伸展しんてんノズル

XLR129実証じっしょうエンジンの伸展しんてんノズル

伸展しんてんノズル（しんてんノズル）とは、ノズルスカートに伸展しんてん機構きこうを備そなえたロケットエンジンノズルである。

概要がいよう

上昇じょうしょうに伴ともない変化へんかする気圧きあつに応おうじて適切てきせつな膨張ぼうちょう比ひになるようしたり、段だん間あいだ部ぶの全長ぜんちょうを抑おさえる目的もくてきで備そなえられる。

プラグノズルやエアロスパイクエンジンでは高度こうどの上昇じょうしょうに応おうじて膨張ぼうちょう比ひが適切てきせつに変化へんかするが、従来じゅうらいのラバール・ノズルでは膨張ぼうちょう比ひが固定こていされているので変かえる事ことができない。そのため、ノズル下部かぶに伸展しんてん機構きこうを備そなえて膨張ぼうちょう比ひを高たかめる。液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジンの伸展しんてんノズルでは構造こうぞう上じょう、複雑ふくざつな再生さいせい冷却れいきゃく機構きこうは困難こんなんなため、フィルム冷却れいきゃくかアブレーション冷却れいきゃくが採用さいようされる。

直径ちょっけいが大おおきくなる伸展しんてんノズル

シードラゴンの計画けいかくでは、縦たてに伸のびるのではなくノズル出口でぐちの直径ちょっけいが大おおきくなる伸展しんてんノズルが考案こうあん、試作しさくされた。

1段だん目め飛行ひこう中ちゅうの際さいはロケット外壁がいへきに沿そって円柱えんちゅう状じょうに格納かくのうされていて、2段だん目めの飛行ひこう時じに傘かさのように円錐えんすい台だいへ展開てんかいされる。

これによりノズル出口でぐち直径ちょっけいがロケット本体ほんたいの直径ちょっけいよりも大おおきくなり、1段だん目め飛行ひこう中ちゅうは空気くうき抵抗ていこうを抑おさえつつ、2段だん目め飛行ひこう中ちゅうに高たかいノズル開口かいこう比ひ、比ひ推力すいりょくを実現じつげんさせた。

格納かくのう時じノズルの内側うちがわに1段だん目先めさき端はし部ぶを収おさめることでロケットの全ぜん高こうも短縮たんしゅくされている。

主おもな搭載とうさい機き

• M-3SIIロケット - 4号機ごうきのキックモータのKM-D、5号機ごうきの月つき軌道きどう投入とうにゅう用ようキックモータのKM-Mに伸展しんてんノズルが備そなえられた。
• M-Vロケット - 3段だん目めのM-34とキックモーターのKM-V1では全長ぜんちょうを短縮たんしゅくする目的もくてきで伸展しんてんノズルが備そなえれられた。
• イプシロンロケット試験しけん1号機ごうき - それぞれM-Vの3段だん目めとキックステージをベースに開発かいはつされた2段だん目めと3段だん目めで使用しようされた。強化きょうか型がた（2号機ごうき以降いこう）では廃止はいしされた。
• RL-10 - 改良かいりょう型がたのRL10B-2に採用さいよう
• RD-0146 - ロシアのキマフトマティキで開発かいはつされた上段じょうだん用ようエンジン
• XLR129 - アメリカ空軍くうぐんで使用しようする予定よていだった試作しさくエンジン
• Vinci - 当初とうしょはアリアン5MEのために開発かいはつされたが、アリアン5MEの開発かいはつ中止ちゅうしに伴ともない、開発かいはつ中ちゅうのアリアン6の上段じょうだんに使用しよう予定よてい。