廷吏ていり

廷吏ていり（ていり）とは、日本にっぽんの裁判所さいばんしょに置おかれていた職員しょくいんのひとつ。法廷ほうていにおいて、法廷ほうてい内ないの秩序ちつじょ維持いじ、事件じけんの呼よび上あげ、当事とうじ者しゃの出廷しゅっていカードへの記入きにゅう、書類しょるいのやりとりの仲介ちゅうかい、その他た裁判官さいばんかんの命めいずる事務じむを行おこなっていた^[1]。旧称きゅうしょうは廷丁ていてい（ていてい）。

裁判所さいばんしょ法ほう上うえは、廷吏ていりという官かん名めいの職員しょくいんが置おかれることが想定そうていされているが（63条じょう）、実際じっさいには、裁判所さいばんしょ事務じむ官かんの官かん名めいを有ゆうする職員しょくいんの中なかから、廷吏ていりが補職ほしょくされていた。しかし、現在げんざいは、裁判所さいばんしょの職員しょくいん制度せいど改革かいかくにより、廷吏ていりという職名しょくめいもなくなった。

その後ごは、廷吏ていりに代かわる事務じむを行おこなう者ものとして、法廷ほうていに裁判所さいばんしょ事務じむ官かんが配置はいちされており（その裁判所さいばんしょ事務じむ官かんを指さして現在げんざいも廷吏ていりと呼よぶことがある）、事件じけんの呼よび上あげや書類しょるいのやりとりなどの事務じむを行おこなっている。

そのほか、各かく裁判所さいばんしょは、執行官しっこうかんを用もちいることができないときは、その裁判所さいばんしょの所在地しょざいちで書類しょるいを送達そうたつするために、廷吏ていりを用もちいることができるとされていることから（裁判所さいばんしょ法ほう63条じょう3項こう）、廷吏ていりは書類しょるいの送達そうたつなども取とり扱あつかっていた。