レガトゥス

レガトゥス（ラテン語らてんご: legatus、レーガートゥス）は、ラテン語らてんごで使者ししゃ・使節しせつ、または軍隊ぐんたいの副官ふっかん・司令しれい官かんなどの高級こうきゅう将校しょうこう・幕僚ばくりょうを指さす単語たんごである。「総督そうとく代理だいり」などとも訳やくされる。

レガトゥスは、外交がいこうの使者ししゃとしてだけでなく、独自どくじに軍隊ぐんたいを動うごかすことがあったが、紀元前きげんぜん2世紀せいきから、ローマ軍団ぐんだんの補佐ほさとして任命にんめいされることが増ふえた。元老げんろう院いん議員ぎいんクラス、財務ざいむ官かん（クァエストル）や法務ほうむ官かん（プラエトル）クラスなどから元老げんろう院いんにより任命にんめいされることになっていた。階級かいきゅうとしては、ローマ帝政ていせい後期こうきのドゥクス（dux）よりも下位かいであり、トリブヌス（tribunus）よりも上位じょういであったとされている。

語義ごぎ

レーガートゥス（legatus）は、ラテン語らてんごで「派遣はけんする」を意味いみする動詞どうし「レーゴー」（lego）の完了かんりょう分詞ぶんしであり、「派遣はけんされる者しゃ」すなわち「使者ししゃ・使節しせつ」を意味いみする。また、「委任いにんする」という意味いみもあり、軍隊ぐんたいにおいては軍団ぐんだん（レギオー、legio）の指揮しき者しゃに任命にんめいされた「軍団ぐんだん長ちょう」や「総督そうとく代理だいり」などを意味いみする。『ガリア戦記せんき』（例たとえば、第だい1巻かん47節せつ）などの古典こてん作品さくひんには、両方りょうほうの意味いみで出でてくることがあるが、文脈ぶんみゃくによって解釈かいしゃくする必要ひつようがある。

帝政ていせい期き

元首げんしゅ政せいが始はじまると、軍団ぐんだん司令しれい官かん（レガトゥス・レギオニス）、元老げんろう院いん管轄かんかつ属ぞく州しゅう副官ふっかん（レガトゥス・プロコンスリス）、皇帝こうてい管轄かんかつ属ぞく州しゅう長官ちょうかん（レガトゥス・アウグスティ・プロ・プロエタレ・プロウィンキア）などに細分さいぶん化かされ、政務せいむ官かんの一ひとつとして制定せいていされた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 比佐ひさ篤あつし「<シンポジウム>ヘレニズム世界せかいの紛争ふんそうと共和きょうわ政せい期きローマの進出しんしゅつ」『関学かんがく西洋せいよう史し論集ろんしゅう』第だい36巻かん、関西学院大学かんせいがくいんだいがく、2013年ねん、13 - 21頁ぺーじ。 

関連かんれん項目こうもく

• 古代こだいローマの軍制ぐんせい
• トリブヌス（tribunus）