伝馬てんま町まち

伝馬てんま町まち（てんまちょう）とは、江戸えど時代じだいの城下町じょうかまちに置おかれた町まち。伝馬てんま役やくと呼よばれる領主りょうしゅ（幕府ばくふ・藩はん）のための伝馬てんまおよびそれに関連かんれんした夫役ぶやくを負担ふたんしていた。

今日きょうでも「伝馬てんま町まち」と称しょうされる地名ちめいが日本にっぽん各地かくちに残のこされている。

概要がいよう

江戸えど時代じだいは領主りょうしゅの通信つうしん・交通こうつう・輸送ゆそうのために伝馬てんまの制度せいどを整備せいびし、本拠ほんきょである城下町じょうかまちはその重要じゅうよう拠点きょてんとなった。伝馬てんま町まちはその城しろの大手門おおてもんからほど近ちかい場所ばしょに置おかれるのが例れいであった。

江戸えど幕府ばくふの本拠地ほんきょちであった江戸えどの場合ばあい、江戸城えどじょうの大手おおて門もんにほど近ちかい日本橋にほんばしを中心ちゅうしんに五ご街道かいどうが整備せいびされ、日本橋にほんばしの周辺しゅうへんに五ご街道かいどう向むけの伝馬てんまを担になう大だい伝馬てんま町まち・南みなみ伝馬てんま町まちと江戸えど内部ないぶの伝馬てんまを担になう小伝馬こでんま町まちが設もうけられた（南みなみ伝馬てんま町まちは現在げんざいは京橋きょうばしの一部いちぶとなっているが、大だい伝馬てんま町まちと小伝馬こでんま町まちは現在げんざいも日本橋大伝馬にほんばしおおでんま町まち・日本橋にほんばし小伝馬こでんま町まちとして地名ちめいが残のこる）。

時代じだいとともに、伝馬てんま町まちの住人じゅうにんで実際じっさいに伝馬てんまに関かかわるのは伝馬てんま役所やくしょが置おかれた町名ちょうめい主ぬしの家いえなどに限定げんていされ、多おおくの地主じぬしや家持いえもちは金銭きんせんなどの形かたちで伝馬てんま役やくを負担ふたんした。伝馬てんま町まちは伝馬てんま役やくの負担ふたんによって城下町じょうかまちの他ほかの地域ちいきよりも過重かじゅうな負担ふたんを強しいられたが、反面はんめんにおいて交通こうつう網もうの整備せいびに伴ともなって商店しょうてんや問屋とんやなどが進出しんしゅつして商業しょうぎょう地域ちいきとして発展はってんする場合ばあいもあった。また、地域ちいきによっては特定とくてい商品しょうひんの専売せんばい権けんを与あたえられることで負担ふたんに対たいする見返みかえりが享受きょうじゅされる場合ばあいもあった。

参考さんこう文献ぶんけん

• 松崎まつざき欣一きんいち「伝馬てんま町まち」（『日本にっぽん史し大だい事典じてん 4』、平凡社へいぼんしゃ、1993年ねん、 ISBN 4582131042）