再生さいせい混合こんごう燃料ねんりょう

再生さいせい混合こんごう燃料ねんりょうまたはREMIX燃料ねんりょう（英えい: Remix Fuel）は、使用しよう済ずみ核かく燃料ねんりょうから回収かいしゅうしたウランとプルトニウムから製造せいぞうした核かく燃料ねんりょうであり、ロシアの「閉とじた」核かく燃料ねんりょうサイクルを実現じつげんする取とり組くみの中なかで開発かいはつされた。西欧せいおう諸国しょこくや東ひがしアジア諸国しょこくで利用りようされているMOX燃料ねんりょうは、一般いっぱんに劣化れっかウランと4%から7%の原子げんし炉ろ級きゅうプルトニウムからなるが、MOX燃料ねんりょうを安全あんぜん上じょうの懸念けねんなしに炉心ろしん全体ぜんたいに装荷そうか可能かのうな原子げんし炉ろはごく一部いちぶの第だい二に世代せだい炉ろと第だい三さん世代せだい炉ろの約やく半分はんぶんに限かぎられる。一方いっぽう、低てい濃縮のうしゅくウラン燃料ねんりょうを使用しようするすべての軽水炉けいすいろでは、通常つうじょうの運転うんてん中ちゅうにプルトニウムが生成せいせいされている。運転うんてんサイクル中ちゅうに生成せいせいされるプルトニウムの濃度のうどは、炉心ろしんにおける核分裂かくぶんれつ反応はんのうによって発生はっせいするエネルギーに対たいしてプルトニウムの核分裂かくぶんれつによるものが有意ゆういな割合わりあいとなるほどに増加ぞうかする。運転うんてん中ちゅうに「増殖ぞうしょく」したプルトニウム239の約やく半分はんぶんは核分裂かくぶんれつし、残のこりの25％はさらなる中性子ちゅうせいし捕獲ほかくによって他たのプルトニウム同位どうい体たい（主おもにプルトニウム240）となる。この結果けっか、新あたらしい酸化さんかウラン燃料ねんりょうではウラン235の核分裂かくぶんれつ反応はんのうのみしか起おきないが、運転うんてん末期まっきになると炉心ろしんでの核分裂かくぶんれつ反応はんのうの半分はんぶんをプルトニウム239の反応はんのうが占しめるようになる。この時点じてんでは、ウラン235の核分裂かくぶんれつにより生しょうじるエネルギーは全体ぜんたいの33%ほどになり、残のこりは増殖ぞうしょくしたプルトニウム239の核分裂かくぶんれつによって生しょうじている。ただし、通常つうじょうの熱ねつ中性子ちゅうせいし炉ろの熱ねつ中性子ちゅうせいしスペクトルはプルトニウム239の核分裂かくぶんれつにはあまり適てきさないため、燃料ねんりょうの組成そせいはウラン100%からウラン96%・プルトニウム1%・超ちょうウラン元素げんそおよび核分裂かくぶんれつ生成せいせい物ぶつ3%程度ていどになっていく。核かく燃料ねんりょうを炉心ろしんに長ながく留とめ置おくほどウランの割合わりあいは減少げんしょうし、それ以外いがいの成分せいぶんは増加ぞうかしていく。実際じっさいのところ、すべての原子げんし炉ろは、MOX燃料ねんりょうのように高こう濃度のうどのプルトニウムを含ふくむ場合ばあいは別べつにして、1%の原子げんし炉ろ級きゅうプルトニウムを含ふくむ燃料ねんりょうで問題もんだいなく運転うんてんできることが以前いぜんから知しられている。

ロシアは、10年ねん近ちかい歳月さいげつを費ついやして、MOX燃料ねんりょうの製造せいぞうで用もちいられるPUREX法ほうのようなウランとプルトニウムを分離ぶんりしない方法ほうほうで使用しよう済ずみ核かく燃料ねんりょうを再さい処理しょりできる技術ぎじゅつを開発かいはつした。こうして回収かいしゅうしたウランと原子げんし炉ろ級きゅうプルトニウムの混合こんごう物ぶつを酸化さんか物ぶつに変換へんかんした上うえで、新あたらしい酸化さんか物ぶつ燃料ねんりょうを加くわえて全体ぜんたいとして4%のウラン235と1%の原子げんし炉ろ級きゅうプルトニウムを含ふくむように調製ちょうせいすることで再生さいせい混合こんごう燃料ねんりょうが作つくられる。原子げんし炉ろに装荷そうかする試験しけんは2016年ねんに開始かいしされ、2020年ねん2月がつにはロシア型がた加圧水かあつすい型がた原子げんし炉ろ（VVERシリーズ）用ようの燃料ねんりょうとして市場いちば展開てんかいされた。2021年ねん11月がつ10日とおかには、すべて再生さいせい混合こんごう燃料ねんりょうで構成こうせいした燃料ねんりょう集合しゅうごう体たい6基きが完成かんせいし、今後こんご商用しょうよう炉ろでの実証じっしょう運転うんてんを行おこなう予定よていであることが発表はっぴょうされた。