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らんりゅうモデル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

らんりゅうモデル(らんりゅうもでる、えい: Turbulence model)とは、計算けいさん流体りゅうたい力学りきがく(CFD)において、らんりゅう数値すうち解析かいせきするさいによくもちいられる数学すうがくモデルである。らんりゅう複雑ふくざつ性質せいしつつために、数値すうち計算けいさんには一般いっぱん膨大ぼうだい計算けいさん格子こうし必要ひつようとし適用てきよう困難こんなんである。これの対策たいさくとしてかんがえられたのが、らんりゅうモデルを導入どうにゅうする解析かいせき手法しゅほうである。これは、DNSのようにらんりゅうふくまれるすべてのおおきさのうず変動へんどう解析かいせきすることはやめ、ある程度ていどおおきなうず変動へんどう解析かいせき対象たいしょうとし、ちいさなうず変動へんどうおよぼす影響えいきょうについて、適当てきとう物理ぶつりモデルにより表現ひょうげんするというものである。らんりゅうモデルとは、この場合ばあい導入どうにゅうされる物理ぶつりモデルの総称そうしょうである。

概要がいよう

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らんりゅう程度ていどはかりたい場合ばあいに、必要ひつようなものはすべてのらんりゅう運動うんどうのデータではなく、おおまかなながれである場合ばあいおおい。実験じっけん理論りろんから、おおきなうずながじょう形状けいじょう影響えいきょうつよけるが、ちいさなうず影響えいきょうすくない。そのため、工学こうがくてき用途ようとかららんりゅう計算けいさんする場合ばあい平均へいきんてきながれにかかわるおおきなうず挙動きょどうもとめることが重要じゅうようである。このくべきながれを、あるしゅ平均へいきん操作そうさほどこすことによってみちびき、ながれとそれ以外いがいらんりゅううずとのあいだ関係かんけいあたえるらんりゅうモデルが必要ひつようになる。

種類しゅるい

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物理ぶつりがく解決かいけつ問題もんだい
らんりゅうとくにその内部ないぶ構造こうぞう)のいを記述きじゅつする理論りろんじょうのモデルを構築こうちくすることは可能かのうか?

らんりゅうふくながれの解析かいせき手法しゅほう以下いかのように分類ぶんるいされる[1]。リストのうしろのほうほど厳密げんみつあつかいだが、計算けいさん負荷ふか増大ぞうだいする。

相関そうかんしき

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摩擦まさつ係数けいすうをレイノルズすう関数かんすうとしてあたえたり、ねつ伝達でんたつりつ(ヌセルトすう)をレイノルズすうとプラントルすう関数かんすうとしてあたえるなどの方法ほうほう流体りゅうたい力学りきがく初歩しょほ段階だんかいおしえられ、大変たいへん有効ゆうこう手法しゅほうだが、単純たんじゅんながれにしか適用てきようできない。コンピュータをもちいた数値すうち解析かいせき必要ひつようはない。

積分せきぶん方程式ほうていしき

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運動うんどう方程式ほうていしきをある方向ほうこう積分せきぶんし、のこされた方向ほうこうへの常微分じょうびぶん方程式ほうていしき変換へんかんする方法ほうほう

1てん完結かんけつモデル

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RANSに代表だいひょうされる、時間じかん平均へいきん空間くうかん平均へいきんあるいはアンサンブル平均へいきんしてられる方程式ほうていしきもとづく方法ほうほう

らんりゅうながれを平均へいきん成分せいぶん変動へんどう成分せいぶんとしてあらわすが、それらははなすことができず、みだれの効果こうからんりゅう応力おうりょくというかたちながれの方程式ほうていしきあらわれる。らんりゅうモデルではこれを近似きんじすることが必要ひつようとなる。らんりゅうモデルをもちいる解析かいせき手法しゅほう対象たいしょうとするおおきなうず変動へんどう抽出ちゅうしゅつするにはなんらかの特別とくべつ操作そうさ必要ひつようとなるが、これにはおおきくけてふたつの方法ほうほうがあり、ひとつはレイノルズ(Reynolds)平均へいきんばれる時間じかんてきおよび空間くうかんてき平均へいきん操作そうさもとづくRANSとばれる方法ほうほうで、もうひとつは空間くうかんフィルタ操作そうさもとづくLESとばれる方法ほうほうである。

RANS(レイノルズ平均へいきんほどこした方程式ほうていしき

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定常ていじょうながれ(もしくは非常ひじょうにゆったりとした定常ていじょうながれ)だけをくには、らんりゅう運動うんどうすべてがモデル対象たいしょうとなり、(圧縮あっしゅくせい流体りゅうたいでは)連続れんぞくしきとナビエ-ストークス方程式ほうていしきたいしてレイノルズ平均へいきんほどこされる。このレイノルズ平均へいきんほどこされた方程式ほうていしきをRANS(Reynolds-Averaged Navier-Stokes equations, RANS)とぶ。

2てん相関そうかんモデル

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速度そくど成分せいぶんの2てん相関そうかんたいする方程式ほうていしき、あるいはそのフーリエ変換へんかんもちいる方法ほうほう一様いちようらんりゅう以外いがいにはほとんどもちいられない。

LES(ラージエディシミュレーション)

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らんりゅう比較的ひかくてきおおきな構造こうぞう直接ちょくせつ計算けいさん対象たいしょうとし、それよりこまかいみだれにたいしてモデルおこな計算けいさんラージエディシミュレーション英語えいごばん(Large-Eddy Simulation, LES)とぶ。LESの方程式ほうていしきには、ナビエ-ストークス方程式ほうていしき空間くうかんてき大小だいしょうのスケールで分離ぶんりするためにフィルターをかける。このことから、LESにおけるフィルターは格子こうし平均へいきんばれることもある。

直接ちょくせつ数値すうちシミュレーション (DNS)

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上記じょうきげたらんりゅうモデルをもちいずに、らんりゅうすべての運動うんどうたいしてナビエ-ストークス方程式ほうていしき方法ほうほうみだれりゅう直接ちょくせつ数値すうちシミュレーション(Direct Numerical Simulation, DNS)とぶ。必要ひつよう計算けいさん格子こうしかずはレイノルズすうとともに急速きゅうそく増大ぞうだいするため、幾何きか形状けいじょう単純たんじゅんていレイノルズすうながれにのみ適用てきよう可能かのうである。

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ Joel H. Ferziger; Milovan Perić ちょ小林こばやし敏雄としお谷口たにぐち伸行のぶゆき坪倉つぼくらまこと やく『コンピュータによる流体りゅうたい力学りきがく』シュプリンガー・フェアラーク東京とうきょう、2003ねん、258ぺーじISBN 4-431-70842-1 
  • 数値すうち流体りゅうたい力学りきがく編集へんしゅう委員いいんかい へん数値すうち流体りゅうたい力学りきがくシリーズ3 らんりゅう解析かいせき東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、1995ねん 
  • 梶島かじしま岳夫たけおらんりゅう数値すうちシミュレーション』よう賢堂かしこどう、1999ねん 
  • 村上むらかみ周三しゅうぞう東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、2000ねん 
  • 社団しゃだん法人ほうじん 土木どぼく学会がっかい 応用おうよう力学りきがく委員いいんかい へん『いまさらけない計算けいさん力学りきがく常識じょうしき丸善まるぜん、2008ねん