リコメル

フラウィウス・リコメル（ラテン語らてんご: Flavius Richomeres、? - 393年ねん）は、4世紀せいきのフランク人じんで、ロろーマ帝国まていこくの軍人ぐんじん。384年ねんの執政しっせい官かん。甥おいにアルボガストがいる。

生涯しょうがい

フラウィウス・リコメルは4世紀せいきのフランク人じん。父ちちはユリアヌスに仕つかえたテウトメールと推定すいていされる。もとはガリア地方ちほうの住人じゅうにんで、父ちちと同様どうように西にしロろーマ帝国まていこくに仕つかえていた。

377年ねん頃ころから、蛮族ばんぞくの蜂起ほうきに苦くるしむ東ひがしローマ皇帝こうていウァレンスを支援しえんするため西にしローマ皇帝こうていグラティアヌスによって東方とうほうへ派遣はけんされた。ウァレンスが378年ねんのハドリアノポリスの戦たたかいで戦死せんしした際さいには、リコメルが敗軍はいぐんをまとめ上あげてローマ軍ぐんの撤退てったいを指導しどうした。その後ごもリコメルはウァレンスの後任こうにんとして西にしの宮廷きゅうていより派遣はけんされてきたテオドシウス1世せいを支ささえて東方とうほうの混乱こんらん収拾しゅうしゅうに尽力じんりょくし、382年ねんにはフリティゲルンとの和平わへい交渉こうしょうを取とりまとめた。383年ねん頃ころにテオドシウスによって帝国ていこく東ひがし半はんのマギステル・ミリトゥムに任命にんめいされた。384年ねんには執政しっせい官かんも務つとめた。

383年ねんにブリタンニアのローマ軍団ぐんだんがマグヌス・マクシムスをローマ皇帝こうていと宣言せんげんしてグラティアヌスを殺害さつがいし、さらに388年ねんにグラティアヌスの共同きょうどう皇帝こうていウァレンティニアヌス2世せいをもイタリアから追放ついほうすると、リコメルはテオドシウスより再ふたたびマギステル・ミリトゥムに任命にんめいされ、甥おいのアルボガストらとともにテオドシウスの軍団ぐんだんを指揮しきしてマグヌス・マキシムスを討伐とうばつした。テオドシウスはウァレンティニアヌス2世せいを西にしの宮廷きゅうていに復帰ふっきさせると、アルボガストを帝国ていこく西にし半はんのマギステル・ミリトゥムに任にんじてウァレンティニアヌス2世せいの監視かんし役やくとした。リコメルは甥おいと別わかれて391年ねんに東ひがしロろーマ帝国まていこくへ戻もどり、以後いごは没ぼっする393年ねんまで帝国ていこく東ひがし半はんのマギステル・ミリトゥムの地位ちいにあった。

392年ねんにウァレンティニアヌス2世せいが没ぼっすると、西にしロろーマ帝国まていこくではアルボガストの友人ゆうじんエウゲニウスが皇帝こうていに選出せんしゅつされた。まもなくテオドシウスはエウゲニウスおよびアルボガストと敵対てきたいするようになり、393年ねんに西にしロろーマ帝国まていこくへの侵攻しんこうを開始かいしした。リコメルはテオドシウスに説得せっとくされて甥おいと戦たたかうことを決意けついし、テオドシウスとともに西方せいほうへ軍ぐんを進すすめたが、行軍こうぐん中ちゅうに突然とつぜん死しした。主人しゅじんを失うしなったリコメルの軍団ぐんだんはヴァンダル族ぞく出身しゅっしんの将軍しょうぐんスティリコの軍団ぐんだんに編入へんにゅうされた。

人間にんげん関係かんけい

偽にせフレデガリウス年代ねんだい記きによればフランク王おうテウドメールがリコメルと妻つま Ascyla の子ことされている。娘むすめの一人ひとりは西にしゴート族ぞくの王おうワリアの妻つまであったかもしれない。アルボガストはリコメルの甥おいである。また、フラウィウス・バウトの妻つまがリコメルの姉妹しまいであったとされる。

リコメルはリバニオス、アウグスティヌス、クィントゥス・アウレリウス・シュンマクスら教養きょうよう人じんとも幅広はばひろく親交しんこうがあった。後のちに西にしローマ皇帝こうていとなった修辞しゅうじ学者がくしゃエウゲニウスをアルボガストに引ひき合あわせたのもリコメルとされる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 佐藤さとう彰一しょういち 著しる、樺山かばやま紘一こういち 編へん『世界せかい歴史れきし大系たいけい　フランス史し　１』山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ、1995年ねん。ISBN 4634460904。 
• 松原まつばら國師こくし『西洋せいよう古典こてん学がく事典じてん』京都大学きょうとだいがく学術がくじゅつ出版しゅっぱん会かい、2010年ねん。ISBN 9784876989256。 

関連かんれん項目こうもく

• アルボガスト