参謀さんぼう長ちょう

参謀さんぼう長ちょう（さんぼうちょう、ドイツ語ご：Stabschef、フランス語ふらんすご：Chef d'État-Major、英語えいご：Chief of Staff）は、軍隊ぐんたいにおいて複雑ふくざつな組織そしきや機関きかんなどの指揮しき命令めいれい系統けいとう上じょう（これを俗ぞくに「ライン」と言いう）にいる指揮しき官かんや責任せきにん者しゃを補佐ほさするため、各種かくしゅ実務じつむを計画けいかくし、その指導しどう監督かんとくをする参謀さんぼう（いわゆる「スタッフ」という）または幕僚ばくりょうの長ちょう。外国がいこく語ごから日本語にほんごに翻訳ほんやくする際さいには、文脈ぶんみゃくや対象たいしょうとなる国家こっかの制度せいどや慣習かんしゅうなどにより幕僚ばくりょう長ちょう（ばくりょうちょう）と訳やくす場合ばあいもある、逆ぎゃくもまた然しかりである。

英語えいごの“Chief of Staff”のように、他たの言語げんごでは文官ぶんかんや民間みんかん組織そしきの役職やくしょくにも同おなじ言葉ことばが使つかわれることがあるが、“White House Chief of Staff”（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう首席しゅせき補佐ほさ官かん）のように文民ぶんみん職しょくで使用しようされている場合ばあいは首席しゅせき補佐ほさ官かん（しゅせきほさかん）等とうと訳やくされる。

一般いっぱん的てきに、参謀さんぼう長ちょう（幕僚ばくりょう長ちょう）は該当がいとうする組織そしきとその最高さいこう責任せきにん者しゃとの間あいだに立たって緩衝かんしょう機能きのうを提供ていきょうする。つまり上意下達じょういかたつ型がたの組織そしきにあって、上位じょうい機関きかんからの指揮しき・命令めいれい・指導しどうを調整ちょうせいし、それらを下位かい機関きかんに伝つたえて実行じっこうさせることにある。また、逆ぎゃくに下位かい機関きかんからの意見いけん具申ぐしんや上申じょうしんなどを参謀さんぼう機関きかんで検討けんとうし上位じょうい機関きかんに伝つたえる事ことのほか、上位じょうい機関きかんに対たいして各種かくしゅ軍事ぐんじ活動かつどうに関かんして補佐ほさする事ことが求もとめられる。これらの機能きのうの責任せきにん者しゃとして参謀さんぼう総長そうちょう（幕僚ばくりょう長ちょう）が充あてられる。現在げんざい、大だい多数たすうの国くにの軍隊ぐんたいでは参謀さんぼう機関きかんの長ちょうたる参謀さんぼう総長そうちょうが一軍いちぐんの最高さいこう幹部かんぶに任にんぜられているが、一部いちぶの国くにでは総そう司令しれい官かんと参謀さんぼう総長そうちょうが別々べつべつに設もうけられている場合ばあいもある。

参考さんこう文献ぶんけん

• J・D・ニコラス他た『統合とうごう軍ぐん参謀さんぼうマニュアル』野中のなか郁いく次郎じろう、谷たに光太郎こうたろう訳やく、白桃はくとう書房しょぼう、1987年ねん。
• 高井たかい三郎さぶろう『現代げんだい軍事ぐんじ用語ようご 解説かいせつと使つかい方かた』アリアドネ企画きかく、2006年ねん。