危険きけん因子いんし (犯罪はんざい学がく)

危険きけん因子いんしの研究けんきゅうは、近年きんねん、犯罪はんざい学がくの分野ぶんやで米国べいこくのシェルドンとエレノア・グリュック、英国えいこくのデイビット・ファーリントンの初期しょきの研究けんきゅうを中心ちゅうしんにして急増きゅうぞうしている。そして犯罪はんざいと再犯さいはん(特とくに若者わかものが)を予測よそくするとされる危険きけん因子いんしの特定とくていは、英国えいこく、米国べいこく、オーストラリアをはじめとする多おおくの先進せんしん国こくの刑事けいじ司法しほう政策せいさくとその実践じっせんに大おおきな影響えいきょうを与あたえている。しかし、多おおくの「人工じんこう的てきな」危険きけん因子いんし研究けんきゅう(Kemshall2003参照さんしょう)の頑健がんけん性せいと妥当だとう性せいは、昨今さっこんでは、以下いかのような批判ひはんにさらされている。

- 還元かんげん主義しゅぎ - 例たとえば、複雑ふくざつな経験けいけんや状況じょうきょうを単純たんじゅんな量りょうに変換へんかんし、危険きけん因子いんしの調査ちょうさを心理しんり的てき・直接的ちょくせつてきな社会しゃかい的てき領域りょういきに限定げんていする一方いっぽうで、社会しゃかい構造こうぞう的てきな影響えいきょうを無視むしすることで、複雑ふくざつな経験けいけんや状況じょうきょうを単純たんじゅん化かしすぎている。

- 決定けってい論ろん - 例たとえば、若者わかものをリスク経験けいけんの受動じゅどう的てき被害ひがい者しゃとして特徴とくちょうづけ、リスクを構築こうちくしたり、交渉こうしょうしたり、抵抗ていこうしたりする能力のうりょくを持もたないものとする。

- 推論すいろん - 例たとえば、危険きけん因子いんしと違反いはんの定義ていぎが国くにや文化ぶんかを越こえて均質きんしつであると仮定かていし、危険きけん因子いんしと違反いはんの間あいだの統計とうけい的てき相関そうかんが実際じっさいに因果いんが関係かんけいを表あらわしていると仮定かていし、危険きけん因子いんしが集計しゅうけいデータに基もとづいて個人こじんに適用てきようされると仮定かていする。

英国えいこくの2人ふたりの学者がくしゃ、ステファン・ケースとケビン・ハイネスは、多おおくの学術がくじゅつ論文ろんぶんや 「若者わかものの犯罪はんざいを理解りかいする:危険きけん因子いんしの研究けんきゅう、政策せいさく、実践じっせん」 と題だいされた包括ほうかつ的てきな論文ろんぶんの中なかで、危険きけん因子いんしの研究けんきゅうを特とくに強つよく批判ひはんしている。