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労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう

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労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう(ろうどうしゃきょうきゅうじぎょう)とは、日本にっぽんにおいて職業しょくぎょう安定あんていほうだいさんしょうよんにてさだめられており、供給きょうきゅう契約けいやくもとづいて労働ろうどうしゃ他人たにん指揮しき命令めいれいけて労働ろうどう従事じゅうじさせる事業じぎょう[1]

ただし、労働ろうどうしゃ派遣はけん自己じこ雇用こようする労働ろうどうしゃを、当該とうがい雇用こよう関係かんけいしたに、かつ、他人たにん指揮しき命令めいれいけて、当該とうがい他人たにんのために労働ろうどう従事じゅうじさせることをいい、当該とうがい他人たにんたい当該とうがい労働ろうどうしゃ当該とうがい他人たにん雇用こようさせることをやくしてするものをふくまないものをいう。)に該当がいとうするものをふくまないものをいう[1]

ほうだい14じょうでは、例外れいがいのぞいて禁止きんしされている。

根拠こんきょほう

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労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう禁止きんし
だいよんじゅうよんじょう 何人なんにんも、つぎじょう規定きていする場合ばあいのぞくほか、労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょうおこない、またはその労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょうおこなものから供給きょうきゅうされる労働ろうどうしゃみずからの指揮しき命令めいれいした労働ろうどうさせてはならない。

労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう許可きょかだいよんじゅうじょう 労働ろうどう組合くみあいとうが、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん許可きょかけた場合ばあいは、無料むりょう労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょうおこなうことができる。

厚生こうせい労働省ろうどうしょう労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう禁止きんしについてたんなる強制きょうせい労働ろうどう中間ちゅうかん搾取さくしゅ防止ぼうしのみではなく、ひろ雇用こよう形態けいたい民主みんしゅと、労働ろうどうしゃ基本きほんてき権利けんり保護ほごはかることとし、

労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょうにおいては、労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょうおこなもの一方いっぽうてき意思いしによって、労働ろうどうしゃ自由じゆう意思いし無視むしして労働ろうどうさせるとうのいわゆる強制きょうせい労働ろうどう弊害へいがいや、支配しはい従属じゅうぞく関係かんけい利用りようして本来ほんらい労働ろうどうしゃ帰属きぞくすべき賃金ちんぎん労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょうおこなものみずからの所得しょとくとしてしまうとうのいわゆる中間ちゅうかん搾取さくしゅ弊害へいがいしょうじるおそれがある。このため労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう本来ほんらい労働ろうどうしゃ基本きほんてき権利けんり侵害しんがい労働ろうどう民主みんしゅ阻害そがいするおそれがおおきいものである。

したがって、憲法けんぽうさだめられた労働ろうどうしゃ基本きほんてき人権じんけん尊重そんちょうしつつ、各人かくじんにそのゆうする能力のうりょく適合てきごうする職業しょくぎょう機会きかいあたえ、およ産業さんぎょう必要ひつよう労働ろうどうりょく充足じゅうそくし、もって職業しょくぎょう安定あんていはかるとともに、経済けいざいおよ社会しゃかい発展はってん寄与きよすることを目的もくてきとするほうにおいては、ほうだい 45 じょう規定きていにより労働ろうどう組合くみあいとうだい2の1の(1)参照さんしょう)が厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん許可きょかけて無料むりょうおこな場合ばあいのぞくほか、何人なんにん労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょうおこなものから供給きょうきゅうされる労働ろうどうしゃみずからの指揮しき命令めいれいした労働ろうどうさせてはならないこととしている。(ほうだい 44 じょう

厚生こうせい労働省ろうどうしょう 労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう業務ぎょうむ取扱とりあつかい要領ようりょう [2]


原則げんそくさだめている。事前じぜん面接めんせつひとし違法いほう派遣はけんでは、労働ろうどうしゃ派遣はけん事業じぎょう該当がいとうしない(労働ろうどうしゃ派遣はけんほうだい2じょう1こう)ため給料きゅうりょうからかれたピンはねがく中間ちゅうかん搾取さくしゅとなる。偽装ぎそう請負うけおいについても同様どうよう請負うけおい企業きぎょうからのなかあいだ搾取さくしゅみとめられるため、労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう違反いはんざいとして被害ひがい立証りっしょうする場合ばあい中間ちゅうかん搾取さくしゅ労働ろうどう基準きじゅんほうだい6じょう禁止きんし)の被害ひがい前面ぜんめんすべきである。

労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう区分くぶん

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契約けいやく請負うけおい委託いたく委任いにん労働ろうどうしゃ派遣はけん出向しゅっこうであっても、実態じったいつぎのような場合ばあい労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう該当がいとうする[3]

派遣はけんもと 派遣はけんさき
供給きょうきゅう事業じぎょう 支配しはい 指揮しき命令めいれい × もと労働ろうどうしゃあいだ雇用こよう関係かんけいがない→供給きょうきゅう事業じぎょう (偽装ぎそう請負うけおい
供給きょうきゅう事業じぎょう 支配しはい 雇用こよう × もと雇用こよう関係かんけいがない/さき雇用こよう関係かんけいがある→供給きょうきゅう事業じぎょう
供給きょうきゅう事業じぎょう 雇用こよう 雇用こよう × もとさき両方りょうほう雇用こよう関係かんけいがある→供給きょうきゅう事業じぎょう (事前じぜん面接めんせつ
供給きょうきゅう事業じぎょう 雇用こよう/指揮しき 指揮しき命令めいれい 労働ろうどうしゃ派遣はけんけた労働ろうどうしゃをさらに第三者だいさんしゃ指揮しき命令めいれいのもとに労働ろうどうさせる形態けいたいじゅう派遣はけん)→供給きょうきゅう事業じぎょう
派遣はけん事業じぎょう 雇用こよう 指揮しき命令めいれい 許可きょか届出とどけで必要ひつよう 例外れいがい事前じぜん面接めんせつ供給きょうきゅう事業じぎょう (2じゅう雇用こよう状態じょうたい)
請負うけおい事業じぎょう 雇用こよう なし 受託じゅたくしゃが、①「労務ろうむ管理かんりじょう独立どくりつ」 ②「事業じぎょう経営けいえいじょう独立どくりつ」のいずれにも該当がいとうしなければ請負うけおい事業じぎょうとはならない
在籍ざいせき出向しゅっこう 雇用こよう 雇用こよう ごうとしておこな場合ばあい供給きょうきゅう事業じぎょうとなる。
転籍てんせき出向しゅっこう なし 雇用こよう ごうとしておこな場合ばあい職業しょくぎょう紹介しょうかい事業じぎょうとなり許可きょか必要ひつようとなる。

類型るいけい

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労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう該当がいとうするかは個別こべつ契約けいやく名称めいしょう形式けいしきとうではなく、実態じったいによって判断はんだんすることとなる。一般いっぱんてき類型るいけい以下いかとなる。

  1. 請負うけおいしょうするが、発注はっちゅうしゃ受注じゅちゅうしゃ労働ろうどうしゃ指示しじ教育きょういく勤務きんむ時間じかん管理かんりとうおこなう。
  2. 現場げんば責任せきにんしゃがいるが、発注はっちゅうしゃ指示しじ伝達でんたつしているだけ。
  3. 多重たじゅう労働ろうどうしゃ派遣はけんおこなわれており使用しよう責任せきにん不明ふめい[4]
  4. 受注じゅちゅうしゃ労働ろうどうしゃ個人こじん事業主じぎょうぬしあつかいにするが実態じったい発注はっちゅうしゃ指示しじけている。

労働ろうどうしゃ派遣はけん事業じぎょうとの関係かんけい

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労働ろうどうしゃ供給きょうきゅうさきとの雇用こよう関係かんけいがあった場合ばあいは、名目めいもく派遣はけん事業じぎょうでも、労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう該当がいとうすると厚生こうせい労働省ろうどうしょう事業じぎょうしゃ通達つうたつしている。

供給きょうきゅうもと労働ろうどうしゃとのあいだ雇用こよう契約けいやく関係かんけいがある場合ばあいであっても供給きょうきゅうさき労働ろうどうしゃ雇用こようさせることをやくしておこなわれるものについては、労働ろうどうしゃ派遣はけんには該当がいとうせず、労働ろうどうしゃ供給きょうきゅうとなる(労働ろうどうしゃ派遣はけん事業じぎょう適正てきせい運営うんえい確保かくほおよ派遣はけん労働ろうどうしゃ保護ほごとうかんする法律ほうりつ以下いか労働ろうどうしゃ派遣はけんほう」という。)だいじょうだいこう)。

供給きょうきゅうさきとの雇用こよう関係かんけいによる、2じゅう雇用こよう関係かんけいは、労働ろうどうしゃ特定とくてい目的もくてきとする行為こういをして労働ろうどうしゃ配置はいち関与かんよすることで成立せいりつするため、事前じぜん面接めんせつなどの特定とくてい目的もくてき行為こういが、労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう該当がいとうする条件じょうけんとなる。

特定とくてい目的もくてき行為こういとの関係かんけい

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労働ろうどうしゃ派遣はけん事業じぎょうしゃは、事前じぜん面接めんせつ履歴りれきしょ・スキルリストの受領じゅりょう職場しょくば見学けんがく顔合かおあわせ職場しょくば訪問ほうもんなどの特定とくてい目的もくてき行為こういおこなわないことを前提ぜんていとして、例外れいがいてき労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう許可きょかされている。しかし常用じょうようがた派遣はけん特定とくてい派遣はけん)では、特定とくてい目的もくてき行為こうい時点じてん労働ろうどうしゃ雇用こよう関係かんけいがあるため、事前じぜん面接めんせつ禁止きんしについても免責めんせきされているとの認識にんしきがあるが、特定とくてい目的もくてき行為こういおこな就業しゅうぎょうがなされた時点じてんで、登録とうろくがた派遣はけん同様どうよう派遣はけんもと派遣はけんさき両方りょうほう雇用こよう関係かんけい成立せいりつすることから、職業しょくぎょう安定あんていほうだい44じょう労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう禁止きんし違反いはん該当がいとうすることになる。(下図したず参照さんしょう

採用さいよう選考せんこう 派遣はけんもと 派遣はけんさき
登録とうろくがた派遣はけん一般いっぱん派遣はけん 事前じぜん面接めんせつ特定とくてい目的もくてき行為こうい時点じてん  なし なし
登録とうろくがた派遣はけん一般いっぱん派遣はけん 選考せんこう内定ないてい通知つうち時点じてん  なし みなし雇用こよう関係かんけい採用さいよう内定ないてい × もと雇用こよう関係かんけいがない/さき雇用こよう関係かんけいがある→供給きょうきゅう事業じぎょう
登録とうろくがた派遣はけん (一般いっぱん派遣はけん 採用さいよう時点じてん 雇用こよう 雇用こよう × もとさき両方りょうほう雇用こよう関係かんけいがある→職業しょくぎょう安定あんていほうだい44じょう違反いはん
常用じょうようがた派遣はけん特定とくてい派遣はけん 事前じぜん面接めんせつ特定とくてい目的もくてき行為こうい時点じてん 雇用こよう なし
常用じょうようがた派遣はけん特定とくてい派遣はけん 採用さいよう時点じてん 雇用こよう 雇用こよう × もとさき両方りょうほう雇用こよう関係かんけいがある→職業しょくぎょう安定あんていほうだい44じょう違反いはん

事例じれい

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罰則ばっそく

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職業しょくぎょう安定あんていほうだい44じょう労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょう禁止きんし規定きてい違反いはん

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罰則ばっそく適用てきようには被害ひがいしゃとうによる検察けんさつへの刑事けいじ告訴こくそ告発こくはつか、行政ぎょうせい内部ないぶ関係かんけいしゃによる刑事けいじ告発こくはつ必要ひつようとなる。犯罪はんざい構成こうせい要件ようけんとなる強制きょうせい労働ろうどう中間ちゅうかん搾取さくしゅ立証りっしょう必要ひつようとなるが、労働ろうどうしゃ供給きょうきゅう事業じぎょうでは中間ちゅうかん搾取さくしゅ必然ひつぜんてきみとめられるため、労働ろうどう基準きじゅんほうだい6じょう違反いはん告訴こくそ告発こくはつ同時どうじまたは先行せんこうしてった大日本印刷だいにほんいんさつ子会社こがいしゃにたいする多重たじゅう偽装ぎそう請負うけおい事件じけん刑事けいじ)などの事例じれいがある。

処罰しょばつ派遣はけんもと派遣はけんさき両者りょうしゃ(披告発こくはつじん)にされる。会社かいしゃ代表だいひょうしゃ人事じんじ責任せきにんしゃ採用さいよう担当たんとうしゃなどが罰則ばっそく対象たいしょうとなる。

告発こくはつげに金銭きんせんてき補償ほしょうともな裁判さいばんがい私法しほうじょう和解わかい可能かのうである。告発こくはつじんから金銭きんせん要求ようきゅうすることは恐喝きょうかつとみなされる危険きけんせいがあるので、披告発こくはつじんからはたらきかけがないかぎ金銭きんせんによる和解わかい現実げんじつてきではない。

ILOへの提訴ていそまたはもう

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日本にっぽんは「雇用こよう関係かんけい偽装ぎそう」を根絶こんぜつするための措置そち各国かっこくもとめる「雇用こよう関係かんけいかんする勧告かんこく」(だい198ごう)に賛同さんどうしているため、労基署ろうきしょ労基法ろうきほう6じょう検察庁けんさつちょう職安しょくあんほう44じょう告訴こくそじょう告発こくはつじょう受理じゅりしない場合ばあいに、ILOにたいして条約じょうやく違反いはん提訴ていそおこなうこともできる。ILOへの提訴ていそ全国ぜんこくコミュニティ・ユニオン連合れんごうかいなどをつうじておこなうこともできる。

国際こくさい連合れんごう人権じんけん委員いいんかいへのもう

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労基署ろうきしょ労基法ろうきほう6じょう違反いはん検察庁けんさつちょう職安しょくあんほう44じょう違反いはん告訴こくそじょう告発こくはつじょう受理じゅりしない場合ばあい国際こくさい連合れんごう人権じんけん委員いいんかいもうてることができる。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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出典しゅってん

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  1. ^ a b 職業しょくぎょう安定あんていきょく 2023, p. 1.
  2. ^ 職業しょくぎょう安定あんていきょく 2023, p. 8.
  3. ^ 労働ろうどうしゃ派遣はけん要点ようてん栃木とちぎ労働ろうどうきょく 職業しょくぎょう安定あんてい 需給じゅきゅう調整ちょうせい事業じぎょうしつ 平成へいせい25ねんがつにち
  4. ^ 職業しょくぎょう安定あんていきょく 2023, pp. 2–3.

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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