恵めぐみの座ざ

恵めぐみの座ざ（めぐみのざ、英語えいご：mercy seat）は、ウェスレー派はやホーリネス派はのキリスト教きりすときょう教会きょうかいにおいて、説教せっきょう壇だんの前まえに設置せっちされた、ひざまずいて祈いのるための木製もくせいベンチである。

木製もくせいベンチ以外いがいに、聖餐せいさん式しき用よう手てすり（ハンドレール）やテーブル、パイプ椅子いす、あるいは、指定していされた何なにもない床ゆかの一角いっかくもまた、恵めぐみの座ざと呼よばれて、同おなじ目的もくてきに使用しようされることがある。

構造こうぞう

18世紀せいきから19世紀せいきに使用しようされた恵めぐみの座ざは、単純たんじゅんな作つくりの木製もくせいベンチを、説教せっきょう壇だんの前まえに会衆かいしゅうの方ほうに向むけて置おいただけのものであった。背せもたれの部分ぶぶんに聖書せいしょの言葉ことばを引用いんようしたモットーが掘ほり込こまれたり、ペンキで書かかれる場合ばあいがあった。

20世紀せいきに入はいると、木製もくせいベンチではなく、専用せんようにデザインされた木きの板いたや、重厚じゅうこうな作つくりのものが使用しようされるようになった。

使用しよう法ほう

ウェスレー派はやホーリネス派はの礼拝れいはいにおいては、説教せっきょうの後のちに説教せっきょう者しゃが会衆かいしゅうに対たいして、信仰しんこうの決心けっしんを迫せまり、決心けっしんを外的がいてきに表明ひょうめいする行為こういとして、会衆かいしゅうが恵めぐみの座ざに出でて来きてひざまずき、祈いのるよう招まねいた。

会衆かいしゅうが恵めぐみの座ざで十じゅう数すう分ふんから時ときに数時間すうじかんも祈いのり、神かみを待まち望のぞむことを「アフターミーティング」または「タリング（tarrying）」と呼よぶことがある。

歴史れきし

• 1798年ねんにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくメリーランド州しゅうのメソジスト教会きょうかいで、説教せっきょうの後のちに会衆かいしゅうに席せきを立たって前まえに進すすみ出でるよう招まねいた。心しんを刺さされ、うめき苦くるしむ人々ひとびとのために、歌うたをうたい、祈いのり続つづけた。
• 1800年ねんにメリーランド州しゅうのメソジスト教会きょうかいセシル巡回じゅんかい区くで、木製もくせいベンチが恵めぐみの座ざとして使用しようされた。
• 1801年ねんにフィラデルフィア州しゅうのセント・ジョージ・メソジスト教会きょうかいで、聖餐せいさん式しき用ようテーブルが、ひざまずいて祈いのるために用もちいられた。
• 19世紀せいき初頭しょとうのアメリカ各地かくちのキャンプ・ミーティングで、木製もくせいベンチが恵めぐみの座ざとして使用しようされた。
• 1846年ねんにアメリカの伝道でんどう者しゃジェームズ・カウウェイがイギリスで信仰しんこう復興ふっこうの集会しゅうかいを導みちびき、イギリスのウェスレー派は、ホーリネス派は、救世きゅうせい軍ぐんで恵めぐみの座ざが使用しようされるようになった。