倭やまと隋ずい

倭やまと 隋ずい（わ ずい、生なま没年ぼつねん不ふ詳しょう）は、5世紀せいき前半ぜんはん（古墳こふん時代じだい中期ちゅうき）の倭やまとの人物じんぶつ。倭やまと王おう珍めずらし（倭やまとの五ご王おうの1人ひとり）の臣しん。

記録きろく

中国ちゅうごく歴史れきし書しょの『宋そう書しょ』文ぶん帝みかど紀きの 元げん嘉よしみ15年ねん（438年ねん）己おのれ巳み条じょうおよび夷えびす蛮伝倭国わのくにの条じょう（宋そう書しょ倭国わのくに伝でん）や『南みなみ史し』「巻まき69「列伝れつでん79」夷えびす貊下東夷あずまえびす伝でん倭国わのくに条じょう[1]によれば、珍ちんが宋そうに遣や使つかい貢献こうけんして「安東あんどう将軍しょうぐん 倭国わのくに王おう」に除じょ正ただされた際さい、珍ちんは倭やまと隋ずいら13人にんに対たいする平ひら西にし・征せい虜とりこ・冠かんむり軍ぐん・輔国将軍しょうぐん号ごうの除じょ正せいも求もとめ、文ぶん帝みかどは詔みことのりして全すべて認みとめたという。

考証こうしょう

倭やまと隋ずいの詳細しょうさいは明あきらかでないが、倭やまと王おうと共通きょうつうする「倭やまと」姓せいであるため、ヤマト王権おうけん内ないでは王族おうぞく将軍しょうぐんが支持しじ基盤きばんであった様子ようすが示唆しさされる。ただし平ひら西にし将軍しょうぐんは安東あんどう将軍しょうぐんと同おなじ第だい三さん品ひんで、品しな内ないでも1階かいしか違ちがわない点てんが注意ちゅういされる。このことから、当時とうじの倭やまとでは卑弥呼ひみこと男おとこ弟おとうとの関係かんけいのように王おうと同どう程度ていどの人物じんぶつが補佐ほさする統治とうち構造こうぞうであったとする説せつがあり、その様子ようすと百舌鳥もず古墳こふん群ぐん・古市ふるいち古墳こふん群ぐん或あるいは佐紀さき盾たて列れつ古墳こふん群ぐんの並立へいりつとの対応たいおうをみる説せつもある。

また、高句麗こうくり王おう・百済くだら王おう・倭やまと王おうの場合ばあいは「征せい東ひがし・鎮東・安東あんどう」など中国ちゅうごくの視点してんの将軍しょうぐん号ごうであるが、倭やまと隋ずいの場合ばあいは「平ひら西にし」という倭やまとの視点してんの将軍しょうぐん号ごうになる点てんについても注意ちゅういされる。これを、安やす「東ひがし」将軍しょうぐんと平ひらめ「西にし」将軍しょうぐんの二に大だい巨頭きょとうの下したに征せい虜とりこ・冠かんむり軍ぐん・輔国将軍しょうぐんを置おいた統治とうち機構きこうと見みなす説せつもある。

そのほか、倭やまとの五ご王おうにおいては珍ちん・済すみを別人べつじんと考かんがえる場合ばあい、続柄つづきがらが明あきらかでないが、珍ちん・済すみが別々べつべつの勢力せいりょく（百舌鳥もず古墳こふん群ぐん・古市ふるいち古墳こふん群ぐん）であるとして、済すみは倭やまと隋ずいの系統けいとうとする説せつがある。

なお、倭やまとの五ご王おうの一連いちれんの記事きじにおいて倭やまと王おう以外いがいで名称めいしょうの記載きさいがあるのは、倭やまと隋ずいのほか倭やまと王おう讃さんの臣しんの司馬しば曹達そうだのみになる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 河内かわうち春はる人じん『倭やまとの五ご王おう -王位おうい継承けいしょうと五ご世紀せいきの東ひがしアジア-（中公新書ちゅうこうしんしょ2470）』中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ、2018年ねん。ISBN 978-4121024701。 

関連かんれん項目こうもく

• 倭やまとの五ご王おう
• 珍ちん

外部がいぶリンク

• 漢籍かんせき電子でんし文献ぶんけん資料しりょう庫こ - 台湾たいわん中央ちゅうおう研究けんきゅう院いん