(Translated by https://www.hiragana.jp/)
光造形法 - Wikipedia コンテンツにスキップ

ひかり造形ぞうけいほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ひかり造形ぞうけいから転送てんそう
ひかり造形ぞうけいほう製造せいぞうされた部品ぶひん

ひかり造形ぞうけいほう(ひかりぞうけいほう)はラピッドプロトタイピング3Dプリンター使用しようされる技術ぎじゅつひかり硬化こうか樹脂じゅし紫外線しがいせんレーザーや類似るいじ光源こうげんで1そうずつ硬化こうかすることによって積層せきそうしてスケールモデルプロトタイプパターン作成さくせいする。[1]

歴史れきし

[編集へんしゅう]

英語えいごひかり造形ぞうけいほうすstereolithographyのかたりは1986ねんひかり硬化こうか樹脂じゅし紫外線しがいせん硬化こうかして積層せきそうすることによって立体りったいぶつ作成さくせいする装置そうち特許とっきょ取得しゅとくしたCharles (Chuck) W. Hull,[2]による造語ぞうごである。Hullの特許とっきょにはひかり硬化こうか樹脂じゅしたされたふね表面ひょうめんむらさきがいこうしゅうこうこうたば照射しょうしゃすること記載きさいされている。ひかりたば液体えきたいそう表面ひょうめんじょう出力しゅつりょくぶつ断面だんめんえがき、硬化こうかさせる複雑ふくざつ工程こうてい自動じどうする。1986ねん、Hullはこの製法せいほう普及ふきゅうし、商業しょうぎょうするために最初さいしょ会社かいしゃ現在げんざいサウスカロライナしゅうロックヒル拠点きょてんする3Dシステムズしゃ設立せつりつした。[3][4][5]先進せんしんてき構築こうちく数学すうがくモデルをひかり造形ぞうけい行程こうてい導入どうにゅうして工程こうていによって構築こうちくされる可能かのうせいのある予定よていされた物体ぶったい妥当だとうせい検証けんしょうする設計せっけいアルゴリズムを開発かいはつした。[6]どう時期じき日本にっぽんでも原理げんり開発かいはつされたが、特許とっきょ出願しゅつがんされていたものの、審査しんさ請求せいきゅう期間きかんない審査しんさ請求せいきゅうがされなかったため成立せいりつしなかった。

技術ぎじゅつ

[編集へんしゅう]
ひかり造形ぞうけいほうしき

ひかり造形ぞうけいほうひかり硬化こうか樹脂じゅしえきそう樹脂じゅし表面ひょうめん部品ぶひん断面だんめんのパターンのむらさきがいレーザーこう照射しょうしゃして硬化こうかすることによって出来できそう幾重いくえにも積層せきそうすることによって立体りったい造形ぞうけいぶつつく技術ぎじゅつである。レーザーで断面だんめん露光ろこうされ、硬化こうかしたそう順番じゅんばんかさねられる作業さぎょうかえされ、立体りったいぶつ形成けいせいされる。

パターンのトレースひかり造形ぞうけい作業さぎょう空間くうかん昇降しょうこうひかり硬化こうか樹脂じゅし硬化こうかしたあつみ(一般いっぱんてきには0.05 mm から 0.15 mm (0.002" から 0.006"))のぶんだけ下降かこうする。部品ぶひん断面だんめんにへらで硬化こうか樹脂じゅし均一きんいつ塗布とふする。このあたらしい液体えきたい表面ひょうめん以前いぜん硬化こうかしたそう結合けつごうする。完全かんぜん立体りったい部品ぶひんはこの工程こうていによって形成けいせいされる。作業さぎょう終了しゅうりょう完成かんせいした部品ぶひんされ、化学かがくそうひたされて硬化こうか樹脂じゅし洗浄せんじょうされ、さらなる硬化こうかため紫外線しがいせんオーブンにれられる。

ひかり造形ぞうけいほう昇降しょうこう作業さぎょうだい部品ぶひん固定こていし、重力じゅうりょくでのたわみを防止ぼうしし、へらで塗布とふきずられないようにするため支持しじ構造こうぞうたい使用しよう必要ひつようである。支持しじ構造こうぞうたいは3DCADモデルでひかり造型ぞうけい使用しようする準備じゅんび段階だんかい自動的じどうてき生成せいせいされるが手作業てさぎょうおこな場合ばあいもある。支持しじ構造こうぞうたい作業さぎょう完了かんりょう廉価れんかほかラピッドプロトタイピング技術ぎじゅつとはことなり手作業てさぎょう除去じょきょする。

ひかり造形ぞうけいほうにはえきそう上部じょうぶから照射しょうしゃする方式ほうしき透明とうめい底部ていぶから照射しょうしゃする方式ほうしきやベルトじょうひかり硬化こうか樹脂じゅし均一きんいつ塗布とふしたのち照射しょうしゃしてベルトを移動いどうして転写てんしゃして積層せきそうする方法ほうほうもある。 それぞれに一長一短いっちょういったんがある。

露光ろこう方式ほうしきにも数種類すうしゅるいあり、レーザーこうガルバノメータ走査そうさして照射しょうしゃする方法ほうほうDLPプロジェクタでパターンを照射しょうしゃする方法ほうほうがある。安価あんかひかり造形ぞうけいしき3Dプリンタでは紫外線しがいせんLEDランプとスマートフォンようLCDパネルをもちいて露光ろこうしており、こう解像度かいぞうどやカラ-フィルタのいモノクロLCDによる光量ひかりりょうぞうにより出力しゅつりょく精度せいど速度そくど向上こうじょうさせている。

インクジェットしき

[編集へんしゅう]

ひかり硬化こうか樹脂じゅしたしたえきそうない樹脂じゅし出力しゅつりょく対象たいしょう断面だんめん露光ろこうする方法ほうほう以外いがいに、インクジェットプリンタと同様どうよう原理げんりでノズルからひかり硬化こうか樹脂じゅしえきしずく供給きょうきゅうして周囲しゅういから硬化こうかようむらさきがいこう照射しょうしゃする方法ほうほうもある。えきそうないひかり硬化こうか樹脂じゅしたす方法ほうほう比較ひかくして構造こうぞうがやや複雑ふくざつするものの、硬化こうか無駄むだになるひかり硬化こうか樹脂じゅしるので運用うんよう経費けいひやすくなる。複数ふくすうのノズルで物性ぶっせいことなる樹脂じゅし供給きょうきゅうすること形状けいじょうサポート部分ぶぶん造形ぞうけい除去じょきょ容易よういにしたり、ことなるいろひかり硬化こうか樹脂じゅし供給きょうきゅうすることでフルカラー出力しゅつりょく可能かのう

利点りてん欠点けってん

[編集へんしゅう]

ひかり造形ぞうけいほう利点りてんひとつは造形ぞうけい速度そくどである。機能きのうてき部品ぶひんを1日程にってい製造せいぞうできる。所要しょよう時間じかん数時間すうじかんから1にち以上いじょうまでおおきさと複雑ふくざつさに依存いぞんする。大半たいはんひかり造形ぞうけい生成せいせいできる部品ぶひん最大さいだいおおきさがやく50×50×60 cm (20"×20"×24")で、(210×70×80 cmの作業さぎょう空間くうかんゆうする)大型おおがたこう造形ぞうけい[7]では2m以上いじょうながさの単体たんたい部品ぶひん製造せいぞう能力のうりょくゆうする。ひかり造形ぞうけいほうによる試作しさくひん機械きかい加工かこうするための十分じゅうぶん強度きょうどゆうし、射出しゃしゅつ成型せいけいねつ成型せいけい、ブロー成型せいけい多様たよう金属きんぞく鋳造ちゅうぞう工程こうていため原型げんけいとして使用しよう可能かのうである。

また精度せいどにおいても比較的ひかくてきすぐれており、細部さいぶまで再現さいげんできるのでMEMS部品ぶひん作成さくせいにおいても使用しようされる。

欠点けってんとしては、造形ぞうけい素材そざいひかり硬化こうか樹脂じゅし限定げんていされてしまうことである。

ひかり硬化こうか樹脂じゅし問題もんだいてんとしてまず高価こうかことがあったが、近年きんねんではひかり造形ぞうけいほうたいする世間せけん関心かんしんたかまることにより触発しょくはつされたGizmoForYouしゃIlios HDFormlabsForm 1Kudo3DしゃのTitan 1やFSL3DしゃのPegasus Touchや XYZPrintingしゃのNobel 1.0 byのようないくつかの消費しょうひしゃけの機種きしゅにおいては大幅おおはば値段ねだんがっている。同様どうようひかり硬化こうか樹脂じゅし価格かかくもアメリカを拠点きょてんとするMakerJuice Labsから1リットルあたり$40やヨーロッパを拠点きょてんとするspot-A Materialsから1リットルあたり€68で販売はんばいされるなど、大幅おおはば低下ていかした。

造形ぞうけい出力しゅつりょくひん表面ひょうめんのこった硬化こうかひかり硬化こうか樹脂じゅし洗浄せんじょうする必要ひつようがあり、従来じゅうらいIPAなどの有害ゆうがい後処理あとしょり大変たいへん有機ゆうき溶剤ようざいもちいる必要ひつようがあったが、最近さいきんはホビーユースけに水洗みずあらいが可能かのうなタイプが登場とうじょうしている。またひかり硬化こうか樹脂じゅし自体じたいがアレルギーを発症はっしょうさせることがあるためあつかいには注意ちゅうい必要ひつようである。

ひかり硬化こうか樹脂じゅし性質せいしつじょう化学かがくてき不安定ふあんていなため、ゆがみによる寸法すんぽうくるいや経年けいねん劣化れっかによるれなどもしょうじやすい。

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ How Stereolithography Works”. THRE3D.com. 4 February 2014閲覧えつらん
  2. ^ U.S. Patent 4,575,330 (“Apparatus for Production of Three-Dimensional Objects by Stereolithography”)
  3. ^ 3D Systems Inc Company Info
  4. ^ Stereolithography
  5. ^ What is Stereolithography?
  6. ^ B. Asberg, G. Blanco, P. Bose, J. Garcia-Lopez, M. Overmars, G. Toussaint, G. Wilfong and B. Zhu, "Feasibility of design in stereolithography," Algorithmica, Special Issue on Computational Geometry in Manufacturing, Vol. 19, No. 1/2, Sept/Oct, 1997, pp. 61–83.
  7. ^ Mammoth stereolithography: Technical specifications. materialise.com

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  • Kalpakjian, Serope and Steven R. Schmid. Manufacturing Engineering and Technology 5th edition. Ch. 20 (pp. 586–587 Pearson Prentice Hall. Upper Saddle River NJ, 2006.

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]