかあり、それぞれに歴史れきしがある。例たとえば切きり取とり点線てんせんをつけたり開封かいふう帯たいで代用だいようする、破やぶって開あけるような部材ぶざいを使用しようするなどの手段しゅだんが挙あげられる。そういった工夫くふうの中なかには包装ほうそう費用ひようを押おし上あげるものもある。

消費しょうひ者しゃ側がわ

金かね切ぎり鋏やっとこ

面倒めんどうな包装ほうそうを解とくためには、家庭かてい用ようのハサミや万能ばんのうナイフが使つかわれることがある。なかでも金かね切ぎり鋏やっとこは丈夫じょうぶなプラスチック包装ほうそうを解とくのに向むいている。梃子てこの原理げんりのおかげで、手てにほとんど力りょくを入いれずにパッケージに切きれ目めを入いれることができるのである。また、（米国べいこくの家庭かていによくあるような）缶切かんきりでも開あけることができる。

関連かんれん項目こうもく

• ロード・レージ
• コンピュータ・レイジ

外部がいぶリンク

• Packaging Problems Table