乳腺にゅうせん炎えん

乳腺にゅうせん炎えん（にゅうせんえん、英えい: mastitis）とは、乳腺にゅうせん実質じっしつ（霊長れいちょう類るいの胸部きょうぶ、他たの哺乳類ほにゅうるいの乳房ちぶさ(Udder)）の炎症えんしょう。乳房ちぶさ炎えん（にゅうぼうえん）とも。

泌乳動物どうぶつでは産褥さんじょく性せい乳腺にゅうせん炎えん、それ以外いがいの動物どうぶつでは非ひ産褥さんじょく性せい乳腺にゅうせん炎えんと呼よばれる。乳腺にゅうせん炎えんは雄ゆうでも発生はっせいするが極きわめて稀まれである。炎症えんしょう性せい乳癌にゅうがんと乳腺にゅうせん炎えんの症状しょうじょうは非常ひじょうに似にており鑑別かんべつが必要ひつようである。

乳腺にゅうせん内うちは微生物びせいぶつにとっても栄養えいよう豊富ほうふな環境かんきょうである。乳ちち中ちゅうには抗菌こうきん物質ぶっしつリゾチーム、ラクトフェリン、乳糖にゅうとうなどが存在そんざいするが万能ばんのうではない。乳ちち中ちゅうに過酸化水素かさんかすいそ分解ぶんかい酵素こうそが存在そんざいし、微量びりょうでも過酸化水素かさんかすいそが存在そんざいするとチオシアン酸さんが生成せいせいし、微量びりょうでも殺菌さっきん作用さようを示しめすが乳腺にゅうせん細胞さいぼうに害がいを与あたえない。

分類ぶんるい

急性きゅうせい乳腺にゅうせん炎えん

母乳ぼにゅうが詰つまり、乳頭にゅうとうから細菌さいきん感染かんせんが起おこることが原因げんいんで発生はっせいする。授乳期じゅにゅうきに主おもに見みられる疾患しっかんである。主おもな症状しょうじょうは、乳房ちぶさの張はれや痛いたみ、しこり、高熱こうねつなど。症状しょうじょうが初期しょきの段階だんかいでは抗生こうせい剤ざいを服用ふくようするが、症状しょうじょうが進すすんだ状態じょうたいでは、皮膚ひふを切開せっかいして膿うみのたまりまで管かんを入いれて膿うみを排出はいしゅつさせる必要ひつようがある。予防よぼうとして考かんがえられるのは、乳房ちぶさマッサージや赤あかちゃんに母乳ぼにゅうを飲のんでもらうこと。

慢性まんせい乳腺にゅうせん炎えん

主おもな症状しょうじょうはしこりや硬かた結むすぶ、皮膚ひふの発赤はっせき、びらん（ただれること）。原因げんいんが不明ふめいな場合ばあいも多おおく、症状しょうじょうや画像がぞう所見しょけんで乳癌にゅうがんとの区別くべつが難むずかしい場合ばあいは、細胞さいぼうを採とって確認かくにんする。

外部がいぶリンク

• 『乳腺にゅうせん炎えん』 - コトバンク