リキャップ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
注射ちゅうしゃはり

医療いりょうにおけるリキャップ英語えいご: recap)とは、注射ちゅうしゃからいちはずしたキャップ(ぶた)を、使用しようはりさきふたた装着そうちゃくすることである。医療いりょう従事じゅうじしゃがリキャップをするさいに、あやまって自分じぶん使用しようみの注射ちゅうしゃはりして感染かんせんしょう感染かんせんする、いわゆる針刺はりさ事故じこきやすいことから、リキャップ針刺はりさ事故じこ低減ていげんするためのみがおこなわれている[1]

概要がいよう[編集へんしゅう]

医療いりょう従事じゅうじしゃ労災ろうさい針刺はりさ事故じこ」による肝炎かんえんとう感染かんせん原因げんいんとなる使用しよう注射ちゅうしゃはり

エイズ治療ちりょう拠点きょてん病院びょういん対象たいしょうとした1996ねん-1998ねん調査ちょうさによると、針刺はりさ事故じこけい11,798けん病床びょうしょう100しょうあたり4けん発生はっせいしており、その発生はっせいじょうきょうはリキャップが26%ともっとおおく、なかでも採血さいけつのリキャップが最多さいたであった[1]

針刺はりさ事故じこによって患者かんじゃ使用しようしたのち注射ちゅうしゃはりさると、患者かんじゃ感染かんせんしょう感染かんせんしている場合ばあい血液けつえき感染かんせんこる可能かのうせいがある。日本にっぽんにおいても、針刺はりさ事故じこによるBがた肝炎かんえんウイルス(HBV)Cがた肝炎かんえんウイルス(HCV)への感染かんせんや、ヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルス(HIV)に感染かんせん後天こうてんせい免疫めんえき不全ふぜん症候群しょうこうぐん(AIDS)を発症はっしょうしたれい報告ほうこくされている(ただし、その原因げんいんがリキャップであるかかは特定とくていされていない)[2]

針刺はりさ事故じこによる感染かんせんりつはHBVでもっとたかく6〜30%、HCVで1.8%、HIVで0.3%と報告ほうこくされている[3]。HBVは、とくにHBe抗原こうげん陽性ようせい場合ばあいに22〜31%と感染かんせんりつたかく、HBe抗原こうげん陰性いんせい場合ばあい感染かんせんりつは1〜6%と報告ほうこくされている。

対策たいさく[編集へんしゅう]

使用しよう注射ちゅうしゃはりはフタをせず(リキャップせず)直接ちょくせつ専用せんようゴミ箱ごみばこ

リキャップ針刺はりさ事故じこ低減ていげんするために、以下いか対策たいさく推奨すいしょうされている[4][5][6]

  • リキャップは原則げんそくとしておこなわない。
  • 使用しよう注射ちゅうしゃはりは、すみやかに専用せんよう容器ようき廃棄はいきする。
  • はりてる容器ようきは、容量ようりょうの4ぶんの3程度ていどまではりまったら処分しょぶんする。
  • リキャップをおこな場合ばあいには、キャップを机上きじょういたり、キャップスタンドなどをもちいたりして、片手かたて注射ちゅうしゃはり把持はじしておこなう。一方いっぽう注射ちゅうしゃはりを、もう一方いっぽうにキャップをってリキャップすると、あやまってキャップがわ注射ちゅうしゃはり事故じここりやすいからである。
  • 安全あんぜん機材きざい使用しようする。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 針刺はりさ事故じこ防止ぼうしけて (PDF)戸塚とつか恭一きょういち、『感染かんせんしょうがく雑誌ざっしだい76かんだい10ごう
  2. ^ 針刺はりさ損傷そんしょう/日本にっぽん現状げんじょう Q&A 日本にっぽんベクトン・ディッキンソン
  3. ^ US Public Health Service. Updated U.S. Public Health Service guidelines for the management of occupational exposures to HBV, HCV, and HIV and recommendations for postexposure prophylaxis. MMWR 2001; 29: 50(No. RR-11)
  4. ^ 医療いりょう従事じゅうじしゃのための医療いりょう安全あんぜん対策たいさくマニュアル (Report). 日本にっぽん医師いしかい. 2007-11. p. 125. {{cite report}}: |date=日付ひづけ不正ふせいです。 (説明せつめい)
  5. ^ HIV/AIDS 検査けんさ治療ちりょう看護かんご だい2しょう 針刺はりさ事故じこ防止ぼうし暴露ばくろ対策たいさく 国立こくりつ国際こくさい医療いりょうセンター エイズ治療ちりょう研究けんきゅう開発かいはつセンター
  6. ^ 医療いりょう機関きかんとうにおけるエイズウイルス感染かんせん予防よぼうについて 文部もんぶ科学かがくしょう

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]